美登利寿司はなぜ高級寿司が食べ放題で潰れない?
昨日、クライアントのとある社長さんと一緒に、東京の梅が丘にある美登利寿司に行って来ました。
美登利寿司、東京の方は結構ご存知でしょうかね。
このお店、なんと毎週月曜日はお寿司が食べ放題なんです。
しかも、このお店は元々が高級店でネタも良い。
にも関わらず!90分で男性なら3600円、女性は3000円で、飲み放題も1人1200円で付いてきます。
ありがたく、お腹がはちきれるほどお寿司をいただいてきました(笑)。
店を見渡すと、大学のラグビー部の部員のような、見るからに大食漢、食の猛者達が並んでいました。
一緒に行った社長は高級寿司が食べ放題なのに驚いて「こんなことをしていて、お店は大丈夫なんですか?」と不思議がっていました。
でも、大丈夫なんですよね。
美登利寿司は潰れるどころか、儲かるようにビジネスモデルが構築されているんです。
なぜ高級寿司の食べ放題で美登利寿司は儲かるのか。その理由を2つご紹介しましょう。
理由1:固定費、特に支出の多い人件費を一定に抑えられている
皆さんは固定費と変動費という単語を聞いたことがありますか?
- 固定費:家賃や社員の給料など売上に関係なくかかるコスト
- 変動費:飲食店であれば材料費のように売上に応じて増えるコスト
というふうに捉えておけば良いでしょう。
美登利寿司の場合は、お寿司に使うネタやシャリの費用が変動費に該当すると考えてください。
では、飲食店で固定費と変動費を比較して、全体のコストのなかでどちらが高い比率を占めていると思いますか?
食べ放題なんてやったら絶対に倒産する。ビュッフェなんてやっても儲からない。と思っている人は、材料費に該当する変動費の比率が高いと思っているかもしれませんね。
でも、飲食店のビジネスモデルにおいて、変動費は固定費と比較すると安く抑えられているんです。
高級なお寿司やロストビーフが食べ放題になるというインパクトがあるので、相当費用がかかっていると思われがちですが、食べ放題にしたところで変動費はそれほど増えません。
実は、もっともコストがかかっているのが固定費。その中でも、人件費は群を抜いて高いんです。
たとえば、美登利寿司の場合、オペレーションは一定の人数でこなすよう、店が運営されています。
たとえば、予約はインターネットとお店前の予約券発券機で行うなどして、接客になるべく人数が取られない設計がなされています。
そのかわり、ホスピタリティは「料理」で十分に表現しているので、お客様にも満足してもらえています。
理由2:ルールが決められ徹底的な効率化を実現している
食べ放題でないお店、例えば、注文が入ってから料理をつくる普通のお店では料理人はフルに稼働しているでしょうか。
注文が入ってから料理を作るので注文がなければやることがない状態、つまり、稼働していない時間が結構あるんです。
コストのなかで人件費がもっともかかるのに、稼働していない時間があるは効率が悪いですよね。
しかし、食べ放題のお店では料理人をフルで稼働させることができるので、効率がよく、人件費が無駄になりません。
美登利寿司の場合も、満員御礼で料理人はフル稼働。まさに生産性の高さを垣間見ることができました。
また、お寿司の注文は最初に出されたコースを食べてから、おかわりを注文する形式で、一回あたり5貫までと決まっています。
注文を取るオペレーションもルールを決めることで、簡略化されているわけです。
次に、もっとも飲食店にとって大事なのが回転率の計算です。
美登利寿司の場合、90分で1回転とルールが設定されており、2〜3時間待ちのお客様が次々とやって来るので、飲食店にとって重要な回転率も計算できます。
ということは、過去のデータを元に、どのネタをどれくらい仕入れれば良いか、ある程度は事前計算できるので、仕入れコストのダウンにもつながりますね。
美登利寿司の食べ放題は、お店・顧客双方にウィンウィンな優れたビジネスモデル
このように、美登利寿司の食べ放題は効率がよく、コストダウンができる仕組みの元になりたっています。
お客の立場からすれば、自分の好きなネタを好きなだけ食べられるので、満足度は非常に高くなります。
また、食べ放題で一人は寂しいです。
行くならば、家族や友人を誘っていくことが多いので、勝手にお客がお客を呼んでくれるというメリットも期待できます。
高級と思われている料理が食べ放題になると口コミが起きやすくなるので、集客活動を全くしなくても、集客コストゼロで集客できるようにもなるんです。
お店側、お客側、双方にとって旨味のあるウィンウィンの関係であると言ってよいでしょう。
このように、美登利寿司の成功の裏には、優れた儲かる仕組みが組み立てられています。
普通に考えると難しいサービスがなぜできるのか?という視点で考えてみると大きな学びが得られますね。