税務署も人の集まる組織、ゆえに税務調査にも繁忙期と閑散期が存在します。
税務調査のハイシーズンは9月から12月の間です。事務年度のはじまりである7月から8月にかけてまとめられた申告書を元に、調査を行うのにうってつけの期間だからです。
税務調査の1年サイクルをご紹介します。
税務調査の実調率は下がっているけれど…油断できない繁忙期
実は近年、金融庁はある悩みを抱えています。
個人と法人の税申告が平成元年と比較して、1.3倍に増えているのに対して、税務調査の実調率は個人が1%、法人が3%と、共に下がり続けています。
この背景には何があるのでしょうか?
- 申告件数の増加等による業務量の大幅な増加
- 経済取引の国際化・高度情報化の進展による業務の質的困難化
この2つが影響している言われています。
とはいえ金融庁も現状に何も手を打っていないわけではなく、富裕層向けの財産調書を昨年から厳しく締め付けはじめ、マイナンバー制度を利用して正確な調査を実施することで、税務署による実調率を上げようとしています。
これを踏まえれば、我々は正しい納税を行い、自社に実地の税務調査がいつ入っても良いよう備えておく必要があります。
更に効果的なのは、
いつかと言うと、実は9月〜12月の間、つまり秋から冬にかけてのまさに今です。
税務調査の繁忙期が9月〜12月である理由は?
企業に事業年度をベースとした決算サイクルがあるように、税務行政にも税務サイクルがあります。
このサイクルは「事務年度」と呼ばれ、税務署内の人事異動は事務年度をまたぐ6月末から7月始めに行われます。
多くの企業が4月1日から新年度を迎えて、新たな人員でプロジェクトを開始するように、新体制が整った7月初旬の税務署では、6月末頃までに出揃った個人・法人の申告チェックを開始します。
この作業は2ヶ月ほど続き、全体のチェックが8月末頃に終わります。
そして、いよいよ9月から税務調査のハイシーズンが始まり、確定申告の期間入りをする12月末頃まで、調査官も腰を入れて実地調査を続けるのです。
ぜひともこの期間は、いつ税務調査が入っても良いように準備することをお勧めします。
税務調査の繁忙期と閑散期をまとめてみよう
余談ですが、9月から12月のハイシーズン、1月から3月のオフシーズンを経て、調査官がもう一山当てようとする時期が4月です。
というのも4月末には税務署でも人事評価が出揃うため、調査官達も4月に追い込み調査をかけて、少しでも評価を上げようとするからです。
5月から6月は査定も終わり調整期間となるため、また税務調査は少なくなます。
これらをまとめると税務調査の1年の流れは、
- 4月:繁忙期⇒人事査定で評価狙う調査官の活動が活発化するため
- 5月〜6月:閑散期⇒査定も終わり調整期間となるため
- 7月〜8月:閑散期⇒申告書類のまとめ期間となるため
- 9月〜12月:繁忙期⇒まとまった申告書類を元に調査を活発化させるため
- 1月〜3月:閑散期⇒所得税の確定申告対応に追われる期間となるため
となります。
ある程度、税務署のバイオリズムを知っておくことで、読者の皆様が効率的に税務調査へ対応されることを望みます。
もちろんいつ調査に入られてもいいよう、日頃からきちんと会計処理をすることが重要です。