麻薬取締法で逮捕された清原和博容疑者は、初犯であることから3月中旬の保釈が観測されていますが、保釈金は1千万程度になると予想されています。彼は著名人であると共に会社の経営者でもあります。会社経営者の保釈金を会社が捻出することはできるのでしょうか?たとえ冤罪でも、逮捕される経営者は多々存在します。保釈金と会社の費用捻出について正しい知識を得ましょう。
清原和博は株式会社オフィスキヨハラの経営者
清原和博容疑者(以下:清原容疑者)が、覚せい剤取締法違反(所持、使用)で逮捕されてから。遂に1ヶ月が過ぎました。
今回の事件では、清原容疑者が初犯で証拠隠滅の恐れがないということもあり、3月中旬には保釈され、保釈金は、1千万程度となることが観測されています。
話はかわり、清原容疑者は著名人であると共に、株式会社オフィスキヨハラの経営者でもあります。
そこまで資産も残されていないものと思われますが、もし会社を通じて彼が保釈金を用意するとしたら、どのような経理の過程を通じて、会社は保釈金を捻出する必要があるのでしょうか?
逮捕された場合の保釈金はどう捻出できるか?
刑事事件の容疑者として逮捕され、その後起訴をされると、逃亡の恐れ・罪証隠滅の恐れが無い場合には、保釈金を条件として保釈されることが可能となります。
この保釈金を会社が負担することはできるのでしょうか?
そもそも保釈金は、逃亡や証拠隠滅を図ったりしなければ、裁判終了時に全額戻ってくるものです。
そのため、もし会社が本人の代わりに保釈金を支払った時にはその個人に対する貸付金、戻ってきたときには貸付金の戻りとして処理することができます。
更に保釈金は、納付時点で会社の費用とすることも可能です。
一つ目に、本人への給与・賞与として費用計上する方法があります。
ただし、この方法には所得税等の負担が個人に生じるのと、役員であれば税法上の損金とできないという問題があります。
2つ目に、その人が従業員でも役員でもない第三者であれば、そもそも給与・賞与としての支払い自体ができないということになります。
従業員や役員ではない人への負担であれば、寄付金という扱いで費用計上することになります。
こちらも受け取る本人は所得税・住民税の負担が生じます。会社では寄付金に、税法上損金として認められる上限額がありますので、それを超える金額は損金から除かれてしまいます。
また、会社の業務に関係のない支出ということになれば、株主から役員が訴えられるという可能性もあります。
保釈金の支払いが必要なまさかのケースはある
以上のことから、清原容疑者が、もし会社を通じて保釈金を支払うことになった場合は、会社の費用として保釈金を支払うことが可能ではあるが、複数の株主が存在する場合は、非常に困難を極めるということがわかります。
今回は誰もが知っているケースを例えとして、会社を通じた保釈金の支払いについて説明しましたが、これは対岸の火事として捉えられない、身近に想定しておくべきケースです。
なぜなら、実際に悪いことをしていなくても、ある日経営者がいきなり捕まり、保釈後に冤罪が判明するケースというのは多々存在するからです。
人生には「まさか」という場面が起こり得るため、このような時に慌てず適正な対応を取ることができるよう、経営者が保釈金と会社の費用について知識を得ておくことは賢明です。