「変えない・変えられない・変われない」「あいつらはアタマが硬すぎてもうダメだ。これ以上伸びない。」多くの中小零細企業では、ベテラン社員に対して経営者がこのようなことを感じています。しかし、彼らが変わらない理由は意外と社長にあったりします。ベテランを生かした会社の仕組みはどうやったら可能になるのでしょうか?
ベテランの特徴「変えない・変えられない・変われない」
今日は、ベテラン社員を生かす会社の作り方というテーマでお話しようと思います。
私共は中小零細企業の社長さん向けでお話することが多いんですが、社長さんもこういうベテランさんだったら残したいな!とか、そういう風に思ってらっしゃることってあると思うので、そういうお話をやってみようかなと思います。
このお話をやってみようと思ったのは、中途採用の相談を受けたことがきっかけです。
その会社は人がかなり辞める会社でございまして、社長さんは100人くらいはもう採用で失敗していると。
そこで中途採用するときに「もう30歳以上は絶対に採用しない!!!」と言うんですね。
もう30歳以上はアタマが硬いから、「変えない・変えられない・変われない」って。
30歳でどうかな〜とは思いますが、40歳になったら確かにコレはあります(笑)
ベテランは、変えない・変えられない・変われない…いわゆる「変えない戦犯」です。
まぁ、後半まで読んでいただくとわかるんですけれど、ベテランの定義を知ると凄く皮肉な話なんです。
「変えない・変えられない・変われない」ベテランが生まれるワケ
なぜ「変えない・変えられない・変われない」という特徴を持つベテランさんが生まれるかというと、ハッキリ言えばその人が社内に何年いても作業ばっかりやっているからです。
入社した頃は慣れていなかったのでヘマばっかりしているんですけれど、それでも一生懸命仕事をするんですよ。
ところが、慣れてくるとルーチンワークになってきて、それ程同じようなヘマをやらなくなるんですね。
「それで良いんだ」って年数だけが経ってしまって、5年経ち、10年経ち、いつの間にかいい歳のオッサンやオバサンになっていくと。
そうすると、彼らは「変えない」っていうか、もう変えるわけが無いッ。
それから自分を変えようと思っても、そうやって同じことをずっとやって来たわけですから、変えられないですよ。
そして変わらない。
変えようと思っても、どうやって変わっていけば良いのかも分からないわけですよ。
「変えない戦犯」の筆頭格、それは社長である
それで、仕事のやり方ひとつ、それから経営でも全部そうなんですが、冒頭でもお伝えした「変えない戦犯」が現れやすい順序っていうものがあって、中小零細企業ではだいたい決まっています。
「変えない戦犯」の筆頭は、皮肉なことになんと社長さんです!(笑)
社員のことを「変えない・変えられない・変われない」って言ってる社長さんが、一番「変えない・変えられない・変われない」んです。
その次に経営幹部、ベテラン社員が変われないと。
んも〜、この人達が変えないし、一旦変えても1ヶ月後に元に戻すのが、この方々!
戦犯は誰なのか、もう答えは分かっているんですよね。
経営革新のセミナーをしても「これ無駄だな…?」って思う時があって、1番手っ取り早い経営革新っていうのはですね、社長をもうどっかにドーンって持って行っちゃって別の人を社長さんにする(笑)
それが経営革新で1番簡単な方法なんです。
ところが、そうもいかず、社長さん自身の気持ちからまず変えなければいけない時って、本当にこれが難しいんですよ。
社長さんというのは自分が変えない戦犯であるにもかかわらず!あるにもかかわらず、経営革新だけはしたいんですよ。
ここがまたご都合主義で。
社長の本音っていうのは、うううぅん俺自身も変えられないんだけれど、経営革新はしたい!っていうね。
このご都合主義の部分を、ベテラン社員さんが分かってあげられれば生き残る術はあります。
そういう話なんです。
ベテランを生かした経営革新は「作業単位の分解」から始まる
ベテラン(特に経営者)が変わらない時の経営革新で1番手っ取り早いのは、外に向けてではなくて、まずは会社の内側で経営革新することです。
この場合の経営革新でやるのは、社内の作業単位を細かく分解することです。
今まで一連の流れで区切っていない作業を、作業1・作業2・作業3という具合に、細かく分けていきましょう。
細かく分ける理由は、ベテラン社員さんを生かしながら、新人さんを即戦力にできる仕組みを作っていくためです。
この「新人さん」というのは、新入社員さんであれパートさん、アルバイトさんでもよくて、彼らを本当に即戦力にする仕組み作りをしましょう。
とある会社さん、中小企業で従業員さんが70〜80名いらっしゃる会社さんなんですが、そこは本社に研修部を設けていまして、新入社員を新卒でバァーっととるんですよ。
1番多い時だと年間で20人くらい一回で採用したのかな?
そして新人を採用したら、なんと1週間で即戦力に仕上げる仕組みを作っているんです。
細分化した作業について、
- まずはこの作業をやってみる
- 出来るようになったらまた次の作業をやってみる
- 出来るようになったらまた次の作業をやってみる。また次の…
という具合に一度やらせてみます。高速PDCAをグルグル回す感じですね。
結果的に、その社員さんは早い段階で一連の作業が見えるようになっていくと。
こういうことをやったら、逆に自分の地位が危ういんじゃないかって考えるベテラン社員さんもいるかもしれませんが、そんなこと無いんですって!
それが自分で出来なくて困っているのは社長なんですから。
社長は陣頭指揮を取らず仕組み作りに専念を
それともう1つ大事なのが、社長と現場をまずは分離させちゃうことです。
社長に細分化した現場での陣頭指揮を取らせず、現場はベテラン社員さんに任せてしまいます。
そして1番新しく入った新人さんに、やり方を変えた形でグルッと作業をやらせるんです。
もしかしたら新人さんは1ヶ月後、元のやり方に戻っているかもしれません。
その時に備えて先に言っておきます。
「“先輩の◯◯さんが、そのやり方をやっていないので、自分は続けることが出来ませんでした。“っていう言い訳だったら、先輩の◯◯さんはクビにします。」
これを公言しましょう。
毎月チェックしますから、1か月後にまた元のやり方に変えてやっていたら、その新人の先輩(ベテラン)をクビにすれば良いだけです。
じゃあ、ベテランさんたちが出来ない出来ない、みんな首になっちゃうって思ったら大間違いですよ。
本当は、ベテランさんは出来るんです。
それをやらない理由っていうのは、要するにベテランより上が、作業を細分化した仕組みを作ってないからです。
社長を筆頭に。
ベテラン社員を信じて現場仕事は全部任せよう
まずは作業を分解して、誰でも出来るようにしてください。
そして、この部分は本当に経験が10年無いと出来ない!っていうことならば、その部分だけベテランさんにやってもらいましょう。
1番大事なのは、ベテランさんは作業ならば一連の流れを全部分かっているんです。
上から流れを見られるんです。周りを見てちゃんと上手く行っているかどうかを、ベテランさんはきちんと管理できます。
あと、教えることも出来るんです。
ベテランさんですから、作業のやり方だって絶対詳しいわけですから、教えれば良いんです。
そして、会社はそういう人を本当は残したいんです。
仕組みを変えれば、ベテラン社員さんというのはどんどん生かすことが出来る。
ベテラン社員さんっていうのは、会社の業績が悪くなったら真っ先にリストラ要員なわけですが、彼らの生き残し方、生き残り方ってあるんです。
まず作業は分解して誰でも出来る仕組みを作ってください。そうすればベテラン社員さんが、より居やすい環境になります。