マズローの欲求5段階説は、「生理的欲求」「安全的欲求」「親和欲求」「自我欲求」「自己実現欲求」という順に、人間の欲求が満たされることを説明する心理学の理論です。失敗しにくい商売を考える時に、私達はどの欲求を持つ人をターゲットとして顧客戦略を考えれば良いのでしょうか?ターゲットに近づくために為すべきこととは?キミアキ先生が解説いたします。
稼いでいる人は獲得衝動の強い人を顧客にする
今日はマズローと5段階欲求とお金の稼ぎ方を絡めまして、失敗しにくい商売は一体どんな顧客戦略によって実現するのか?というお題で話してみたいと思います。
うちのお客様の中で非常に稼いでいる集団が持っている顧客には共通点があって、獲得衝動という「衝動買い」の“衝動”なんですけれど、「より良い生活がしたい!」とか「より良いものが欲しい!」とか、そういう気持ちが強い方をお客様に持っているところが、大体儲かっています。
私共、あおば会計のマーケティングプランとしましても、どこら辺から顧客を取り入れているかというと、学習衝動「勉強したい!」という意欲の強いところを入り口にしていて、最終的には獲得衝動の強い方をお客様にすることを1つの顧客戦略としております。
参考記事:1億円プレイヤーがアプローチする顧客層は◯◯衝動が強い人ばかり
この、獲得衝動・学習衝動・親和衝動・防衛衝動というのは、ハーバード・ビジネススクールの人間行動学の研究チームがまとめた教書に掲載されているんですが、マズローの5段階と比較的似ていますので、今日は一緒くたに説明したいと思います。
マズローの5段階欲求をおさらいしてみよう
まずは、マズローの5段階欲求について軽くおさらいします。
マズローの欲求5段階は、以下のようなピラミッドで説明されます。
下から、レベル1=>レベル2=>…レベル5、みたいな感じで考えていただいて結構ですので、一つずつ簡単に見てみましょうか。
レベル1:生理的欲求
1番最初の要求というのは、生理的欲求ですね。これは、食事・睡眠・排泄など本能的欲求です。
いわゆる人間も生物ですからね(笑)。…生物というか動物というかね(笑)
動物として生理的欲求を満たされなければ、誰もが生きては行けません。これが最初に来るのは当然ですよね。
レベル2:安全的欲求
このレベル1の欲求が満たされたら、次はどこにいくかというと、レベル2の安全的欲求ですね。
これは、身の安全・健康・経済的安定が該当するところを言います。人間やっぱり働いてお金を得るのも、この安全的欲求があるからですね。
お金もある程度稼がないといけない。「衝動」で言うと防衛ですね。
この防衛衝動によって「動かされる」とかね、そういうふうなものにつながります。
レベル3:親和欲求
レベル2も満たされると次はレベル3の親和欲求が生じるわけです。
集団に属する仲間として愛されたいと。
これは、なるべく大きめの会社で働きたいとか、そのコミュニティに入りたいとか、ひとりぼっちは嫌だ!って、そういう欲求があるわけですね。
「衝動」でいうと親和衝動ですね。
要するに、これを買えば仲間に入れる!とか、そういうことで揺り動かされることがあると。
レベル4:自我欲求
親和欲求も満たされていくと、今度はレベル4の自我欲求が生じます。
他人から認められたい・尊敬されたい!って、ここら辺からだんだん自分の内側に欲求が向いて来るんですよ。
レベル5:自己実現欲求
そして、自我欲求も満たされてくると、今度はレベル5の自己実現欲求へと私達はたどり着きます。
「あるべき自分とは何なのか?」「自己成長したいんだ。」と。ここら辺まで実際に自分自身が行ってみると、本当に人間ってこういうものだよなって分かります。
安全的欲求の頃はとにかく余裕がどこにもない
じゃあ、実際のところ、私の場合で欲求がどう変遷したか考えてみましょう。
私も若い頃はとにかく安月給で、本当の底辺にいた時があって、安全的欲求を満たすことに精一杯だったんですよ。
とにかく給料が低いもんですから、もちろん酷い所にしか住めなくて、隣ともベニヤ板1枚ぐらいしか仕切りが無いような、風呂も無いような安アパートに住んでました。
そしたら、隣の奴がヘビメタ野郎で、しかも早起きのヘビメタ野郎なんですよ。朝の6時からシャウトしやがる奴で。
当時は本当に安全的欲求の部分でとても苦労して、物凄い不満が溜まっていたんですね。
ここから解消されたのは、自分が先生になって教壇に立つようになった時のことです。初任給34万円くれたんですよ。(涙)
それで安全的欲求から解放されて、欲求ごとに満たされていくと、やっぱり次から次へと欲求が出てくるもので、私も自我欲求をもう通り越しまして、今は自己実現ですね。
自分で勝手にハードルを設けて、自分で勝手にハードルを越えて遊んでいると。今はそんな状態になりました。
自分達に余裕がない頃はレベルの高い人の事情がわからない
だいたいですね、顧客戦略を考える時にとても大事なのは、自分達がレベル1〜3ら辺にしかいないと、レベル4と5にいる人たちのことがよく分からないんです。
一体どういう人達なのかは分からないと思うんですけれど、商売をする上でとにかく、早く自分自身が自己実現の欲求を満たすようになってください。
だって、この上の人達をお客様に持てば、ビジネスは1番確実に上手く行くんです。特にスモールビジネスというのは、ここら辺の人を抑えれば大体良い方向に向いますから。
ランチェスターの弱者戦略も、結局のところ、軸は顧客戦略なんですよ。
お客様の層でほとんどが決まるので、レベル4「自我欲求」、レベル5「自己実現欲求」、この辺だけを客層とした商売を考えると、本当に失敗しにくいです。
要は、お金を持った経営者や万年黒字会社ですね。
対して、サラリーマンを中心とした、お金をあまり持っていない人はどうでしょうか?
16年前の話ですけれど、私共があおば会計を始めるときに、職場をみんなの自己実現の場にしようと思って始めました。
やっぱり、自己実現したいというのはマズローの理論だったら人間の全員が持っていて、人間全員がこの自己実現に向かって努力するはずだ!って思ったんです。
それで私共も、開業当初からスタッフみんなの自己実現の場にしようと思ったんですけど、やっぱりスタッフさんはそこまで求めてないですね。
ですから、みなさんの会社のスタッフさんと同じで、普通の従業員さんとしてとにかく「生活が安定」とそれから「働きやすい職場」の2大論点しか無いので、やっぱレベル3ぐらいまでを満足させておけば、何の不満もないのかなっていう感じの生き方をされるんですね。
まずは自分で自己実現のハードルを乗り越えろ
ところが事業者っていうのは突き抜けていますからね。
成功した人なんか、レベル5のさらに上を目指して、精神修行の域まで入りますから(笑)
ですから、本当にスモールビジネスを組み立てる上で1番大事なのは、まず自分自身が自己実現のハードルというものを知ることですね。
もう、ハードル設けていくのが楽しくて楽しくてしょうがない!自分で勝手に目標を作って、勝手に越えていくのが楽しくてしょうがない!って、そういう人たちっているんですよ(笑)
自分がその領域に立つと、そういう人たちをお客様に持てるようになりますから、起業したらまずは稼いで、安全的欲求とか親和欲求をクリアしましょう。
自己実現欲求を満たし始めると、同じレベルのお客様が何を求めているか、段々とわかるようになってきますから、ますます商売上手になれると思いますよ。