形式だけの人事制度を導入しても変わらない!人事制度を導入する前にやるべきこととは?

経営

みなさんこんにちは組織活性化プロデューサーの南本です。
今回は形式だけの人事制度を導入しても離職率やモチベーションにはあまり影響を与えないというテーマです。

スポンサーリンク

中小企業の人事的な課題

離職率が高い

中小企業の人事的な課題で一番多い経営者の悩みというのはやはり離職率が高いということです。
高い募集費をかけて採用してもすぐ辞めていくという感じです。

モチベーションが上がらない

中途採用はやはり特徴と癖がある人が集団になってやってきますので、どうしても経営者の方針にうまくなびかず、経営側からはモチベーションが上がっていないように見えてしまいます。

成果が上がらない

営業職とか技術職とか同じ職種であっても、他の会社でやっていたこととアプローチの仕方とか微妙に違うので、やっぱり成果が上がってこないという悩みです。
どんなに履歴書が素晴らしくても、成果が上がるか分からないという悩みがあります。

人事制度を導入したがる

だいたい中小企業の社長さんはこんなことを考えます。「そうだ、我が社も人事制度を入れればうまくいくだろう。」という感じで人事制度をすぐに入れようとします。

入れるのは簡単です。

コンサルタントに頼んで、形式的な等級や給与体系や評価制度を作ってもらって、さあやろうというのは簡単ですが、それではダメなのです。

スポンサーリンク

人事制度を導入する前にやっておくべきこと

人事制度というのは等級制度と評価制度と給与体系の大きく3つの柱になりますが、私の考え方でいくと、20人前後の中小企業の経営者であれば人事制度を入れる前にやることがあると思いますので、それを紹介します。

運用面の仕組み構築

まず運用面の仕組みを構築していますか?
根性、気概、やる気、最後まで運用を徹する気合いといったものがありますか。
あればOKですが、ないのであれば人事制度の導入はしないほうがマシです。

経営理念・ビジョン・求める人材像の構築

経営理念・ビジョン・求める人材像というものをきちんと構築していますか?
構築していればOKですが、これは結構重要なことです。

中途社員の採用で、会社の理念やビジョンというものをないがしろにして、履歴書のスキルを見ながら、優秀者をどんどん入社させてしまうと、会社が求める人材像とは違う人がどんどん入社してきます。

それなので、離職率が高くなるわけです。

根本の原因が人事制度にあるわけではなくて、経営戦略や経営ビジョンからブレイクダウンして、本当に欲しい人材はどういうことができる人なのかということを経営陣がまとめないで採用してしまうので、うまくいかないわけです。

まずこの経営理念・ビジョンを構築して求める人材像が確立されていればOKです。

その次に運用をやる気合いがあればOKで、この2つが揃っていれば人事制度を導入してうまくいくかもしれないと思っています。

スポンサーリンク

やっておくべきこと・運用面の構築

運用面ではどういうことをするべきかを少し細かく解説します。

面談の仕組み

まずは面談の仕組みです。
上長と部下は上長が1に対して、部下は5、6人というのが面談のしかたです。

支援回数

私のおすすめの支援回数というのは、毎月目標設定をしたとして、その目標に対して、うまく進んでいるかを上長が部下とすり合わせをしながら、できていないところがあれば支援していく、そういう支援回数のことです。

最低でも毎月1回、12か月あれば12回きちんと支援しないといけません。
そういう仕組みをつくっていますか。そのための時間を取れますか。
そのための時間が取れないのであれば、やらない方がマシです。

フィードバック面談

フィードバックはとても大事です。

本人が例えば80点だと自己評価したときに、上長が70点をつけたとしたら、その10点の差は何かということを本人にフィードバックしないといけません。

これはとてもエネルギーが必要です。

そういう面倒なエネルギーを仕組みとしてしっかり組み込んでいますか。
組み込んでいればOKです。

フォロー体制の構築

なにかつまずいて困っているのであれば、別の人が代替したり、上長が助け船を出したりというフォローができるようなそういうチームを経営者として作っていくことが必要です。

評価の点数化

評価の点数化というのは一番もめるものです。
自己評価で80点の人が、上長や社長の総合評価が70点なのはどうしてなのかを面接しながらフィードバックしていかないともめます。

また、評価部門間の調整をすることが一番厄介なのです。

たとえば、営業部に3つ部門があったとします。
Aの営業部門長はゆるい評価をする部長で、B部門の部長は普通の評価 、C部門はかなり厳しく評価する部長だったときに、社員は同じような出来栄えなのに、Aの部長は90点だけど、普通のB部門は80点で、厳しい部長のC部門は70点とか60点になるわけです。

評価というのは、この60点と90点の差をどうやって調整するかというのがものすごく難しいのです。

ですからこのようなことをきちんと仕組みとして組み込んで実践できる気合と根性とやる気がなければ上手くいきません。

このように運用面の仕組みをつくっておかないと中小企業では絶対運用できません。
それなので、評価制度や人事制度を入れたとしても形骸化するのです。
私の15年間の経験ではほぼ形骸化して、運用しなくなります。

スポンサーリンク

経営理念・ビジョン・求める人材像の構築

経営理念・ビジョン・求める人材像ですが、要は経営戦略を作っているか、経営戦略のもとに経営理念やビジョンや行動指針が入ってきます。
その行動指針が求める人材像になってくるわけです。

このようなことができてはじめて、人事制度を考えていかないと、中小企業は離職率が高いという課題が経営者の頭の中をもやもやしていて、行動指針や求める人材像をないがしろにして人事のところだけ手をつけようとすることが多いです。

これでは本末転倒です。

人事制度の導入は求める人材像を構築してから

まず経営の仕組みをしっかり作って、求める人材像をきちっと定義してから人事の話をすべきです。
手を抜いて、そこの工程をカットして、人事の給与体型や評価制度に手をつけていくので形骸化してしまうのです。

評価によって社員の給料が決まるのです。
汎用的な評価を自社に持ってきてもなんの役にも立ちません。

求める人材像をまず定義して、どういうスキルが重要なのかを経営陣やリーダーや社員を巻き込んで決めて、その決めたことに対して目標設定や行動評価をしてください。

人事制度をつくるのであれば魂を入れる

結論ですが、20人以下の中小企業であれば、求める人生像を決めて、それから制度を導入することには全く反対しません。

形骸化したシステムであっても、人が介在して、運用面をきちんと年間のサイクルでルーチンで回せるようになると魂が入ったことになります。
そこまでいけばOKです。

形式だけの人事制度を導入しても離職率やモチベーションの低下に影響を与えることはないので、社員全員が同じ方向を向いていくような人材像、行動ビジョンを一致団結で作ることができればOKです。

とてもエネルギーを使うし、時間もかかるし、負荷もかかりますので、経営陣も部長も社員もみんなでエネルギーの負荷をかけてやりますかということを1度話し合ってください。

それでも社長が進めていくということであれば、いい結果になると思います。

魂を入れた人事制度をぜひ導入してください。
そうすれば会社は成長していくものだと思います。

中小企業は「氷河期世代の正社員雇用30万人増へ」の国策に乗っかるべき!
みなさんこんにちは。組織活性化プロデューサーの南本です。 今回は「中小企業は氷河期世代 正規雇用30万人増へ」という国策が出ましたので、これに乗っかっていきましょうというお話です。 2019年骨太政策「就職氷河期世代の支援プログ...
形式だけの人事制度を導入しても、離職率やモチベーションは変わらない
経営
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。
南本 静志

和歌山生まれ。株式会社紀陽銀行入行。銀行業務を2年程度経験後、システム部へ異動。

システムエンジニアとして銀行オンラインシステムや情報系のマーケティングシステムの構築で活躍する。

30歳代の後半には日本ユニシスに出向し、金融機関向けCRMマーケティングシステムの業務設計のリーダーを任される。その後、コンサルタントとして独立、現在は東京千代田区で経営コンサルティング会社と社会保険労務士事務所を設立し、代表に就任。

中小企業診断士及び社員を持つ経営者としての立場で、幹部社員(部長、課長、係長等)を次期役員に昇格させるようなマネジメント系の人材育成プログラムに強みを発揮している。また、初級管理職(主任や中堅リーダー)に対するモチベーション研修や自己発見研修も得意。

アールイープロデュース 

適性検査Cubic(キュービック)

東京中央社会保険労務士事務所

東京中央給与計算センター

組織活性化ブログ
 
動画ブログ(組織活性化TV)

南本 静志をフォローする
節約社長