美術品等についての減価償却資産の判定に関する改訂が、2015年(平成27年)の1月1日から始まりました。
比較的高額な美術品の損金算入による節税対策が打ちやすいため、経営者にとって今回の法律改訂はメリットのあるものと言えます。
以下、検証してみましょう。
美術品等の減価償却枠が2015年に5倍に拡大
美術品等についての減価償却資産の判定に関する改訂が、2015年(平成27年)の1月1日から始まりました。
その結果、
- 取得価額が1点100万円未満である美術品等は原則として減価償却資産
- 取得価額が1点100万円以上の美術品等は原則として非減価償却資産
に該当するものとして取り扱われることになりました。
従来、美術品は20万円未満までが減価償却資産として取り扱われていたのに対して、減価償却にあてられる資産価額の枠が99万9,999円まで拡大したのです。
美術品でも比較的高額な商品の損金算入による節税対策が打ちやすくなったため、多くの経営者にとって、今回の法律改訂はメリットのあるものと言えます。
ロレックスなどの高級時計購入は美術品扱いで経費算入可能?
99万円程度までの商品でわかりやすい美術品といえば…ロレックスやオメガの高級腕時計を浮かび上げる方もいらっしゃるかもしれません。
確かにスイスで生まれた高給時計は日常使いもできる美術品と言えます。
自分で使用する場合は美術品と言い切れない
もし強引に高級時計を美術品とする場合は、
- 会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として取得されるものであること。
- 移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであること。
- 他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものであること。
などの措置を取る必要があります。
ちなみにこの場合は、100万円を超えても損金参入が可能です。※1
ただしこれらの条項を紐解くと、条件はかなり厳しいです。
一度高級時計はホテルで輝く防弾ガラスの中に収納して美術品として飾られ、そののちタダで誰かにあげられる程度の流通価格が、購入したモデルについて客観的に認められていない限り、美術品として減価償却できないのです。
自分がはめる高給時計は、美術品として損金算入は難しいと言えます。
ヘタに経費で高級時計を買うことを考えない
高級時計は消耗品ですが作業服など絶対的に必要な服飾ではないため、消耗品費に計上できず、役員や社員全員の福利に寄するものでもないため、福利厚生費に計上することもできません。
ただしロレックスやオメガは人気モデルであれば、複数年使用することによってプレミアムが付き、価格が逆にあがる場合すらあるため、転売を視野に取得すると売却時にプレミアムの金利を手に入れられます。
参照元
※1 美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQ
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/bijutsuhin_FAQ/index.htm#q2