マーケティングの鉄則は、「顧客の立場にたって考えよう」というものですが、売り手の立場にいる時、私達はどうしても売る側の立場で、自分本位な行動をとってしまいがちなものです。しかし、顧客は自分本位な売り手を確実に嫌います。そこで本稿では、顧客に確実に嫌われる5つの行動をご紹介します。
結構やってしまっている顧客に嫌われること
マーケティングの鉄則は、「顧客の立場にたって考えよう」というものであり、私達はこの言葉を耳にタコができるほど、頻繁に聞かされています。
しかし、いざ自分が売り手になると、そうも上手く行かず、自分が顧客だったらこんなことはして欲しくない、と思うことを結構やってしまうものです。
なぜなら、人間は、いつも自分本位に考えてしまう存在であり、いつも以下のように考える傾向を持っています。
売る側になると、自分の売る側としての立場で考える。
買う側になると、自分が買う側としての立場で考える。
しかし、私たちは、日常生活の場では買う側ですが、仕事の場面でも買う側に立って考えなけれ/ばなりません。
そのため、今回は「顧客に確実に嫌われる5つの行動」をテーマに、無意識に陥ってしまう、買う側を無視した行動をご紹介したいと思います。
自分の行動について「顧客に嫌われる」ものはないか?気づくきっかけとなれば幸いです。
顧客に嫌われる行動1:適切な情報提供がない
顧客が商品やサービスを購入する場合にして欲しいことは、次の3つです。
- 1:信頼させて欲しい
- 2:適切な情報が欲しい
- 3:背中を押して欲しい
まず、顧客は、自分が商品やサービスを購入検討している販売者が、信頼できる販売者なのかを見極めるため、情報を欲しています。
顧客の信頼を得るためには、人間関係づくりが重要であるため、自己開示をしたり、接触頻度を多くすることが必要となります。
次に、その商品やサービスが、
- 自分が抱えている問題を解決してくれるのか?
- 自分が求めていることを与えてくれるのか?
このような、相手が商品やサービスを購入する上で、適切な情報を欲しがっています。
また、いざ購入しようかという時にも、やはり人は迷います。
そんな時に背中を押してくれるような情報があると、購入という行動に踏み切ることができます。すでに購入した人の良い評価(例:レビュー)などがこれにあたります。
これらの情報が無い商品やサービスは、確実に顧客に嫌われやすくなります。
顧客に嫌われる行動2:相手の意向や欲求を把握していない
私はかつて化粧品のセールスをやっており、売れない落ちこぼれのセールスマンでした。
なぜ、売れないセールスマンだったのかというと、化粧品の効能効果ばかりを説明しており、相手が本質的に困っているお肌の悩みを聞こうともしていなかったからです。
「相手の意向や欲求を良く把握しましょう。」これもマーケティングでは、いつも言われていることです。
でも、つい商品説明に走ってしまい、相手のことが念頭から離れてしまいます。
あなたは、「自分に限ってそんなことはない」と思っているかも知れません。
でも、やってしまうことが多いのです。
顧客に嫌われる行動3:タイミングの悪い営業
これから出掛けようとしている時に、かかってくるセールス電話
なんとなく商品を見ていると「何かお探しですか?」と声をかけて来る店員
こちらの行動を把握しないセールス電話は迷惑そのものですし、馴れ馴れしく声を掛けて来る店員に顧客は引きます。
いずれもタイミングが悪い行動です。
売れない訪問販売のセールスマンだった私の例だと、飛込み訪問で、相手の都合なんて何も考えていませんでした。
買う側から見れば明らかなことも、売る側になると気が付かないことが多々あります。
このような行動も、顧客から確実に嫌われる行動です。
顧客に嫌われる行動4:商品を売り込んでくる
もう、かなり前のことですが、秋葉原のデパートの前では、よく実演販売が行われていました。
買う気も無いのに面白いので見ていると、つい買ってしまったことがしばしばあったものです。
実演販売の達人たちは、決して売り込んで来ること無く、お客様が商品を欲しくなるような心理にしてしまうのです。
ジャパネットたかたのテレビ通販もそうですね。
高田社長は甲高い声で呼びかけますが、決して商品そのものを売り込みません。商品を使うことによる楽しみを訴え、商品が欲しくなるように仕向けます。
売り込むと客は引いてしまいます。欲しがらせるのです。
これを実現するためには、
- お客が何に悩んでいるのか?
- お客が求めているのは何か?
これらに、いつも焦点を当てることが重要になります。
顧客の視点に立たないセールスは、顧客に確実に嫌われる要因となります。
顧客に嫌われる行動5:情熱を感じないコミュニケーション
この人、本当に私のことを一生懸命考えているのだなと感じた時、やはり人の心は打たれます。
人は感情で購買を決定した後で、その行動を理屈付けると言われています。
確かに相手の理性に訴えることは、業務用の商品を販売する時に、重要な一つの要素です。
しかし、人間も感情の動物であり、意気に感じたら、相手に同調してしまいます。
情熱的な人には意気を感じます。情熱的な人は魅力的です。情熱的な人には引き込まれてしまいます。
そして、情熱的な人は美しいです。
駆け引きなしに正面から飛び込んでいく人、こんな情熱的な人に惹かれないわけがありません。
その情熱はどこから生まれてくるか?
それは、人のために役に立ちたい、その商品を自分が好きで好きでたまらない。ここに、情熱が生まれてくるのです。
これぞ自分のライフワークだと思うことに取組んでいるときに、情熱は生まれてくるのです。
情熱のないコミュニケーションは、顧客から確実に嫌われる行動だということを、忘れないようにしましょう。