親族や友人から仕事をもらえるのは表面だけなら「楽」です。ただし、仕事として一度お金が発生すれば、そこには「お客様に対する責任」と「信頼し合っている仲間への責任」というダブルの責任が生じます。また、利害関係無く信頼しあっている同士だから発生する「安くしてくれる」という暗黙の了解は、長い期間を経てビジネス促進の重しとなってしまいます。
友人はみんな自分から商品を買うと思っていた若い頃
しかし、販売を進めていくうちに「ややこしい事実」に突き当たりました。
20代の前半で地方の若者と言えば、その多くが車のために生きているような生活を送っていますよね。
実家で暮らしながら適当に働いて、少ない給料をほぼほぼ車につぎ込みます。
良い車を買い、その車を自分好みに改造して、夜な夜なドライブする。そして、誇らしげに盛り場へ車で乗り付けて、女の子をナンパするのが人生の全てです。
かくいう私もその1人でした。
外車がみんな大好きで、だけどお金はそんなに持っていないから中古の外車しか買えません。(今となってはゴミみたいな車にしか見えませんが)
ところが中古の外車で、しかも若者に手の届く価格の車ですから、普通の車に比べたら何かと壊れます(笑)。電装系がイカれてしまったり、接触不良がすぐに起こるんです。
それは、正直言うと…運なんです。車検を通したすぐ後に、車が壊れることなんてザラにあるんです。なぜなら、そういう車だからです。壊れないこともありますが、大抵はどこかで壊れます。
案の定、友人達は次々と、「おい、宇田。お前のところで買った車壊れたんやけど。なんやねんこれ!」と言いに来ます。
この時かかるプレッシャーは、お客様に対する責任に加えて、友人に対してのダブルの責任がかかるということを、私は初めて知りました。
面倒くさい。本当にそう感じました。
友人だから値引きは当たり前⇒友人だから値引きする必要が無い
これともう一つ、私が友人からの仕事を基本的に受けなくなった理由があります。
友人をお客様にした場合、私と友人の間にはどちらにも必ず暗黙の了解が生じます。
それは、「友人なんだからサービスして当然だろ。値引きして当然だろ。」という暗黙の了解です。
でも、よくよく考えてみてください。これって逆なんです。本来は「友人だから値引きする必要がない」ってのが正しいのです。
というのも、値引きって何を目的に行わねばならないものか考えると、他でライバルと差別化できない、まずは買ってもらって信頼してもらうために値引きするわけです。
対して、友人との間にはそもそも太い信頼関係が構築できているわけで、なぜ値引きしなければならないのか、販売する側にとってみれば意味がわかりません。
ところが友人は、自分から外車を買うときは、「宇田だから安くしてくれる」と思っているわけです。
ですから、商売を長い間続けていこうと思った時に、身内や友人を頼りにしていると、最終的には尻すぼみにならざるを得ないと悟りました。
身内や友人からの仕事依頼で困っている人達へ
こんな経験から以後の私は、昔からの友人は友人のまま、バカ話をできる関係のままでいられるようにしようと決めました。
昔からの友人、小中高大で知り合って付き合い続ける友人って、「一緒にいるから楽しい」という理由で友人になったヤツばかりです。
そこに仕事を介在させるのが面倒くさいですし、できることならやらないでいたいんです。
こんなこともあり、今の私は友人から仕事をお願いされたら、「仕事は基本タダ。どうしてもって言うなら飲み代ぐらいおごらせてやる。」「やれない時はやれない。他に頼んで。」という形を取っています。
あくまでも遊びでやるわけですから、やりたくなければやらないですし、貸し借りもありません。
私の仕事はウェブ製作・コンサルティングがメインですから、原価は基本的に無くて、支払っていただく対価は「技術料」や「私の時間」に対するものなので、やりやすいところもあります。
でも、原価がある商売の人だと、ここらへんの事情は更にシビアなのではないでしょうか。
たとえば、家を新築したいと友人に頼まれたら、木材・釘・工具・人を使う人件費うんぬん…と必ず原価があるはずで、これを暗黙の了解で「安くして」って言われるとガクッと来る方もいると思います。
そんな時は、どうすれば良いか?
いつもの友達の軽いノリで、「面倒くさいから他行って当たれ(笑)!」って言えば良いだけです。
結構悩まれている方が多い問題だと思うので、もしよければ参考にしてみてください。