2代目・3代目の社長さん達が、創業者から会社を引き継ぐ時に抱える悩みは、思いの外似たものとなります。従業員による創業者との比較、自らが創業していない故に資金繰り面で弱いなどのものです。これらの悩みを克服するために、2代目・3代目の社長さん達はどう行動したら良いのか?沢山の家族経営企業を見てきたキミアキ先生が、解説してくださいます。
2代目は初代と比較されボンクラ扱いされ易い
2代目・3代目の社長さん達は、どこの会社でもあるように従業員さんと上手くいかないなど、色々あるみたいです。
ですが皆さん、悩みどころは似たり寄ったりです。
そもそも論として、2代目3代目さんは創始者・創業者さんにに比べると、常に新しいことを考えて、新しいことを実行していくという、そういうものが欠けているというのが普通の事だと思うんです。
というのも、創業者が貴方に会社を残したというのは、これ凄いことなんです。
何故かと言うと、10人の創業者がいれば、そのうち9人が自分の代で会社を潰してしまう中で、貴方のお父上はその10人のうちの1人となり、会社を自分の子供に引き継いでいるわけですから。
それだけで、本当に凄いことなんです。
ですから比較されると、必ず2代目3代目はボンクラみたいな扱いをうけるんですけど、1代目は生き残った凄い人なんだから、これはしょうがねぇと言うしかありません。
資金繰り弱く経営の勉強もしない二代目は怖い
人間力を比較されるうちはまだ良いのですが、本当に怖いのは「創業者より資金繰りに弱い」ことです。
創業者さんよりも、2代目・3代目さんは資金繰りが弱い場合が非常に多いです。これが致命的なんです。
創業者は、本当にお金の無いところから起業していますから、資金繰りの苦労というのはイヤという程知っているんです。
イヤというほど。
ところが2代目・3代目は、創業者がある程度の取引基盤を作ってきてくれた分、それほど資金繰りに困らないわけですよ。
如実に出るのが、業績が良くてもお金ってものは基本的に足りなくなる。業績が下がるともっと足りなくなる。
大体は業績が下がって、お金が無いというのが普通なので、業績が下がっている大元の事業を建て直した上で、緊急的な月末の資金として一時的に資金手当をするというなら良い。
ところが、2代目3代目はそれを一切しない人が本当に多いんです。
原因となっている大元の事業をほったらかしにして、資金手当だけをする。
お金無〜い。銀行貸してくれるから借りてこよう〜♪
またどんどん無くなってる。またお金無くなってきたまた借りてこよう〜♪
これが本当に怖い。これだけは本当に気をつけた方が良いです。
しかも、こういう2代目・3代目は、先代に比べると勉強しない場合が多い。そこそこ良い学校を出ていても、経営の勉強は殆どしない。
ですから、もし心当たりがある方がこの文章を読んでいたら、経営のお勉強はしっかりやってください。
比較されても気にするな!創始者は獣と思え!
先ほどの人間力で比較される場合の、感情対策に戻りましょう。
こういう場合、創始者、あの人達は人間じゃないと思った方が良いです。獣(けもの)なんだからって。
「自分たちはあんな風になんてなれない」って思って、割りきっても良いんです。
よくサル山の例えが出ますが、創始者というのはサル山のボスですよ。
そこで生き残って子どもたちに事業を引き渡すんですから、もう獣ですよ。
そして、そのサル山の大将であり、獣ことボスにも言い分があって、悩んでいることがやっぱりあるんです。
サル山のボスの悩みというのは、今は本当に後継者がいない時代ということです。
後継者がいるだけ、これはマシなんです!今は親の会社に入ってくれる子供がいないんですから。
子供は子供で独立して、サラリーマンとして働き、結婚して妻を迎え子供をつくって自分の家庭を持つ。
大切な家族がいるのに、何が悲しくて中小企業の跡継ぎにならなきゃいけないんだ?となるわけです。
これで今、東京でも商売を閉じている所が結構存在ます。子供達はそれぞれ独立して生活を確立しているので、家庭はそれほど悲惨なことにはならないんですが。
だから、要請されて会社を継ぐこと自体に、大きな価値があります。
従業員に好かれるより二代目に求められること
それから、もし自分が無理やり、その会社に2代目・3代目として入社することになり、従業員さんに好かれたければ、最初は一緒に作業をしましょう。
これは創業者でも何でも同じで、同じように作業さえしていれば、基本的に従業員はあなたを好きになってくれます。
ところが、こればっかりやっていると会社は潰れます。
というのも、創業者も2代目も3代目も現場の作業に夢中になってしまえば、結局は新規のお客様が取れなくなった時に、これが原因で必ず倒産への道になっていくからです。
2代目・3代目さんで多いのが、先代が作ってくれた基盤の中だけで事業をやっちゃう場合です。
先代が残してくれたお客様もどんどん減っていくものなんだから、それを補って行くためにも、自分達で新規をどんどん獲って行かなければならない。
しかし、ボンクラな2代目・3代目さんは、そんなことを絶対思わない。
だから、なんかおかしいな〜、親と同じことやってるんだけれど、なんか業績悪いんだよな〜と錯覚する。
2代目・3代目さんは、従業員に好かれることも大事なんだけど、新規顧客の獲得で成果を上げることを意識する必要があります。
職場と自宅を近づけて家族全員で加勢しよう
そして2代目・3代目さんに周りの人達ができることが一つあります。
会社と自宅が離れているなら、それを近づけるようにしてあげて、家族全員でその商売を助けていくことです。
これはファミリービジネスや家業のやりかたで、これがめちゃくちゃ堅いやり方だったりします。
こういう事をきちんとやっている会社というのは、本当に潰れにくいんです。
うちの会計事務所もそうで、12月〜3月の繁忙期は家族が手伝ってくれます。長崎から両親も出てきて加勢してくれてます。
これをやっているので、なんだかんだ、もう既に15年もやっているんですよ。
家族が味方になってくれると、2代目・3代目さんも頑張りますし、本当に強い会社になりますので、ぜひ参考にしてみてください。