社員の皆で踊るとチームワークが向上する大マジメな理由とは

経営

ITの進展は、仕事のスピードアップと効率化をもたらした一方で、リアルな社内コミュニケーションの機会を減らし、チームワークが生まれにくい状況も作り出しています。社員寮や社内運動会が復活している背景にはこれらの事情があります。そして、本稿で筆者が大まじめにお勧めするのは、皆で踊ることです。その理由を心理学の観点から解説します。

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IT進展の職場コミュニケーションに対する功罪

こんにちは。ジェネシスコミュニケーションの松尾です。

今日は、職場のチームワークづくりには「ダンス」が効く、というお話を大まじめにしてみたいと思います。

近年のITの進展にはいろいろと功罪がありますね。

例えば、社内外のやりとりは、ほとんどeメールやメッセンジャー・チャットになったおかげで、仕事がスピードアップし、効率化したのは確か。

一昔前なら、なかなか電話がつかまらなくて話が進まないこともあったものです。

一方で、同じフロアですぐ隣にいる同僚とでさえ、言葉を交わすことが随分減ってしまいました。各自パソコンに向かい、ひたすらキーボードをたたく音だけが響く職場が多いのではないでしょうか。

以前は、職場にいると、電話での会話が自然に耳に入ってきて、同僚たちがどんなお客さまとどんな仕事をやっていて、今どんな状況かを知ることをざっくりと知ることができました。

ですから、同僚が電話口で謝っていたりしたら、

「なんかトラブル?できることあったら手伝うよ」

などと、手を差し伸べたりしたのではないでしょうか。

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チームワークの大切さはITが進展しても不変

このように、「チームワーク」とは、お互いに相手の状況をある程度把握しており、一体感を持って相互に支援しあうことだと言えます。

しかし、前述したとおり、以前は同じフロアにいればなんとなく相互の状況を知ることができましたが、今は、意識的に同僚の様子を気にかけ、状況を把握しようとする必要があります。

すなわち、ITの進展による職場コミュニケーションの変化のために、

「チームワークを生み出すこと」

が難しくなっているのが、現代組織の大きな課題のひとつです。

そこで、経営サイドとしては、日々の仕事の中でチームワークが醸成しづらい現状を踏まえ、チームワークが生まれるような仕組みや仕掛けをほどこす必要があります。

例えば、コスト削減のために休止していた「社内運動会」や、社員が仕事以外でも交流する機会のある社員寮を復活する、といった企業が出てきています。

運動会や社員寮は、仕事以外のところでお互いのことを理解できるようになる機会を創出する、良い仕組み・仕掛けだと言えます。

また、先日の記事「ビッグデータとAIを活用し従業員満足を実現する未来の会社作り」では、コールセンターのオペレーターの休憩時間を以前はずらして取っていたところ、話の合いやすい同世代のオペレーターが同時に休憩を取れるようにしたことで、オペレーター同士のコミュニケーションが活性化し、成果向上につながったケースをご紹介しました。

コールセンターのオペレーターのように、基本一人ひとりでお客様と対応するような仕事でさえ、同じ職場の仲間との一体感があることが大事だということがわかりますね。

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みんなで踊ることがチームに生み出す心理効果

さて、もっとベタな方法ですが、一体感を高め、チームワークづくりに貢献できるのが、チームのみんなで一緒に踊ることです。

これ、大真面目な話です。

会社でダンス?と言えば、数年前のAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」を思い出す方がいらっしゃると思います。

サイバーエージェントやジャパネットたかたはじめ、多くの企業の従業員の皆さんが振付を覚え楽しそうに踊っている動画がYouTubeにアップされましたね。


恋するフォーチュンクッキー サイバーエージェントグループ STAFF Ver.

実は、みんなで踊ることには単なる余興以上の効果があるのです。

それは、シンクロして踊れるようになるために、お互いの動きをしっかり観察して動きを真似する必要があるからなのです。

これは、心理学では「ミラーリング」と呼ばれるもの。不思議なことですが、人は自分と同じ動きをする人に対して、無意識に好意を高めることがわかっています。

ですから、みんなで息を合わせ、動きを合わせることは、結果として従業員相互の好意度を高めることになります。

人は、好意を持っている人には自然に関心を持ちますし、なんとか役に立ちたいと思うものです。

みんなで一体となって踊ることは、相手に対する関心・好意度を高めることによって、積極的に互いを支援しあうチームワークを醸成できるというわけです。

西日本のある銀行では、異動してきた社員に支店長が直々に盆踊りの振付を伝授するそうです。その支店では、全従業員で地元の盆踊り大会に参加することになっているからです。

「恋するフォーチュンクッキー」のような仕掛けでもないと、実のところ社員みんなで踊るというのはなかなか難しいかもしれません。

ただ、なにかみんなで力を合わせてひとつのことに取り組むイベントを企画することは、担当業務が細分化され、チームとして仕事を推進することが減った現代組織においては、とても大事なことではないかと私は思っています。

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松尾 順

株式会社ジゾン
コンサルティング準備室 室長

早稲田大学商学部卒。マーケティング・プロデューサー。
ニールセン・ジャパン、CRC総合研究所でマーケティングリサーチ、コンサルティングに従事した後、電通ワンダーマンで、データベース・マーケティングやCRMの企画・プロデュースを経験。さらに、ネットベンチャーの立ち上げにも執行役員として参画した。

現在は、心理学、行動経済学といった消費者心理・行動の理解に役立つ学問分野の研究を活用し、売れる商品づくり、効果的なコミュニケーション開発に取り組む様々な企業をマーケティングリサーチからマーケティング施策の企画・運営までトータルに支援している。

株式会社ジゾンでは、CMSシェアナンバーワンのソフトウェア「HeartCore」の導入に伴うマーケティングコンサルテーションを担当している。

【著書】
『ブランディング戦略―ブランディングの基礎と実践 (広告キャリアアップシリーズ) 』誠文堂新光社
『[実務入門] 営業はリサーチが9割! 売上倍増の“情報収集”完全マニュアル (実務入門)』日本能率協会マネジメントセンター
『先読みできる!情報力トレーニング (ビジマル)』TAC出版

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