仕事で車を利用するときに、本当に些細なきっかけで違反切符を切られてしまう場合があります。事情を聞いて同情の余地があるときに、違反切符の費用を経費として計上することは可能なのでしょうか?これを考える上で重要な概念となるのが、「経費の2要件」です。もしものために覚えておきたい知識をご紹介します。
あるよねぇ…駐禁・スピード違反などの罰金
仕事で車を使うような時に、駐車禁止やスピード違反で罰金を取られてしまうことって、それなりにありますよね。
本来は、社員であろうと経営者であろうと違反を犯した個人が、これらの費用を負担すべきものです。
ところが中には、誰が見てもやむをえぬ理由で、これらの違反を犯してしまう場合があります。
理由を聞いて大いに同情に値する余地があった場合、社員なら費用を負担してあげることで、会社にプライスレスの信頼を寄せてくれる場合もあります。
そこで本日は、社内の人間が軽い罰金を支払わなければならない場合に、仕事中のミスということで会社が罰金を負担してもよいか?考えてみましょう。
罰金は経費になる?経費の2要件で判断しよう
会社が支出を伴う費用を負担する場合には、2つの要件を認められる必要があります。
第一に、単純に会社が経費として処理すること。第二に、その経費が法人税を計算するときに損金(=費用)として認められることです。
1番目はそれほど難しくありません。会社がその罰金を会社が負担すべきものとすれば、租税公課などの科目で経費処理します。
そういう意味で、会社の費用とできるかどうかは○ということになります。
但し、税金を計算する上での損金とできるかは、話が異なります。
罰金に損金性を認めると税金が安くなってしまします。
それでは罰金を効果を薄めることになってしまいますので、損金としては認めないと定められています。
この意味では、会社の費用とできるかどうかは×ということになります。
給与や賞与として支給する手はずもあるが…
いくら同情の余地があるとしても、やはり罰金を経費として処理することは難しいようです。
何か手はずはないのか?という方に、苦し紛れですが一考できる方法があります。
会社の経費でなおかつ法人税の損金とするには、その違反をした個人への給与または賞与として支給するという方法があります。
ただしこの場合、その人に所得税や住民税、社会保険料の負担が生じるという問題もあり、またその人が役員であれば、役員賞与としてやはり損金性が否認されることになってしまいます。
やむをえぬ理由で違反した社員へのケアは、食事に誘って苦労を労るなど、お金とは違った形で補填するのが、一番なのかもしれません。