日本企業のグローバル化が静かに、しかし着実に進展しています。たとえば、「無印良品」を展開する良品計画は、売上の3分の1を海外で稼ぎ従業員の半分が海外店舗で働いています。グローバル化の進展に乗り遅れれば、気がついたら仕事がない、給料が下がってしまった、ということが十分にあり得ます。私達は今こそ世界に目を向ける必要がありそうです。
グローバルマーケティング研究会に良品計画社長、松崎暁氏が登壇
こんにちは。ジェネシスコミュニケーションの松尾です。
私が時々参加しているありがたい講演会があります。「グローバルマーケティング研究会(略して「グマ研」」)です。
グマ研は、御茶ノ水にある明治大学キャンパスの教室でほぼ月1回開催されており、誰もが知っている大手企業の方々が登壇されます。
テーマは文字通り「グローバルマーケティング」に関すること。
事前申し込み不要、かつ無料で参加でき、第一線で活躍されているビジネスパーソンの貴重な生のお話しが聴けるので、本当にありがたい会なのです。
さて、2017年9月21日のグマ研のゲストは、良品計画社長、松崎暁氏でした。今回は、松崎氏が熱く語ってくれた「良品計画のグローバル展開」について、かいつまんでご紹介したいと思います。
売上の3分の1を海外で稼ぎ従業員の半分が海外店舗で働く良品計画
良品計画といえば、唯一無二のブランド「無印良品」ですね。日本でも認知率はおそらく100%ですが、世界的にも人気を博しており、すでに「グローバルブランド」としての地位を確立していることはご存知でしょうか。
良品計画は一時期業績が低迷したことがありますが、近年、グローバル展開を加速したことにより急成長を遂げています。現在の売上高は約3千億円。うち、海外の売上が1千億円を占めるそうです。
店舗数は最新の数字だと国内420店舗、海外435店舗となり、海外店舗数は今年、ついに国内店舗数を上回りました。従業員数も、全体で約1万6千人のうち、海外店舗で働く方が8千人を超えているとのこと。
このように、同社の海外展開は順調に進んでいますが、その取り組みは最近始まったものではありません。
西友のプライベートブランドとして「無印良品」が誕生したのは1980年でした。そして、西友から分離独立し、「良品計画」が設立されたのは1989年。海外1号店がオープンしたのはわずか2年後の1991年のことです。
当時から、同社では「世界で通用しないと日本でも生き残れない」として、グローバル化を目指したのです。
もちろん、初期の海外展開においては数多くの失敗も経験し、撤退した国もあります。それでも腰を据えて取り組んだからこそ、近年の海外事業の急成長があると思われます。
今年8月下旬、カナダのバンクーバーに初出店したメトロタウン店の開店時には、なんと1600人以上の人が並んだそうです。ちなみに列を作った人々の8割方はアジア系だったとのこと。他の国でも無印良品の人気が高いのはアジア系の人たちだそうです。
日本企業のグローバル化は静かに進んでいく
さて、私たちが普段生活している分には、「外国人観光客が増えたなあ・・・」くらいの実感しかない人が多いと思いますが、グローバル化は静かに着実に進展しています。
日本企業の多くも、国内市場だけでは事業を維持できないという現実を認識しはじめ、海外展開を積極的に推進しようとしています。
企業レベルだけでなく、個人レベルでもグローバル化による影響は様々な形で表れつつありますね。
自分にとってプラスの影響であればいいのですが、マイナスの影響がないかについては意識を高くしてしっかり備えをしておきたいものです。
仕事がなくなる、あるいは給料が下がるといったことは、AIの進化だけでなく、グローバル化の進展によっても高い確率で起こりうることです。
Photo credit: xiu×5 via VisualHunt.com / CC BY-ND