ユニー・ファミリーマートホールディングスの誕生により、東海地方で小売の雄として君臨したスーパー部門で40店舗が大量閉店となることがわかっています。節約により得た資金を、同社は黒字部門の更なる強化に使うことが予想されています。これは強い会社の常套手段であり、内部関係者並びに関連企業は、これから起こる変化にしっかり対応することを求められます。
東海の小売王者ユニーが不採算店を大量閉店へ
ユニー並びにサークルKサンクスの店舗が、ファミリーマートとの統合により、今後大量閉店することが決定しています。
特に、スーパー部門は、現存する228店舗のうち約5分の1にあたる40店舗を、ここ3年以内に閉鎖するようです。
首都圏や東海地方から離れた地域に住んでいる人にはわかりにくいですが、ユニーと言えば、東海地方の卸売業者の多くが「ユニーへ納品した実績がそのまま東海地方での信用に繋る」と考えるほど、確固たる地位を築いている小売店です。
数年前には、全国展開さえ目論んでいたスーパー部門にとっては大きな方向転換であり、これに属する人の中には忸怩たる思いを持つ人もいることでしょう。
とはいえ、「ユニー・ファミリーマートホールディングス」としては、不採算店の閉店という形で節約したことによりコストが浮きます。
浮いたコストを、同社はどのように使うのでしょうか?
ユニー不採算店の閉店という節約で浮いたお金の行き着くところ
今回の統合により、ファミリーマートの店舗数は、セブン-イレブンに肉薄する18,000店舗に近づきます。
すでに成熟産業となっているコンビニ業界では、M&Aにより店舗を買い、トップを目指す戦略が中心になるため、ファミリーマートにとって、M&Aによるユニー(サークルKサンクス)統合は、どうしてもやりたいことだったのでしょう。
しかし、顧客は店舗数の多いコンビニを狙っていくわけではありませんし、不採算店はファミリーマートブランドであれ、更にカットされるはずです。
そうして節約したコストは、更にファミリーマートの商品開発、広告に回されることが予想されます。
実際に、ファミリーマートは2014年より「中食構造改革」と銘打って、お弁当やおにぎりをはじめとする高品質な中食のメニュー開発、売れ筋に絞った棚揃えを徹底することで、2016年2月期には、営業総収入・営業利益・経常利益で、過去最高を叩き出しています。
また、出店を首都圏や地方の中心都市に絞ることで、効率的な広告効果を得ようとする出店戦略も、現時点では功を奏しているようです。
赤字部門を潰して、黒字部門へ徹底的にリソースを割くことは、強い会社となるための経営革新を行う上で、避けて通れない道です。
従って、ユニー部門の不採算店舗を閉店することが、コスト削減の中心となるのはやむを得ないことと言えます。
変化はいつ起こるかわからない。常に備えよ!
改革に向けて大なたを振るう本部の戦略により、不利になる部門の人間やFC(フランチャイズ)加盟オーナーもかなり出ることが予想されます。
しかし、環境は常に変化していくことを考えれば、隆盛を誇ったスーパー部門の人間であれ、不採算店のFCオーナーであれ、その変化の中で生きていかなければなりません。
国内の成熟した業界なら小売業界に限らず、これから同じような寡占化が必ず進んで行き、M&Aにより株主がいきなり変わるなどして、会社の方針が大幅に変わることが日常茶飯事となるでしょう。
私達は、今現場で起きている出来事を他人事として捉えず、いつでも変化を受け入れるつもりで日々、生きていく必要があります。
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