パソコンの周辺機器メーカーのエレコムは多様な製品を開発していますが、同社製品の中で、とてもよく売れているシリーズが「顔マーク」付きの製品です。顔マークには、アテンション効果という人の「注意」を喚起する効果と、擬人化効果という2つの効果があり、人間の感情に訴求する上でうってつけの商品における意思表示を行う武器となります。お客さんを微笑ませる効果は間違いなくあります。
無機質な業務用品に突如として現れた顔マーク
業務用品って、基本的に色は黒や白、灰色のモノトーンで、シンプルなデザインのものが多いですね。まあ、職場で使うものですから「機能性」第一、デザインを工夫したところで売れ行きに影響があるとは考えにくいのかもしれません。
しかし、それを採用するだけで業務用品であっても販売量が大きく伸びる可能性を持つ、そんなデザインがあります。
それは「顔」のマークです。
具体例を挙げましょう。パソコンの周辺機器メーカーのエレコムは多様な製品を開発していますが、同社製品の中で、とてもよく売れているシリーズが「顔マーク」付きの製品です。
顔マーク付き製品の第1号は、同社のUSBハブでした。USBハブはUSBの「口」を増やすものですね。エレコム社から、顔マーク付きのUSBハブが発売されたのは2009年。
当時、無機質なデザインが多い中、目を表す2つの点と鼻を表す曲線をあしらっただけのシンプルな顔マークを付加しただけですが、たちまち最も売れる商品となりました。
顔マークを製品につけると生まれる2つの効果
その後、同社では、顔マークをマウス、充電用ケーブル、AC充電器、イヤホンなど40以上の製品に展開しています。
約1年前の2014年9月に発売された顔マーク付きカードリーダーライターの場合、現時点でカードリーダーライターの中で販売量2位の座にあっという間に上りつめています。
実は、2009年当時、エレコムの担当者は、黒・白・シルバー以外のものは開発するなと経営陣から言われていたそうです。しかし、その担当者は、経営陣に気付かれないようにこっそり顔マーク付きのものを発売したところ、予想以上に売れてしまったという逸話があります。
さて、なぜ顔マークは販売を伸ばすことができるのでしょうか?ひとつは、アテンション効果、すなわち人の「注意」を喚起する効果があるからです。
私たちが普段の社会生活の中で、いちばん気にしているのは他人の顔色ですよね。
私たちは、人の顔の変化を見ながら、自分がどんな言動をすべきかを決めています。すなわち、顔というのは私たちにとって最も気になる対象なのです。実際、人の赤ちゃんは、生後わずか2カ月で人の顔を認識できるようになるほどです。
もうひとつは「擬人化効果」です。モノトーンの無機質な製品も、そこに顔マークが乗っているだけで、まるで人であるかのような気持ちになり、不思議と「親近感」がわいてくるものです。
このように、「顔マーク」は、人の注意を惹く効果があり、かつ親近感を持たせることができるわけですから、販売にプラスにならないわけがないというわけです。
東鳩のキャラメルコーンでも効果は実証される
近年、擬人化をほどこした製品は増えつつあります。身近でわかりやすい例としては、東鳩製菓の「キャラメルコーン」がありますね。こちらもパッケージに大きな目と鼻が描かれています。
今度、スーパーのお菓子売り場に行かれたら意識して見てください。たくさん並ぶお菓子の中で、最初にぱっと目に入ってくるのがこのキャラメルコーンの顔マークでしょう。
あなたも、自社製品やサービス、あるいはお客様に出す資料の一部に顔マークをあしらってみたらいかがでしょうか?あらゆる状況において有効とまでは言えませんが、お客さんを微笑ませる効果は間違いなくあるはずです。