分社するなら抑えておきたい3つのメリット・デメリット

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 分社とは、既存企業が存在している場合に、ある事業を行うために新たにもう一つの会社を設立しすることを言います。分社を考えている方向けに3つのメリットと3つのデメリットをご紹介いたします。分社した後はそれぞれが別会社となることによる文化の違いや会計区分を別にすることによる感情の障壁もできるため、先によく二社で話し合いを持つことが肝要です。

分社を行うきっかけとなる3つの目的とは?

 分社とは、既存企業が存在している場合に、ある事業を行うために新たにもう一つの会社を設立しすることを言います。

 多くの場合、分社は

  • 1)企業内部である事業部の業績拡大が著しく、より独立した権限を与えて責任を明確化する
  • 2)買収した企業と買収された企業の企業文化が合わない等シナジーがない場合の分社化
  • 3)組織をスリム化することによりコスト削減や節税対策を実現する

 といった目的で行われます。

 直近の有名な分社事例としてはアメリカにおける、インターネットオークションを運営するイーベイが、子会社でクレジットカード決済サービス運営のペイパルを分社した事例があります。

 この事例の場合は、両社の間で成長戦略に対する意見の相違が生じており、分社することでペイパルの独立性を高めることが目的となるため、上記にあげた3)の目的に該当すると言えます。

 ペイパルは株式上場を目指しており、イーベイはペイパルが上場することで多額のキャッシュを手に入れることができるため、喧嘩別れとは言え双方にメリットがある分社になります。

 ペイパルとイーベイのように大きな企業ではなく、中小であっても理にかなえば分社することを検討される経営者の方は多いはずです。

 そこで本稿では分社のメリットとデメリットをご紹介したいと思います。

分社設立にあたって生じる3つのメリット

メリット1:結果責任が明確化し経営スピードがあがる

 分社化することによって財務諸表を通じた責任の明確化が可能になります。キャッシュ・フローについても両社で完全に分離化することで、分社されて設立した会社に猛烈な生存意識が働きます。また事業をスリムにした分、責任者の意思決定権も移譲されてスピード感のある経営を実現することが可能になります。会社が小さいうちは社員にも経営者の視点が求められるため、人材の成長も見込めます。

メリット2:様々な節税対策が可能になる

 分社すると様々な節税対策が可能になります。例えば分社した会社へ事業の一部を振り分けた際に課税売上が1,000万円未満の場合は消費税の支払いが不要となるため年間で80万円の節税が可能になります。交際費の損金算入限度額も従来は800万円までだったのが、各社で800万円まで許されるため、二社に分社した場合は1,600万円の損金算入が可能になります。

メリット3:後継者問題の解決策と成り得る

 経営者にとっての大きな悩みの1つといえば、「後継ぎ問題」です。後継ぎ候補の子供が複数いる場合に、1人へ権限移譲することでいさかいが生じないように相続対策の1つとして分社した会社へそれぞれ子供を分散させ、不要な争いを避けることが可能です。また後継者候補が複数いて、分社した企業同士の経営者として派遣し、競わせることで最終的な勝者を本社の後継者として選ぶという合理的な判断もできます。

分社設立にあたって生じる3つのデメリット

デメリット1:バックオフィスのコストが肥大化しやすい

 分社した場合、お互いが独立した会社として業務を行うためバックオフィスのコストがお互いに肥大化しやすくなります。総務・経理・人事が行う間接的な作業は守りの部分で削りにくく、規模の経済性が働きにくい部門です。場合によっては、分社前にバックオフィスは費用を按分してシェアする等の話し合いを持って、コストを削減する相談を行うことが肝要になります。

デメリット2:本社と分社間で軋轢が生じやすい

 本社と分社で出来たグループ会社(子会社)の双方が利益の出ているうちは軋轢が生じにくく、むしろお互いに良い関係を保っていられます。しかし一方だけが伸びている状況では軋轢が生じやすくなります。例えば本社の営業活動による業績は萎んでいるにも関わらず、グループ会社の業績はどんどん登り続けて本社がグループ会社からの利益配当で生き延びている状態になったとします。グループ会社の経営者や従業員にとっては気分が良くないと感じてしまうのは仕方がないかもしれません。分社にあたっては趣旨と目的を明確化し、関係が悪化した際の対応を最初にお互いで話し合うことが賢明です。

デメリット3:連結100%子会社でなければ損益通算ができない

 企業が複数の事業・配当で収入を得ている場合は損益通算を行って、節税対策を行うことが可能です。分社化していても連結納税制度を利用すれば、親会社と子会社を1つの会社とみなして法人税の損益通算を行って利益を圧縮し節税が実現できます。ただし分社化が発展的な目的で行われて、親会社が子会社の株式を100%持っていない場合は損益通算ができません。

中小の分社は人的感情を重視する必要あり

 肥大化する組織は効率的な運営が求められます。

 「小さな本社」が経営企画や管理に特化し、各事業が自立して運営する体制をつくる考えは、ソニーやソフトバンクなど日本の大企業には徐々に浸透しつつ有ります。

 しかし中小企業の場合は距離が近い分、人的感情を大企業以上に重視しながら分社作業を行わなければ、人的トラブルが元となり、本来の分社する目的を達成できない可能性も生じます。

 メリット・デメリットをよく比較しながら、分社で設立される新しい会社の責任者となる人間と、今後について柔軟な打ち合わせを行って作業にあたりましょう。

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