事業主の方の中には、このような時にパートタイマーやアルバイトを「雇用調整的な意味合いで雇用している」と考えている事業主の方もいるかもしれません。労働基準法上では正社員、パートタイマー、アルバイト、といった区別はありません。国の労働者保護に対する姿勢も強まっており、安易な雇用は控えるべきです。
法的にはパートもバイトも正社員と同じ扱い
労働基準法では、パートタイマーやアルバイトも、いわゆる正社員と同じ労働者として取扱われます。
従って、パートタイマーやアルバイトだからと言って有給休暇、割増賃金等について正社員と異なった扱いをすることは出来ません。
もしそのような事をすれば、法律違反となってしまい、大きなトラブルへと発展してしまいます。
本稿では、パートタイマーやアルバイトとの間で頻繁に起こるトラブルのうち、解雇について取り上げたいと思います。
雇用の調整弁としてパートやバイトを雇う企業
企業が、パートタイマーやアルバイトを雇用する一番の理由は、人件費削減です。
コモディティ業務を、人件費が比較的安いパートタイマー、アルバイトに補ってもらうことで、人件費を抑えて利益を確保しようとします。
会社の業績が悪化すると、どうしても企業は人件費の削減を求められます。
事業主の方の中には、このような時にパートタイマーやアルバイトを「雇用調整的な意味合いで雇用している」と考えている事業主の方もいるかもしれません。
つまり、不況になったり、売上が下がった時には、パートタイマーやアルバイトを辞めさせればいい、と考えられている事業主の方が多いのです。
しかし、この意識にこそ、後に労務トラブルの元となる、大きな落とし穴が潜んでいます。
パートやバイトも解雇には合理的な理由が必要
先述の通り、労働基準法上では正社員、パートタイマー、アルバイト、といった区別はありません。
すべて労働者です。
従って、たとえパートタイマー、アルバイトであっても、解雇するには正社員同様、合理的な理由が必要とされています。
仮にパートタイマー、アルバイトを解雇しなければならない場合には、正社員同様に慎重な対応をする必要があります。
実際に、「パートタイマーだから」「アルバイトだから」といった理由で、安易に解雇をしてしまい、大きな労働トラブルに発展してしまった、ケースが全国で多々起きています。
厚労省も「ブラックバイト」の調査に昨年から入り始めたり、「過重労働撲滅特別対策班」いわゆる「かとく」を、各都道府県に設置するなど、労働者全般を守る、国の動きは非常に活発です。
これからの時代は、簡単に雇用したからと言って、安易に解雇できなくなる傾向が強くなっていくことでしょう。
男女間で「結婚するのは簡単だが、離婚するのは難しい。」とよく言われますが、労働者と雇用側でも「採用するのは簡単だが、解雇するのは難しい。」という点では、全く同じ感覚でいなければなりません。
パートタイマーやアルバイトを雇う場合であっても、出口(辞める時)まで責任を持つことを考えなければ、雇用は控えるべきです。