しかし、経営者自身はそもそも、和を大事にする人々の中で自らリーダーになりたいと手を挙げたおばカッちょであり、おバカっちょが他人に「頭使え」ということ自体がナンセンス。
人材を適材適所に配置し、最初は細かなトップダウンの指示出しができれば、その人はいずれ自ら考え動くようになります。その時、経営がはじめて安定してくるのです。
そこで、本稿では「使えない上司」「使えない部下」について、キミアキ先生に解説していただきました。
「使えない上司」「使えない部下」は作られた存在
今日は「使えない上司」「使えない部下」という言葉について考えていきましょう。
私も30歳過ぎまでサラリーマンをやっておりまして、勤め人だったんですけれども、その時はこの使えないっていう言葉を、チョット真に受けていたなって思っています。
勤めていた時は、「使えない上司」だったり、「使えない部下」っていうのを、言われている相手方が悪いと思っていたんです。
ところが、自分が会社を起こして、リーダーになったりするとですね…世の中は不思議なものですね…(笑)。
私は下請けをやったことがないので、下請けだったら仕事の発注先が仮想上司みたいになるんですけれども、完全独立系だと上司がいなくなるんですよ。
そうすると、この重い言葉…『バカとハサミは使いよう』という言葉に対して、ひしひしと感じるものがありまして。
それから、『適材適所』って言いますけれど、そもそも、その人材の適正に合わない事をやらせているんじゃないかとか。
そういうふうに、自己責任的なものを感じるようになるわけですよ。
最初は切れ味が悪いハサミでも、使いようで切れるようになると考えているんですよ。
でもね〜、ホントに適材適所でやれば使えるようになるのか?!って、最初は私も考えられなかったです。
というのは、あまりにバカすぎて「コイツ本当なんとかならねぇかな」っていうことをね、私も含めみなさんが経験してきたわけです。
経営者になる人はそもそもバカ
日本人って自分から手を挙げてリーダーになったりなんかしないんですね。島国根性のようなもので和を大事にしますから。
バカなもんだから自分で手を挙げて、会社を起こして「一国一城の主になったるわーッ!」とか言って、一軍を率いて一戦を交えたるわ!!!みたいな、どー考えてもバカなんです、自分たちが(笑)。
バカな経営者が他人に「頭使え」というのがナンセンス
自分たちがバカのくせに、人を見ると…もうなんとか頭使ってやってくれんか!なんて思ってしまうんですね。
しらべぇさんの調べによると、
お勤めの方の実に37.6%の部下がイラッとしている言葉が、「おまえさ、頭使えよ!」です。
この言葉を言われると、やはりかなりの方がイラッときているようです。
我々のような経営者も本当は自分たちが悪いんですよ。リーダーとして、部下の使い方が悪いから思い通りに動いてくれないんです。
ですけれど、ついついね!イラッときて感情的になって言っちゃう事もあるわけです。
「おまえ、頭使えよ!」と言っちゃお仕舞いよ
私も最初は、「おまえさ、頭使えよ!」なんて言いたくないもんだから、人に物事をお願いする時は全て文章化していたんですよ。
毎朝、仕事に入る際は、スタッフさんの作業に対する指示出しに、コンピューターで見られる掲示板を使っていたんです。
スタッフさんが出勤すると、その掲示板を見るんですよ。
赤のアイコンで『指示』っていうのがあって、その日にやる仕事が箇条書きであって、スタッフさんはその作業が終わったら『報告』という青のアイコンで返信する。
相談事だったら、『相談』っていう緑のアイコンで「ここが分からなかったです」なんて送ってもらう。
そういう形で報・連・相を掲示板でやってもらっていました。
ところが、これに慣れてくると、スタッフさんが自ら考え自ら動くようになってくれたんじゃないかな〜?という油断が出てくるわけです。
この油断がホントにいかんな〜と思う時があるんですけれど、人によっては全然頭を使わない人もいるわけです。
そうすると現場…事務所に行くと、とにかくイラッとくる。
「少しは頭使ってくれよ!!!(怒)これじゃあ、ダメでしょ」って。でも、それでも、やっぱりそれは言えないわけです。
どんなに「バカ」と思った人でもイキイキ働ける場所があるはず
私も1回だけ「頭使ってくれ」と言ってしまったことがあるんですけれど、その人は辞めるまでずっとバカでした。
だけど、我々のようなリーダーとしては、本当にバカとハサミは使いよう。
自分たちは上手い使い方ができなかったんだって、今になってすごく反省しています。
ちゃんと合う仕事を与えてあげられていたら凄く活躍できたはずだし、業界を変えて違う業界で働けばよかったのになぁ…って、今でも思っています。
私が経営革新でやった事があるんですが、居酒屋の立て直しの時に、この時もやはり指示はきちんと出さなきゃいけないということで、お店の開店前にスタッフさんの所へ行っていた時期がありました。
必ずお客様の立場で店を見て、少しでも汚れていることろがあったら、クリーンネス、とにかく掃除、掃除、掃除。
「あそこと、あそこと、あそこを掃除してくれ」と、場所をちゃんと具体的に指定して指示しました。
「掃除やっといて〜〜」っていうのじゃ、ダメなんですよ。
イライラしたくなければ社長は現場に出ないこと!
最初のうちはトップダウン=使えないと思うことも
特に、経営革新の時なんかは、とりあえず言った通りやれって、トップダウンで命令に従ってもらう必要があります。
今までどおりでやっていきたいんだって。古株さんとか中心にね。
でも、ここで負けちゃだめなんですよ。スタッフに勝者のマインドを生むために、どんどんどんどん成功体験(同じくらいの失敗)をこなしてもらわないといけないので。
やがてボトムアップが起こる=使える部下に変身
なんか、あいつの会社、メンバー全員強いな。優秀な奴ら集まってるな。ってなるんですよ。
こういう形でボトムアップが起こってくると、会社の経営ってかなり安定してくるんですよ。本当に。
「もう任せておけば良いや」って感じでね。
そして、ボトムアップが起こるようになると、社長はもうそれほどイライラしなくなります。
逆にトップダウンでやっているうちは、とにかくみんなが「少しは頭使え!」っていうのを言いたくて、言いたくてしょうがないくらいに、社長がイライラするもんなんです。
私にもその気持ちは凄く分かります。
イライラ社長は現場に行かないが答え
イライラするくらいだったら、もう会社に行かない。その方が良いんです。
従業員もね、イライラしている社長の元で働きたくないんです。
影で「使えない上司」みたいに言われるんだから、いっそのこと行かなきゃ良い。
だって、イライラしている上司というのは、部下から見れば、「使えない上司」なんですよ?