起業前と起業後で経営者の悩みは入れ替わる
起業したとしても、順風満帆にいく事例は少なく、ほとんどの方が色々とご苦労をされています。
どんなご苦労が多いのか、日本政策金融公庫の2012年度新規開業実態調査の結果から見てみましょう。
起業後に悩むことトップ5
- 第1位:顧客・販路の開拓(56.4%)
- 第2位:資金繰り・資金調達(44.0%)
- 第3位:財務・税務・法務に関する知識の不足(33.1%)
- 第4位:従業員教育・人材育成(27.6%)
- 第5位:従業員の確保 (24.6%)
これに対して、「開業前に心配だったことは何ですか?」という設問への回答は、次のようになっています。
起業前に悩んだことトップ5
- 第1位:資金繰り・資金調達(74.5%)
- 第2位:顧客・販路の開拓(65.8%)
- 第3位:財務・税務・法務に関する知識の不足( 33.8%)
- 第4位:従業員教育・人材育成 (20.3%)
- 第5位:仕入先・外注先の確保(18.6%)
この結果を見ていかがでしょうか?
第1位と第2位は「顧客・販路の開拓」と「資金繰り・資金調達」ですが、起業前と起業後では1位と2位が入れ替わります。
起業前は、自己資金だけで起業できない場合に、資金調達が一番心配になります。
私は創業相談をやっていますが、相談者は「足りない分の資金の融資を受けたいけれど、本当に融資してもらえるのか」と心配している人が大半です。
対して、起業後は、顧客・販路の開拓に苦労されている方が多いようです。
集客が出来ないと、売上げが思うように上がらないので、結局のところ資金繰りに苦労します。
だからこそ、起業後に経営者が一番悩むのは集客なのです。
起業して一番苦しいのはお客様が来ないこと!
居酒屋に行って、店主がヒマそうな時に話しを聞くことがあります。
「店やっていて、一番苦しいことは何ですか?」
すると店主は、
「何といっても、店を開けていてお客が一人も来ないこと。これほど辛いことはないよね。やることがないから、ボーっとテレビを見ている。しかし、テレビの内容なんて頭に入って来ない。頭の中は、それどころじゃないからね」
お客様が来なければ、売上げは上がらない。
でも、家賃、光熱費などの固定費は出ていく一方で、食材も仕入れて用意しておかなければならない。
今月の支払いはどうしよう?
こんなことばかり考えてしまうというのです。
このように悩む経営者は数多くいらっしゃることでしょう。
良い商品を提供すればお客様はやってくるは嘘
良い商品をリーズナブルな価格で販売すればお客様は付いて来る。
集客が出来ないのは、商品やサービスの質が悪いからだ!
このような考え方も確かに存在します。
言われてみると、その通りだと思いますが、良い商品を手頃な価格で販売していても「お客様が来ない」というケースを私は沢山見てきました。
「良い商品を提供する」これだけではダメなんです。
それはなぜでしょうか?
お客様が、「良い商品が易く提供されている」ということを知らないからです。
このことを知らせなければ、いつまで経っても集客にはつながりません。
良い商品、質の高いコンテンツをつくることは、あくまでも商売を行う大前提の条件であり、商売を成功させるために肝要なのは、価値を知らせることなのです。
集客のポイントは「教育」と「つながり」作り
私たちは、良い商品や質の高いコンテンツを通してお客様に価値を提供しています。
その価値に対して、お客様はお金を支払っています。
従って、その価値を知っていただくよう、様々な手段を通してお客様を教育することが必要です。
販売=教育なのです。
極めてシンプルな例でお話しします。
八百屋の店先にトマトが並んでいます。POPでは何を訴えるべきでしょうか?
色々なトマトがある中で、そのトマトをお客様にお薦めする理由を訴えることが必要なのです。
つまり、そのトマトの良さをお客様に教育するのが販売なのです。販売=教育とは、そういうことなのです。
「教育」と並んで大事なもうひとつのポイントは「つながり」です。
私たちとお客様は、一方は販売者、もう一方は購入者という関係ですが、もう一面では人間対人間の関係でもあります。
このような人間関係を信頼関係によって強くしていくことが「つながり」づくりなのです。
そこには、自分がお客様に信用され、お客様に必要とされているという心の充足があります。
更に、そのことが売上げの安定につながっていきます。
現在は集客を助ける様々な手段があります。
チラシ、DM、ニュースレター、ホームページ、TwitterやFacebookなどのSNS。
このような手段を通して、「教育」と「つながり」づくりを行っていくことが集客の基本です。
もし、何もやられていないのでしたら、今すぐに知ってもらうための行動を始めましょう。