昨今の新人研修では、「人材」から「人罪」や「人在」とならないように、という講釈をたれる研修屋さんが増えています。しかし、新人が「人罪」や「人在」となる根源には、「人罪」や「人在」のみならず「人済」となった社長が必ずいるものです。新人が「人財」となる社長のあり方を、キミアキ先生が教えてくれます。
新人研修で新人社員が教わる4つの”じんざい”
今日は企業における”じんざい”の4パターンについてお話していきます。
最近だと”じんざい”という言葉が、新人研修などでよく使われるようになってまして、かなり浸透してきたなぁと感じます。
新人さんの入りたての状態を一般的な「人材」とした上で、その「人材」に、
- 会社にとってかけがえのない財産である「人財」になるのか。
- もしくは人の足ばっかり引っ張る罪な人「人罪」になるのか。
- 居ても居なくても変わらないような消極的な人「人在」になるのか。
「これで貴方の将来は決まる〜っ!」と、研修屋さんがやるわけです。
ちなみに私は、新人にこういう話をする研修は大嫌いです。(笑)
確かに「人材」ってすごくお金がかかりますよね。人雇うのに今だと時給3,000円かかりますからね。
ですから、なるべく財産となる人財に育って欲しい!っていう気持ちが、社長さんらにあるのは凄く理解できるんです。
でも入りたてで「人在」「人罪」とか言われても、良い気はしないですよね。
むしろ、中小零細企業の場合は、「人在」「人罪」を作り出しちゃっている原因が、常に社長にあると私はいつも思っとるわけです。
社長が既に「人罪」や「人済」になってない?
ということで、まずは社長さんご自身が、
- 社会の評価として財産である「人財」なのか
- 会社始めたばっかりでまだまだ新人ですから、これからですわっていう「人材」なのか
- 消極的で正直「居たの?!」みたいな会社になっている「人在」なのか
- 社会の足を引っ張るような会社「人罪」なのか
自分が今どんな”じんざい”であるかを客観的に見れていることは、とても重要になります。
評価する側っていうのは楽かもしれませんけれど、評価される側になったら、社長というのは普通の従業員さんより厳しい目で見られるわけですから、社長さんご自身が「人罪」として評価されることもあるわけです。
社長さんには引退の時期というのがありまして、要するに「変えること」ができなくなった時には、”じんざい”4活用を更に飛び越えて、5活用目の済んだ人の「人済」になります。
これは分かりやすいです。
「人済」というのは年齢にはあまり比例していなくて、50歳過ぎても60歳過ぎても、どんどん変えていってヤンチャやってる社長さんとは無縁の世界です。
じゃあ、どうして社長さんが済んだ人になったり、罪な人になっていったりするかっていうと、これは人間なら誰しもそうなのですが、社長さんご自身も「ダメの引力」って必ず引っ張られちゃうんですよね。
本当にこんな引力があるんですよ!
理論的に証明は出来ないでんですが、我々が現場やっていると、ダメの引力に引きずられているなぁ…っていう社長さんの会社は、おのずと業績も悪くなります。
社長の心理状態が悪いなら業績悪くて当たり前
だから、私がコンサルタントをする時に、必ず新人さんに教えている事があります。
それは「業績のV字回復は無いと思いなさい。」ということです。
中小零細企業というのは実際は、社長自身の気持ちとか心の状態とかに左右される面が、もの凄く大きいんです。
社長の心理状態が悪くなっている時っていうのは、業績も悪くなってるし、そういう時に社長が「業績良くするために!じゃあ!」みたいな感じで、新商品・新製品を突然ドカーンって当てるとか、そういうのは現実の世界ではあり得ません。
だいたいはピークを過ぎて悪くなって行ったら、後はどういう形でソフトランディングに持って行くか?という話になります。
要するにドラスティックな倒産劇ではなく、どういう感じで廃業していくのか。という話になります。
「5年後なのか10年後なのか」そういう形のソフトな形で着地させるのが現実になってくるくらい、業績がずーっと落ちてきてからのV字回復っていうのは、基本的には無いです。
だから、そもそも業績を落としちゃいけないんです。
業績悪くしたくないなら従業員を幸せにしよう
では、業績を落とさないためにはどうすれば良いか?というと「人罪」を出さなければ良いんです。
経営者は誰を幸せにしながら生きていけば良いのかというと、基本的には従業員を幸せにすりゃあ良いんです。
そして従業員さんはお客様を幸せにすりゃあ良いんですよ。売り込みとかせずに、お客様が困っていることを解決して幸せにしようとしていれば、売上は立つようになるんですから。
従業員さんっていうのは働きやすい職場を求めている、あるいは安定した収入を求めているわけですから、お客様を幸せにする環境を与えてあげれば良いんです。
それをやっていれば、人として罪な人「人罪」なんてのは、基本的にいなくなるはずなんですよ。
無理な営業をさせて、罪な人をわざわざ作って、「おまえは全然業績に貢献してないな!クビだ!!!」みたいな、そんな事をやってるから、業績が回復出来ないところまで落ち込むんじゃないの?って思いますよ。
やっぱり従業員さんもね、キモチってものを持ってますし人間ですから、そんな会社では力が発揮出来んわけです。
経営者は経営革新を。従業員は現場の改善を。
あとは経営者側の役目としまして、経営革新をやりましょう。これは経営者や経営陣でなければ出来ないわけです。
これを従業員にやらせようと思うからおかしな事になるんです。
そして従業員さんには、目の前の作業のチョットした改善をやってもらいましょう。
従業員さんは経営革新ていうのは出来ませんけれど、いつも自分がやっている作業の改善は出来るわけですから、その改善をずっとやってもらっていたら、罪な人なんてのはどこにもいなくなるわけです。
こうやって中小零細企業を考えていくときに、企業研修で新人に「人罪」とか言ってね、「あなたはこんな風になってはいけないんです。」「こんな風になったらクビなんです。」みたいな事をやるのは愚の骨頂。
みんな所詮は人間なんだから、心が有るし、気持ちが有るし、そういうもので随分成果も変わってくるって、教えれば良いと思ってます。
「人罪」っていうのが無くなるような仕事の仕方をしませんか?