「オキシモロン」とは、「撞着語(どうちゃくご)法」、あるいは「矛盾語(むじゅんご)法」と呼ばれるレトリックを指します。「冷たい太陽」「角ばったまんじゅう」など、常識と矛盾した発想を活用した商品開発は、ライバルとの競争を避け、新市場を生み出すチャンスを与えてくれます。
新製品・新サービスのアイディアを生み出す発想テクニック「SCAMPER法」とは
こんにちは。ジェネシスコミュニケーションの松尾です。
今回は、新製品・新サービスのアイディアを生み出すために役立つ、発想法のテクニックをご紹介します。
発想法にも様々なものがありますね。よく知られているものとして「SCAMPER法」が挙げられます。これは、次の7つの単語の頭文字からできている発想法です。
- ・Substitute:置き換える
- ・Combine:組み合わせる
- ・Adapt:当てはめる
- ・Modify:修正する
- ・Put other purposes:別の目的や使い方を考える
- ・Eliminate:余計なものを削る
- ・Rearrange/Reverse:並び替える/逆にする
具体的には、自社の業界における既存の製品・サービスについて、それぞれ以下のように検討していきます。
‐Substitute 置き換える
別のものに置き換えてみたらどうか?
‐Combine 組み合わせる
2つ以上のものを組み合わせたらどうか?
‐Adapt 当てはめる
なにかに応用したらどうか?
‐Modify 修正する
どこか一部を修正したらどうか?
‐Put other purposes 別の目的・使い道を考える
別の目的や用途に使うとどうか?
‐Eliminate 余計なものを削る
どこか一部を取り除くとどうなるか?
‐Rearrange/Reverse 並び替える/逆にする
並び替えるとどうなるか?
逆にするとどうなるか?
SCAMPER法はシステマティック(体系的)にアイディア出しを行えますが、いかんせんあまり楽しいものではありません。
とはいえ、「SCAMPMER法」もやったほうがいいので、ひとまずやりましょう。
「オキシモロン」を活用した商品開発で競合が存在しない新たな市場を創造しよう
同時に、私がおススメしているのが「オキシモロン」を活用した発想法です。
これは、日本語では「撞着語(どうちゃくご)法」、あるいは「矛盾語(むじゅんご)法」と言います。
具体例をあげましょう。
・冷たい太陽
・柔らかなダイヤモンド
一般的な認識として、太陽とは熱いものです。それを“冷たい”と形容すると「おやッ?」と思いますよね。
また、ダイヤモンドは一番硬い鉱物ということは誰もが知っているので、「柔らかなダイヤモンド」と言われると「矛盾した表現」と感じます。
だから「矛盾語法」=オキシモロンと呼ばれるわけです。
しかし、この本来ありえない組み合わせだからこそ、オキシモロンをヒントに商品開発に成功すれば、世に初めてでる商品として競合も存在せず、大ヒットにつながったり、新たな市場を創造する可能性があるのです。
例えば、最近オキシモロン的な発想で開発され、人気を集めているものに「グランピング」があります。
グランピングとは、「グラマラス(glamorous)」と「キャンピング(camping)」を組み合わせた造語です。
キャンプと言えば、自分たちでテントを設営し、コンロで火を起こし、食材を持ち込んで料理を作ったりするのが楽しみです。
ところが、グランピングでは、テントは運営側で設営済み、料理の準備からなにから全部、運営側のスタッフがやってくれるので手間いらず。
キャンプ気分を味わいつつ、高級ホテルなみのサービスを受けられるという矛盾した娯楽形態、それが「グランピング」です。
キャンプとは本来、自分たちで全部やるものだという固定観念にとらわれていたら、「グランピング」という新たなサービスは生まれていなかったでしょう。
グランピングを考案した人が果たして「オキシモロン」を意識したかどうかはわかりませんが。
オキシモロンの発想法を活用して成功した日本最大のヒット商品
あなたも、新商品開発のアイディア出しの一手法として、意識してオキシモロンに取り組んでみたらいかがでしょう。
なにしろ、「角ばったまんじゅう」「甘ったるいカレー」「高額なつまようじ」など、面白半分でいろんな言葉の組み合わせを出し合うのはとても楽しいですよ。
最後にひとつクイズ。オキシモロン発想から生まれた日本最大のヒットと言える商品は何でしょうか?
答えは「コクがあるのに、キレがある」。そうです。アサヒビールの「スーパードライ」です。
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