部下のすべてが成長することなど無い
今日のテーマは『部下のすべてが成長することなど無い』です。
ちょっと冷めているというか、辛辣に感じる方もいるかもしれませんが、ぜひ知っておいていただければと思ったことを記事にしてみます。
私の事業領域は人材育成、人事管理ですが、相当数の中小零細企業を見てきて感じていることの一つに、社長が最終的に行き着く最大の悩みは「人材が育たないこと」「使えない社員が多いと感じること」なんですね。
でも、これは仕方がないことです。
なぜなら、中小零細企業が大手企業のように、頭の回転の良い社員を獲得するのは至難の業です。
出せるお金が全然違いますからね。
更には、いくら頑張って大手企業のような研修の仕方・人材育成の仕方をやってても、中小企業の組織は基本的に活性化しません。
「それじゃ、俺たちどうしろって言うんだ、南本?」とおっしゃる方も多いかと思いますが、これが私の結論なんですね。
15年ぐらい人事系のコンサルをやっていますけども、色んな人にお金をかけてまんべんなく教育をやろうとしたところで、育つ人はごくわずかなんですよね。
それでは、この厳しい人材事情を抱えながら、中小零細企業の経営者はどうやって人材を上手に活用していけばよいのか?これから説明していきます。
10人いたら2人を選抜し英才教育を施そう
まず大前提として踏まえておきたいことは、人材組織というのは歯車やベルトなど、さまざまなパーツで構成されていることです。
歯車というと聞こえが悪いですけど、機械が動くには、エンジン、大きな歯車や小さな歯車、歯車を回すようなベルトみたいなものとか、様々なパーツが必要です。
組織も同じようにできています。皆がエンジンのように主要な位置を占めているかと言えばそうではありません。
組織に携わる人材が全て優秀かというと、そんなことは起こりえません。
もし、あなたが組織で会社を動かすならば、10人いたら2人が優秀であれば上出来と考えましょう。
10人いたら2人の人材が8割の利益を出すのが組織です。
つまり、組織に10人いたら、10人にちゃんとした教育をやろうとすると、凄いお金と手間がかかっちゃいますよね。
ですから優秀な2人を選抜し、彼らに英才教育を施す形を取りましょう。
彼らがそのほかの人間をマネジメントする形に切り替えていくのです。皆さんも自分の会社の20%は誰に当たるか?ちょっと分析してください。
選抜された人間を教育するには時間が必要
こうして、狙った人材に「英才教育」を施し始めるわけですが、ここで壁にまたぶち当たることでしょう。
というのも、中小零細企業に入社する人材の多くは、「人・物・金・情報・ノウハウ」など、経営に必要な理論を全く知らないことがほとんどです。
大企業だと財務、マーケティング、経営戦略、人事労務、部下指導、コーチングについて、若い頃から幹部候補生は分けられて教育を受けます。
こういった優秀な人材は、もともと勉強する習慣がありますから、頭も良いです。
ところが、中小零細企業では、いくら優秀だからと言って最初からそうはならないです。
中小零細企業で一部の社員に対して行う英才教育には凄く時間かかるんですよ。
ただし、彼らはもともと体系的に勉強して実践する習慣が今まで無かっただけで地頭は良いので、吸収した時に大化けする可能性が高いです。
自分が見込みがあるなと思った人口説き落として「あなたはうちの会社の後継者になる覚悟はあるか?」と聞いて、「なります!」と言った人に、言って聞かせ、やって聞かせてと、何年もかけてじっくり教え込まなければなりません。
拡大していく為に、幹部候補生のポジションをどんどん1人増やし、2人増やしながら、その下に10人ずつぶら下げられるようになると、今5~6人の会社が一気に20人ぐらいまで増える体制ができます。