中小零細企業の多くは、社員と社長の距離が非常に近いため、社員さんも社長が作業する姿が見えると、「あ!一緒に汗かいてくれてる!」と思ってくれるものです。
ところが、会社の規模に関わらず、社長の果すべき本分は「作戦の立案・作戦の実行」をぬかりなく遂行することでであり、この業務は現場を離れなければ実行できません。
社長が現場にいないと回らない会社はマズい
本日は、
- 社長はなぜ現場に出てはいけないのか?
- 社長が現場に出ないために取り組むべきこととは?
という2点について、お話ししてみたいと思います。
会社の規模が大きくなった時に、社長が現場に出ないようにすることで、自分がいなくても、現場が回る仕組みを作れていないと、非常にまずいです。
今出ずっぱりでも、敢えて自分が現場に出なくて良いように、2拠点目とか、2店舗目を先に作ってしまった方がよい場合もあります。
社員さんにしてみると「現場に出ろ」と言う人もいるかもしれませんが、そんなことをするのは愚の骨頂です。
その理由をこれから説明しましょう。
社長の本分は作戦の立案・作戦の実行である
中小零細企業っていうのは、社長がだいたい見えるところにいますから、社員さんも、「あ!一緒に汗かいてくれてる!」と思える、作業をやっている社長さんが好きなんですね。
ところが皆さん、これがそもそも間違いって事に、気が付いていなかったりします。
特に、売上1億円までの企業を運営する社長さんは、営業作戦の立案(マーケティング)と営業作戦の実行を如何に集中して行えるかで、今後飛躍できるか否かが決まったりします。
それなのに、社員さんは、社長さんに頭を使わせなきゃいけないのに、自分たちの作業の延長線上でしか、社長さんの存在意義を理解できなかったりします。
これが普通の中小零細企業です。
社長さんも良い人だから、社員さんに余計な気を使ったりして、ついつい頑張っちゃったりします。なぜなら、社員さんを食わせていくのに、どこの中小企業も必死だからです。
社員さんを食わせるためだけに、社長さん自らが作業するんですね。
「自分が!オレが!頑張るんだーーーッ!」みたいな感じでね、自らも一生懸命作業をするんですね。
赤字会社ほど社長が社員のために現場で働く
ところがです。
やはり会社というのもには、”儲かる仕事”と”儲からない仕事”があって、利益の部分でいくと高度な仕事、高付加価値の仕事っていう”儲かる仕事”が必ず混じっています。
この手の仕事・作業は、社長さんがやっていることが多いんですよ。
ここで儲けが出るわけですが、結局は、社員さんを食わせるために、そのお金は使わざるを得ない。
なぜなら、大体の社員さんは、高度な仕事や高付加価値な仕事を、自らやろうとはしませんし、出来れば逃げたいと思ってます。
ところが高度な仕事はやらない、単純作業をする人たちにも関わらず、今法律を守っていると、時間給で3千円かかります。
それが払えますか?って話です。
先日もお客様の帳簿見てたんですが、赤字の原因はやはりここ(無駄な人件費)でした。
常に正社員が赤字の原因と思っても良いです。パートさんやアルバイトさんを雇いすぎたって、赤字にはならんのですが、社員は違います。
時給3千円を払える働きが出来ない人を雇用しているから、そこに1番の問題があるわけで、改善しなければ、いつまで経っても社長さんは現場に出ずっぱりで、会社も貧乏なままです。
一人で頭を使う業務を行うために現場へ行くな
ですから、そういう社員さんと現場にいると、社長さんもイライラするし、社員さんだってイヤなはずです。
業績が悪くなって「月末の資金繰りが足りない、お金足りない!」ってイライラしている社長さんなんか、誰も見たくないですよね。
社長さんが現場に行くから社員さんがイライラするのであって、逆に言えば、もういっそのこと「現場に行かない!」のが一番の良薬だったりします。
そうすると、あら不思議、社長さんも社員さんもイキイキします。
もっと言えば、社長さんがやるべき仕事である、作戦の立案・作戦の実行は、社員さんのいる場所でやるべき仕事ではないのです。
社員さんは作業をやっているんだから、作業をやるときはみんなでワイワイやった方が楽しいわけです。
ところが社長さんの仕事は頭を使うんです。だから1人ぼっちでちゃんと作戦の立案をしなきゃなりません。
作戦の実行計画だって、1人ぼっちでやった方が逆に集中して作れるわけです。
「会社には1日2時間しか出てこない!」
「あとは自分の仕事、社長がやるべき仕事をするから!」
社員さんには、もうハッキリと、こんな感じで言ったら良いんです。
自分が会社にいなくても回る仕組みを作ろう
そのためには、高度な仕事・高付加価値な仕事を、従業員さんがやれる仕組みを作る必要があります。
「高度な仕事・高付加価値な仕事をやらないと、時間給3千円は絶対に払いません。」と宣言してしまいましょう。
赤字になる原因はわかってるんですよ!単純作業しか出来ない正社員が、赤字の原因なんです。
ですから正社員さんに時間給3千円払うのであったら、高度な仕事・高付加価値な仕事を、必ず従業員さんがやれるような仕組みを作ってください。
そうすれば、まだどうにか、時給3千円だったら、ギリギリのラインで雇用が守れるんじゃないかと思います。
最初はどうしても現場にいて、陣頭指揮を取りたいと思うんですけども、現場に行く時間、そして日数をだんだん減らしていきましょう。
1日1時間もいれば、ちゃんと回るっていう、そういう仕組みが作られた時、みなさんがイキイキ出来るんじゃないかと思います。