みなさんこんにちは。脳科学教育コンサルタントのクロスです。
今回は会社が自前主義にこだわっている、つまり製品の内製化にこだわるとどうなるかということについて紹介します。
自前主義とは?自前主義の弊害
下町ロケットの帝国重工は自前主義の典型例
まず、自前主義とは何なのかというと、下町ロケットというドラマがありましたが、帝国重工がロケットの製品を全て自分のものにしたいというくだりがありましたが、あれが自前主義です。
自前主義というのは実は自己愛系の一種です。
科学者などに多いのですが、自前主義であったり、非常に秘密主義であったり、かなりクローズドイノベーションな空気感というのが漂っています。
ナルシズムは自己愛性パーソナリティ障害
どうしてそうなってしまうのかというと、自前主義で秘密主義な人や組織は一種のナルシズムを抱えています。
ナルシズムという言葉の定義から先に簡単に説明しますと、ナルシズムというのは自己愛性パーソナリティ障害のことを指します。
自己愛傾向にある人にはいろいろな特徴があるのですが、社長に多いのは、押しが強かったり、わがままな部分を強みとして社長力を発揮するから、いろいろな人にバシバシと指示を飛ばすことができて、相手を人としてではなく、モノとして解釈したり、資源として活用したりするわけです。
自分の手柄は全て自分のもので、部下の手柄も自分のものだ、このセリフは、半沢直樹のドラマで香川照之さんがやっていた専務役です。
キャラクター設定としてはとても自己愛が強い方でした。
科学者にも自己愛系の人や秘密主義な人が多いです。
日本ではどうして自己愛系が育ちやすいのか
ちなみに、日本は島国であるがゆえに、人様の目を気にする、他者との比較対象になりやすいことも相まって、自己愛系の人ができやすい環境があります。
特に親が世間体を気にする人間だったり、こだわりが強すぎたり、血統主義的だったりすると、子供も自己愛系に育ちやすくなります。
そのような子供が大人になると、子供はコンプレックスの塊なわけですから、そのコンプレックスを解消したくて、お金を持っているアピールにつながるような服を着たり、車を買ったり、大きな豪邸に住んだり、トロフィーワイフにこだわったりしてしまいます。
トロフィーワイフというのは、トロフィーのように、愛情というよりは見せびらかしたくなる状態です。
結婚する奥さんを選ぶときも、優勝者になったような気分を味わいたいがために、内面よりも相手の外見や肩書にこだわります。
本質的な幸せというよりは、「こんな奥さんを手に入れたんだ!どうだ。ほめてくれ」という感じですね。
自前主義は承認欲求が満たされないコンプレックスが要因
自前主義は、簡単にいうと何でもかんでも自分で完璧にできる存在になりたいということの裏返しです。
完璧を目指して、全て自分一人でできるようになりたい。他人の力を一切借りることなく、すべてパーフェクトにこなせる人になりたいというコンプレックスから来ているわけです、
どういうコンプレックスから来ているかというと、失敗体験や叱られた経験が多くて、承認欲求が十分に満たされていなかったわけです。
子供の頃から親がちょっと厳しかったり、承認欲求を満たすような言葉をかけてくれなかったり、努力を認めない代わりに欠点に対しては厳しく追及するような親だった場合には、どうしても自己愛系に走ってしまいます。
あるいは、ほったらかしタイプの親だった場合、自立せざるを得ないような環境だったわけです。
そうなると確かに自立心は育ちますが、一方で協調性が身に付かない可能性が高いです。
自前主義は非合理的
自前主義でオープンイノベーションは育たない
オープンイノベーションの人とクローズドイノベーションの人を比較すると、やはりオープンイノベーションな社風の方が結局マーケットは広がります。
コーチという観点から見たときに、最も優秀なコーチはどういう人かというと、自分のわからないことはわからないと素直に認めて、もっと詳しい人を紹介してくれるような人です。
集合知能vs個人知能という研究から見ても、個人知能の方が勝ったケースというのはほぼありません。
そうなると、自分で完璧を目指す自前主義、秘密主義タイプを目指すことは、実は非合理的なわけです。
コンサルタントを見ていても、このコンサルタントはだいぶ自己愛系が強いタイプの方だなとわかります。
普段から、いつもおしゃれな服を着ているけれど、発言に自前主義的な考えが相当強く出ていたりします。
自前主義には限界がある
確かに自前主義を生かして稼いでいる方もいますが、そういう方はいつも眉間にしわが寄っていたりして、子供の時はコンプレックスが強かったのかと思います。
コンプレックスは確かに武器にはなっているけれど、多角的にいろいろな分野にわたって勉強すると、結局他人にちゃんと助けを求められるかどうかという能力もかなり必要だったりします。
もちろん、助けを求めるということは、プロに対価を支払うとかということもありますが、自前主義は結局限界にぶち当たってしまうということです。
トヨタの社長も確か自前主義の限界を感じたと言っていました。
何でもかんでも自分でできるようになりたいという欲求はコンプレックスの裏返しであったり、承認欲求が十分に満たされていなかったりするからこそ、最強への憧れというものにつながっているだけです。
結局素直にきちんと頼れるかどうかということが大事だと思います。
今回は、「自前主義、秘密主義、クローズドイノベーションな社長は自己愛系の一種」だということについて解説しました。