淹れたてコーヒーで分析するコンビニ各社の顧客獲得戦略

企業分析

 今や各社合計で年間19億杯の消費をもたらしているコンビニの淹れたてコーヒー。コーヒーがコンビニエンスストア各社の戦略を左右するほど、その存在はとても大きな存在となりました。顧客が純増するわけではない日本の国内事情に鑑み、定期的な来店などを通じて客単価を向上・維持させようと各社が必至です。そこで各社のコーヒー戦略やコンビニコーヒーの歴史、サービス改善が可能な点をまとめました。

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淹れたてコーヒーは今やコンビニの主役商品

 今や有名になったコンビニエンスストアチェーンの『淹れたてコーヒー』。

 「飲んだことある!」という方も、多いのではないでしょうか。

 その火付け役になったのは、セブン-イレブンが2013年1月に始めた100円の淹れたてコーヒー「セブンカフェ」です。

 このセブンカフェの登場は、セブン-イレブンよりも先にブランド確立をはかっていたコンビニエンスストアチェーン各社のコーヒー戦略を拡大させる、大きな起爆剤となりました。

 先出のセブンカフェの他に、ローソンの「MACHI café」、ファミリーマートの「ファミマカフェ」、サークルKサンクスの「FAST RELAX CAFE」、ミニストップの「M’s STYLE COFFEE」など、各社が様々なブランドを確立、コーヒーはもちろん、オリジナル商材を打ち出し差別化をはかっています。

 特にコーヒーの味は、安くても満足感が得られるコーヒーを開発し、またその価格も100円〜300円と買いやすいことから、消費者間で一気に浸透していきました。

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コンビニ各社の淹れたてコーヒー戦略を比較

 コーヒー商材について、コンビニ各社は次のようにラインナップを充実させています。

節約社長

 コーヒー以外にも、ローソンやサークルKサンクスでは、紅茶やラテメニューの充実、ファミリーマートでは「カフェフラッペ」に代表されるフラッペ(氷)メニューの導入を通じて、固定客を取り込んでいます。

 また、アピールポイントも各社さまざまです。

 特徴的なところを2社挙げると、例えばセブンイレブンでは、セブンカフェの開始とともに広告を打ち、短期間でほぼ全店に導入させたことにより、消費者の意識を自社へ向けさせることに成功しました。

 その中で、ドリップ式のマシンであること、また、今年の8月から発売開始となったアイスカフェラテの販売促進に力を入れています。

 ローソンは、コーヒーマシンのメンテナンスから接客・販売までをマスターしたスタッフが、黒いエプロンを身につけて対面販売を行う「ファンタジスタ制度」を導入。

 お客さまが自分でコーヒーマシンのボタンを押すセルフ販売ではなく、スタッフが注文を受けた後、カウンター内で作って渡す方式を取り入れ、お客さまとの会話のきっかけを上手く作り出しています(一部セルフの店舗もあり)。

 このような戦略が功を奏し、コンビニエンスストアの淹れたてコーヒーは缶コーヒーに代わって身近なものになり、今年はチェーン合計で年間19億杯を売り上げるほどの一大ブームを巻き起こしています。

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意外と古い100円コーヒーの歴史とその価値

 実は、コンビニコーヒー戦略は、最近始まったわけではありません。

 そのスタートは、なんと1980年前半。セブン-イレブンでは、店頭に設置したサイフォンでコーヒーを作り、注文が入るとそこから分けて販売していました。

 店舗によってはサンドイッチなどの食べ物とともに1日250杯を超える売上があり、この頃からすでに、コンビニコーヒーは人々の生活に受け入れられる要素を秘めていたと言えます。

 その後、トライアンドエラーにより、5回目のチャレンジでセブンカフェを誕生させた…という取り組みは、あまり知られていませんが、今の形を作る大きなきっかけとなったのは言うまでもありません。

 また、現在のコンビニコーヒー合戦が本格化する以前、2008年にマクドナルドで100円コーヒー「プレミアムローストコーヒー」が登場したのを覚えているでしょうか。

 それまで物足りない味の代名詞だった100円コーヒーが、プレミアムローストコーヒーの登場で一変。手軽で安価な、質の高いコーヒーが飲める、ということで多くの消費者の心を掴み、コーヒーを買いにマクドナルドへ行く消費者が増えました。

 2008年だけで2億6000万杯を売り上げ、低迷していた業績は結果的にV字回復を遂げたのです。

 マクドナルドにとってこのコーヒーは、競合店に勝つための手段でもなかったし、主役でもありませんでした。

 当時CEOだった原田泳幸氏は『マクドナルドの経済学』(原田泳幸・伊藤元重著、PHP研究所、2012年)の中で「コーヒーを提供することで、ビックマックなど、当社のコア商品の販売機会を増やそうというわけです」と言っています。

 つまり、マクドナルドにとってコーヒーは、顧客を呼び、ビックマックなど主力商品の販売につなげるための投資、いわゆるフロントエンド商材(集客のための商材)だったのです。

 この点に関しては、コンビニエンスストアも同じことが言えるでしょう。

 店舗の中には、揚げ物や菓子、他にもさまざまな商材が置かれています。決してコーヒーだけを販売しようとして、質と価格の合戦を繰り広げているのではありません。

 コーヒーを買いに来る人が増えることによって、定期的な来店を促したり、コーヒーと合わせて菓子や弁当、雑誌などの購入につなげ、客単価を向上、維持させたりすることが目的なのです。

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淹れたてコーヒーが各社の戦略へもたらす影響

 それでは淹れたてコーヒーの導入が社会やコンビニエンスストア各社の戦略へ、どのような影響をもたらしたか5つのポイントを整理しましょう。

1)コンビニエンスストアへの来店動機が増えた

 コーヒーを買うためには店舗まで出向く必要があります。缶コーヒーのように自動販売機では買えません。そうしたことから、コーヒーを買いに行く、という来店動機ができ、また定期的に来店するきっかけにもなっています。

2)チェーンの個性が際立つように

 従来からあった「コンビニなんてどこも一緒」という認識が、淹れたてコーヒー戦略により、これまで以上にチェーンの個性を引き出しました。具体的には「◯◯のコーヒーが一番好き」「カフェラテなら◯◯」というように、飲み比べをして一番自分に合ったチェーンを選んでいる消費者の姿をネットやリアルの会話などでたくさん目にするようになりました。

3)イートイン可能なコンビニエンスストア店舗が増えた

 これは、コーヒーだけが理由ではありませんが、近年はイートインスペースを設ける店舗も増えています。そこで、淹れたてコーヒーを楽しみ、会話をする場として店舗を利用するお客さまも増えています。

4)総務省「消費者物価指数」の調査対象に

 総務省が5年ごとに見直している消費者物価指数の2015年度基準案(7月17日公表)に、「コンビニコーヒー」が追加されました。まさに淹れたてコーヒーにお金を使う人、またその頻度が増えていることの表れでしょう。

5)店舗オペレーションは・・・

 セルフ販売の場合、コーヒーの販売対応はお金とカップのやりとりで済むのですが、コーヒーマシンのメンテナンスは常に発生します。豆や水などの追加、カップやストローなどの備品補充に加え、カスの清掃、分解清掃など…。定期的に、そして計画的に行わなければ、衛生上の問題も発生してきます。

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スタッフのコーヒーに対する教育はまだ未開拓

 このように各社の戦略はもちろん、日本の消費潮流にも大きな影響を与えているコンビニコーヒーですが、まだ進化の途中です。

 淹れたてコーヒーは急激に広がったこともあり、コンビニエンスストアのスタッフで、コーヒーに関する専門的な教育を受けている人は多くありません。

 残念ながら、補充への意識が薄く、お客さまから何度もマシンまで呼ばれて対応していたり、コーヒーの抽出口が汚れたままになっていたりする店舗も見かけます。

 お客さまへ常に安心、安全で美味しいコーヒーを提供するためには、計画的なメンテナンスや確実なスタッフ教育も必要となってくるでしょう。

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(社)東京都中小企業診断士協会 フランチャイズ研究会所属
社会保険労務士法人プレミアパートナーズ
安 紗弥香
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企業分析
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