ますますの拡大を続けるAmazonのECサイトを法人として利用することは、企業にとって効率的に売上をあげる飛び道具となります。一方で何らかの理由で利用停止と閉鎖処分を食らった場合、キャッシュインで通常より6倍の期日がかかるため、一気に会社が火だるまになる可能性も。これを事前に防ぐにはどうしたら良いのでしょうか?
ある日突然利用停止!?アマゾンから入金がない
ECサイト運営は、自社サイトにて収益を確保することが理想ですが、収益を上げながら集客していくうえで、Amazonや楽天の利用を避けるのは中々難しいことです。
さて、本日はAmazonを利用する際の注意点を「税理士の視点」からお伝えしていきます。
Amazonを出店者として利用する場合には詳細な規約があり、これに違反しますと「利用停止」の処分がくだります。
これはイエローカードのようなもので、改善案等を報告することにより復活の余地があるようです。
これに対して「閉鎖処分」というものがあります。
この措置は、いわゆるレッドカードのようなものでして、復活の見込みはほぼ無い、と思っていただいたほうが良いでしょう。
通常はイエローカードが出たのち、改善がされない場合にレッドカードという流れなのですが、最近いきなりレッドカード処分という事案も起こっているようです。
恐ろしいことに、レッドカード処分が下された場合には、売上金は3ヶ月間入金されません。
というのも、購入者保護のために、マーケットプレイス保証を申請できる期限が90日後と定められているからです。
始める前に余裕を持った資金計画を建てよう
Amazonからの入金を前提として、仕入れや経費の支払を予定している事業者にとって、この閉鎖処分は死活問題となります。
なにせ、通常は14日ペースで入金されるものが、90日になるわけで、キャッシュインにかかる期日は実に6倍です。
実際に、この閉鎖処分を食らって「セラーフォーラム(カスタマーサポート)」へ、毎日のように阿鼻兌換の「助けて」クエスチョンが並びます。
この事態を避けるには、 Amazonからの入金は、「いつ止まるか分からない」という前提で2つの事前対策を行ったうえで、アマゾンを利用する必要があります。
1)売上のうちAmazonの占める比率をなるべく下げる
EC事業に限ったことではありませんが、収入源はなるべく分散している状態がビジネスの理想です。
同じ100万円でも、1社からの入金と100社からの入金では、安全性が違いますよね。
独自サイトによる売上(元請けの仕事)の比率を高める努力を、すぐに始めましょう。
2)自己資金を厚くしておく
Amazonが仮に利用停止となった場合にも、最低3ヶ月は運転資金が回るようにしておきましょう。
そのためにも、銀行融資等により資金を常にストックしておいてください。
事前に適切なリスク軽減措置を取るのが賢明
最初に古本販売から始まったアマゾンも、今では家電を始めとして、買えない商品は無いと思えるほどのラインナップを揃えるようになりました。
昨日のニュースでは、インターネット販売でも難しい分野である、青果などにもサービスが及ぶことが報じられています。
確かにAmazonの虎の威を借るビジネスは効率的かもしれません。
一方でそうなった時におけるAmazonや楽天の利用は、いわゆる「下請け」のようなもので、下請け企業は元請け企業の動向により、いつ危険にさられるか分からないという特徴があります。
どのような立場を選ぶとしても、取引にはリスクがあることを踏まえて、適切なリスク軽減措置を事前に講じることが賢明でしょう。
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