いよいよ10月5日(月)にマイナンバー制度がスタートしました。ネット上に晒されてはいけないはずのマイナンバーと思わしき番号を、ツイッター等のSNS上で次々と見せびらかす行為まで行われています。流出元がまさか貴方の会社だったとしたら、それはそのまま企業存続にすら影響を及ぼす大問題となります。企業が扱えるマイナンバーの範囲や取り扱いの規定について今一度チェックしましょう。
マイナンバー制度がスタート 企業にも今後影響
いよいよ10月5日(月)にマイナンバー制度がスタートしました。
まず最初の関門は「マイナンバーカードが手元に届くか?」という問題ですが、これは難航することでしょう。
簡易書留で届きますので、なかなか受け取れない人も出てきますし、住民票を移していないため、「何故届かないのか??」と頭を悩ませる方も出るでしょう。
さて、これを乗り越えたとしても、今後マイナンバーが行き渡った後で起こりうる問題の兆候が、インターネット上で露見し始めています。
ネット上に晒されてはいけないはずのマイナンバーと思わしき番号を、ツイッター等のSNS上で次々と流出させる行為が、冗談かはわかりませんが流行しているのです。
個人情報としてのマイナンバー流出は、今後大きな事件を生み出す可能性を秘めています。
その流出元がまさか貴方の会社だったとしたら…
それはそのまま企業存続にすら影響を及ぼす大問題となります。
そこで本稿では、「企業が扱えるマイナンバーの範囲」と「中小企業のマイナンバー取り扱いに関する規定はどこまで作成すればよいか」という疑問に答えたいと思います。
企業が扱える従業員家族のマイナンバー範囲
マイナンバーは従業員から集めるのは当然ですが、実は扶養親族分の収集も必要になってきます。
意外とこれが浸透していません。「自分の会社は社員5人しかいないから5人分集めれば大丈夫」と思っている方が多いからです。しかしながら実のところは、税金に関わることもあるため扶養親族の分の収集も必要になります。
ちなみに扶養親族とは、
- 6親等内の血族か3親等内の姻族であること
- 同一生計であること
- 合計所得金額が38万円以下であること
が条件であり、血縁関係になくとも扶養親族と認められる場合があります。
また、違った意味での誤解もあります。先ほどとは逆に「家族全員分を集めなきゃ!!」という誤解です。しかしこれも全くの間違えです。
マイナンバーは、使用範囲が「税・社会保障・災害対策」と厳密に決まっております。
民間企業の使用範囲は税と社会保障となります。
逆に言うとこれ以外の目的で使ってはいけません。使っていけないということは、税と社会保障目的以外の収集もやってはいけないということです。
従って、たとえ社員の家族であっても、扶養親族に該当しない者のマイナンバーは収集しない様に注意しましょう。
また、扶養親族のマイナンバーを集める際には、扶養親族の本人確認作業を会社は行う必要がありませんから、扶養親族の通知カードや個人番号カードのコピーを集める必要もありません。
それだと間違った番号を書いて提出されるのがイヤだという方も出てきます。
そんな場合は、扶養親族の通知カードや個人番号カードのコピーを取ってもいいよ。という風になりました。ただ、その場合はしっかりとした安全管理措置が必要になるのは当然です。
私からのお勧めとしては、マイナンバー漏えい対策は、必要以上に集めないことに尽きます。
「マイナンバーに触れる人数をできるだけ減らす」というのが鉄則の一つだと思っていますので、必要ないものを集めるのはどうかとも思いますが、この辺はそれぞれの会社さんが判断するところとなります。
取り扱い規定作成義務無しも明文化がお勧め
このように厳しい取り決めがあるため、一部の中小企業経営者の皆様は「自社でマイナンバーの取り扱い規定を作成する必要があるのだろうか?」と考えられるかもしれません。
答えは「否」です。中小規模事業者に取扱規程等の作成は義務付けられていません。
ちなみに、マイナンバー法上の中小規模事業者とは、法人単位で100名以下の事業者を言います。
取扱規程等を作らない場合は、特定個人情報等(マイナンバーを含む個人情報)の取扱方法や責任者・事務取扱担当者が明確になっていれば足りるとなっています。
明確化については総務省が、「口頭で明確化する方法の他、業務マニュアル、業務フロー図、チェックリスト等に特定個人情報等の取扱を加えるなどの方法も考えられます。」と規定しているため、これに準ずれば大丈夫です。
口頭で明確化もOKとはちょっとびっくりでした。とはいえ簡単でもよいので、何らかの形で書類は残しておくことをお勧めいたします。