読者の皆様は、格安でメガネをつくれる専門店「JINS」を利用されたことありますか?JINSはここ数年で急成長した企業ですが、店舗を短期間で増やした小売企業に起こりやすい、店頭での「接客サービスの低さ」に悩んでいました。形式的な決まり文句しか店員が言えないため、接客されたと顧客が感じていなかったのです。JINSが接客サービスを向上させるために取り組んだ秘策をご紹介いたします。
JINSの接客は印象に残る良い対応で評判
先週の記事「今日から出来る CRMを活用したリピーターを創出する接客術」で、接客におけるCRM実践のポイントは、「印象に残る接客をする」ということをお伝えしました。
今回は、「印象に残る接客」がどれだけ効果があるのかを、具体的な事例を示しながら掘り下げて解説したいと思います。
さて、読者の皆様は、格安でメガネをつくれる専門店「JINS」を利用されたことありますか?
たとえ利用したことはなくても、パソコンモニターからでるブルーライトをカットする「JINS PC」が大ヒットしたことをご存知の方は多いでしょう。
私は数か月前に初めて、JINSの店舗を利用しました。私に合わせたメガネを提案しようと一生懸命な、とても心地よい接客で、十分に「印象に残る接客」だったと思っています。
メガネの品質、値段にも満足してますので、これからもリピート確実です。
しかし、ある時点までJINSの接客は突出して「印象に残る接客」だったわけではありませんでした。
形式的な決まり文句を止め顧客の評価高まる
JINSはここ数年で急成長した企業ですが、店舗を短期間で増やした小売企業に起こりやすい、店頭での「接客サービスの低さ」に悩んでいました。人材育成が追い付かなったわけですね。
ただし、決して「悪い接客」を行っていたわけではありません。マニュアルに沿った型どおりの接客しかできていなかったというのが現状。そうすると、利用客の評価はどうなるかわかりますか?
JINSでは、商品購入者に対して顧客満足度アンケートを実施していますが、自由回答の中に、JINS担当者が衝撃を受けたコメントがあったのです。
それは「接客がなかった」というもの。
メガネの場合、かけ具合など細かい調整もありますし、接客は不可欠。
ところが、利用者は「接客してもらった」と感じていなかったわけです。これはまさに「印象に残らない接客」ということです。
そこでJINSでは、形式的な決まり文句(「どうぞご自由にご覧になってください」など)だけでなく、顧客に対して具体的な提案(「お薦めはこちらです」等)を行うようにしました。
そうすると、アンケートの「接客対応」の項目の中にある「フレンドリー」という評価が、突出して向上する成果につなげることができたそうです。
一歩踏み込み会話することで印象に残る接客を
数か月前に私がJINSで受けた接客は、確かにフレンドリーさを感じさせるものであり、JINSの「印象に残る接客」の取り組みはきっちり成果を出していると感じました。
上記の「具体的提案」は、先週の記事でCRM効果が期待できる2つ目のポイント、お客さん一人ひとりを「個人」として認識して個別対応することに該当しますね。
ロボットでもできる形式的な言葉だけでなく、一歩踏み込んでお客さんと個別の会話を交わせるようなテクニックを磨く。
これが「印象に残る接客」につながる近道ですし、過剰な販促費を使わなくてもリピート客を生み出す秘訣です。