企業の競争力の源泉は、ハードからソフトに大きくシフトしました。如何に優秀な人材を雇えるかが、企業の浮沈を握る鍵となりつつあるのです。中小にとって、会社の魅力は社長自身である場合が多いですが、社長自らが人事を担当すると、逆に良い人材を逃す事もあり得ます。社員が10人を超えたあたりからは、人事担当者を置くことが賢明と言えるでしょう。
1人の優秀な人材は2万人の一般的人材に勝る
企業規模の拡大に伴って、バックオフィスを担う人員も増やす必要が出てきます。
経費精算や決算・申告の必要性もあり、経理担当者は多くの会社が割りと早めのタイミングで置いています。一方で難しいのが、人事担当者をおくタイミングです。
今回は特に「採用」という観点から、人事担当者の必要性について考えてみたいと思います。
ITの発達により、企業の競争力の源泉は、ハードからソフトに大きくシフトしています。
ここでいうハードとは機械や装置だけではなく、規模や社員数なども含みます。これまでは多くの人を雇い、人海戦術で営業や製造、オペレーションを回していく企業が強い傾向がありました。
この場合の採用力とは、結局は企業の知名度や製品力ということになり、採用担当者はその上でオペレーションを回すだけで十分でした。
しかし、時代は大きく変わりました。
スマホの進化やIoTの浸透を見ても分かるように、企業の競争力の源泉は今やソフトなのです。
よほどの技術力や特許がある場合は別ですが、多くの中小企業はソフト面で競争せざるを得ないのです。
ソフトの勝負とは人材の質の勝負であり、ビル・ゲイツも「最も優秀なプログラマーは、一般的なプログラマーの2万倍の価値がある」という発言をしているぐらい、頭数を揃えることが、あまり意味のない時代にすでに突入しています。
企業が成長するかどうかは、「いい人材」をいかに雇えるかにかかっているといっても過言ではありません。
2万倍は大げさですが、私もよく「そこそこの人材を5人雇うぐらいなら、その5人分の年収を払って超優秀な人を1人雇った方が、企業としては間違いなくいいですよ」とよく言っています。
優秀な人材を雇う業務は社長業と兼業が困難
また、雇用される側も決して、知名度が高い企業にいくことが正解だとは思っていません。
どういうことができるのか、そしてどういう人と一緒に働けるかが企業を選ぶ上での重要な指標となってきます。
そうなると重要なのは「人の魅力度」が企業の魅力度になるということです。中小企業においてはやはり、一番魅力的なのは社長自身である場合がほとんどでしょう。
しかし、経営者の仕事は企業を経営することであり、やらなければいけないことがたくさんあります。
社長が人事を兼務してしまうと、どうしても採用業務にコミットしきれず、いい人材を逃してしまうことも少なくありません。
労働力としてとにかく人が欲しいのであれば、求人広告を出して、社内にいる人たちで面接をすることで人を採用することはできるかもしれませんが、その人材があなたの会社を大きく成長させることはあまり期待できません。
なぜなら先述の通り、大事なのは「●人採用する」という頭数ではないからです。
従業員が10人超えたら人事専門担当者を雇おう
中小企業が成長していくためには、やはりいい人材が必要なのです。それも”超”がつくほど優秀な人材が。
今、成長しているベンチャー企業の多くでは、15〜20人程度の規模の時には、既に専業の採用担当者を据えることが、常識となりつつあります。
彼らは非常に話すのがうまく、また聞き上手です。おそらく営業やコンサルタントとしてもかなり成績を残せる能力を持っているはずですが、そういう人たちが採用にコミットすることで、その企業は優秀な人材を次々と獲得することができ、そして企業は成長していくのです。
こういう話をすると、「もう少し売上規模が増えてからじゃないと人事担当者をおくのはちょっと・・・」ということをよく言われますが、そういうことを言っている限り、売上規模は大きく拡大することはないでしょう。
企業がソフトで競争する時代において、最大の投資は人材です。
そのためにまずは、とにかく採用にコミットする人事担当者をおかなければいけません。それも、あなた以上に自社の魅力を語ることができ、人を見る目がある優秀な人事担当者を。
目安としては社員が10人を超え、さらに20人以上の規模を目指していく局面に入ったタイミングでは人事担当者をおいた方がいいでしょう。
企業が成長できるかどうかはいい人が採用できるかどうかできまります。そのためには優秀な人事担当者が不可欠なのです。