もしも部下がメンタル面を損なうことによる病、例えばうつ病やストレス性の胃潰瘍に罹った時、精神科と心療内科のどちらに連れて行けば良いのでしょうか?実は、精神科と心療内科の違いはあまり知られていません。両者の違いを知った上で、適切に何科を受けるべきか判断し、早期に治療を開始しましょう。
部下がうつっぽかったら精神科と心療内科どちらに連れて行くべき?
ストレスの多い現代社会では、多くの人がうつ病のようなメンタルの悩みを抱えています。
ひと昔前まではうつになっても、ひたすら我慢することが美徳とされていたため、潜在的な患者はもっと多かったかもしれません。
しかし、脳科学やホルモン分泌に関する研究結果が明らかになるにつれ、メンタルの病に対する理解が進み、多くの方が治療を受けるようになりました。
ストレスチェック義務化に伴い、メンタルケアに力を入れている企業も増えています。
とはいえ、きっかけは様々、人は本当にふとしたタイミングで、誰しもメンタルの病にかかるものです。
もしも貴方の部下がメンタルを損なったとしたら、精神科と心療内科どちらを受診するよう勧めれば良いと思いますか?
本稿は、意外と知らない精神科と心療内科の違いをご紹介しながら、両者を上手に利用する方法をご紹介したいと思います。
意外と知らない精神科と心療内科の違いとは?
精神科と心療内科の違いを一言で表すと、「取り扱う病気の種類の差」と言えます。
一般的には、
- 精神科:メンタルの状態によってうつなど精神的な症状が現れている場合
- 心療内科:メンタルが影響して頭痛や胃炎など身体的な症状が現れた場合
という形で担当することが多くなります。
基本的には、精神科も心療内科も、メンタルが悪化することにより引き起こされる病気を治療する点は同じです。
両者の違いを知ると、どういった症状の時はどちらの科へ行くという診断が付きやすいため、始めから適切な科を受診し、治療期間の短縮や効果をより効果的に得ることが可能です。
そこで、両者の専門性がどう違うのか、ここから更に詳しく解説します。
精神科
基本的には「精神疾患」を扱います。
代表的な病気は、うつ病やパニック障害、統合失調症などが挙げられ、精神科医が診断や治療を行います。
精神疾患とは、あくまでも症状がメンタル的な部分に留まっている状態の人が該当します。
例えば、この中で最も多いうつ病の場合、気分の落ち込みや何もやる気が起きない無気力、寝つきが悪くなったり、すぐに目が覚めてしまう不眠症などの症状がよく知られています。
統合失調症であれば、幻覚や被害妄想などやはりメンタル的な症状が主に発症します。
こういった症状は、身体的な症状と違って目で見てわかりにくいものなので、血液検査を始めとしたさまざまな検査によって診断します。
心療内科
メンタル的な問題が影響して「身体的な症状が現れる病気」の人が適しています。
このような症状は「心身症」とも呼ばれ、うつ病や神経症などの精神疾患が原因となっている場合は該当しません。
一般的には、ストレスが主な原因となって発症した身体の病気が該当し、胃潰瘍や高血圧、逆流性食道炎や心筋梗塞など、さまざまな身体的病気が挙げられます。
この他にも、過敏性大腸症候群などストレス性の下痢などの胃腸症状も当てはまり、自分では気づいていないだけで潜在的な患者数は相当数に上るとされています。
心療内科は、メンタルが原因の病であっても、分かりやすい身体症状が出るため、治療方法が取りやすいというメリットがあります。
まだ歴史も新しく、専門の医師の数も精神科と比べて約10分の1しかいません。しかし、ストレスに起因するものが大半を占めていることから、現代では欠かすことのできない診療科目になっているのです。
早期の治療開始が回復に向かえる一番の近道
このように、2つの科のどちらを選べば良いかは、症状の現れ方によって異なります。
身体に症状が出ている場合は心療内科、気分の落ち込みなどを感じる場合は精神科を受診すると良いでしょう。
どちらも最終的には血液検査などを行って診断を確定してくれるので、きちんとした治療を受けることができます。
もしどちらの科を受診すれば良いか悩んでいる場合は、精神科と心療内科どちらでも良いので、受診して病名や症状を診断してもらい、医師に判断を仰ぎましょう。
症状によってはそのまま治療に入ることもありますし、もう一方の科を勧められることもあります。
また、メンタル面の健康状態と身体に現れる症状は、互いに連動していることも多いので、精神科と心療内科の医師それぞれが、ある程度もう一方の科の治療を行えるようになっています。
もしも部下がうつ病になったとしたら、できるだけ早く治療を開始することが回復への近道なので、まずは思い切って病院へ行ってみることを勧めてください。