年金2,000万円問題への対策として貯金するのはもったいないので、積立NISAがおすすめだという声を耳にします。貯金しておくよりは、積立NISAの方がいいのですが、貯金感覚で積立NISAにすることは危険だと専門家は指摘します。一体どういうことなのでしょうか?
積立NISAは貯金感覚でやらないこと
こんにちは島倉です。
貯金感覚で積立NISAをやると非常に危険だという話を解説したいと思います。
年金2,000万円問題から、最近フィナンシャルプランナーの方々が貯金するのはもったいないので、積立NISAがおすすめだとしきりに言っています。
確かに貯金しておくよりは、積立NISAの方が増えるわけですから、その方がいいです。
ただし、貯金感覚で積立NISAにすると、とんでもないことになるということを今回解説したいと思います。
積立NISAは安全?
積立NISAというのは運用益が非課税で、かつ危ない商品はほとんど排除されているので、安全な商品ばかりあります。
さすがに金融庁がすすめているだけあって、そういった制度設計がなされているので、基本は値上がりするということが前提になっている商品が中心です。
積立NISAで失敗する理由
「高齢化社会における資産形成」という、麻生大臣が否定した金融庁が発表したレポートの中でも説明がなされています。以下、解説します。
積立NISAは「長期・積立・分散投資」
基本、積立NISAというのは、「長期・積立・分散投資」なのですが、
例えば5年積立NISAをやっている人は、100万円が5年後には72万円から173万円の予想ということですので、72万円に元本割れする人がいるということです。
一方で、20年間運用した人は100万円が185万から321万に増えているということなので、20年やっている人は全員成功していることになります。
5年間では100万円が72万まで落ちている人がいるので、全員が成功するというものではないということです。
投資に失敗する人の例
なぜこうなってしまうのかということですが、1つの事例を紹介したいと思います。
アメリカの偉大な投資家、ピーターリンチが、0.2億ドルのファンドがあったのですが、ピーターリンチが投資をしたことによって、13年間で100億ドルになりました。
これはすごいということで、多くの人がこのファンドに入ってきたわけです。結果はどうなったかというと、多くの人は損したのです。2億ドルのファンドが100億ドルになったのに、なぜかと思いませんか。
投資は直線的に右肩上がりにはならない
その損した理由は、含み損のプレッシャーに耐えられず、みんな途中で辞めていった、つまりどういうことかというと、投信も為替もそうですが、直線的に右肩上がりでいくわけではありません。
基本は、常に波を描きながら上がっていくわけです。
貯金の感覚でやっている人は、下がったところで焦って売りにいってしまうので、結果的に損をするのです。
アメリカのファンドも同じ理由で、多くの人が下がった時に焦って売って損をしています。
積立NISAで失敗しないためには
先ほども説明しましたが、積立NISAは「長期・積立・分散投資」ですから、積立するのであれば20年間がっちりホールドすることが大事です。
途中の含み損は気にしない
フィナンシャルプランナーにすすめられて、貯金感覚で始めた方は、含み損に対してプレッシャーに負けてしまうので、損をするのです。
積立NISAは金融庁がすすめているように非常に安全な商品です。
20年間は絶対にがっちりホールドすることが基本です。
そうではなく、2年、3年や5年とかで含み損を抱えた時に焦って売ってしまったら終わりだということです。
iDeCoと積立NISA
確定拠出年金のiDeCoの方は60歳になるまで解約できません。
為替のトレードであれば、いいところで損切りして、また次に仕切り直しをよくやりますが、それは短期トレードだからです。
積立NISAは20年間という長期のトレードなので、1回入ったらもう放っておくのがポイントです。
含み損のプレッシャーに耐えられない人は積立NISAに向かない
積立NISAは貯金ではなく、投資の世界の話なので、含み損を気にしない方だけが成功しますし、含み損を見て、プレッシャーに耐えられない人は、結局損をしますので、積立NISAはやめたほうがいいということです。
そこだけは間違わないように注意していただきたいと思います。