23日(木)最高裁は、妊娠を機に勤務する女性を降格処分に下した病院に対して「男女雇用機会均等法」に基づき、降格処分に違憲判決を下した。「マタニティハラスメント」等育児を理由に就職できない才能と意欲を持つ女性は豊富にいる。補助金制度を活かすなど節約しながら、有能な人材を獲得できるチャンスがすぐそこにある。
マタハラ違憲 才能溢れるママを活用しよう
23日(木)広島市の病院で働いていた女性が妊娠を理由に降格させられたのは不当と訴えた裁判の判決で、最高裁は「妊娠や出産を理由とした降格は原則、違法で無効」という判断を下した。
妊娠した際に負担の軽い部署への異動を希望したところ、管理職から外されたことは「男女雇用機会均等法」に違反すると同女性は訴え、損害賠償を求めていた。
日本労働組合連合会によると、企業からマタニティハラスメント(妊娠や出産を機に企業から嫌がらせを受けるなどの被害)を受けているという相談件数は年間3,000件を超えるという。※1
ある調査によると、結婚や出産を機に退職した女性の実に86%が、育児と仕事の両立さえ折り合えば再就職したいという希望をいだいている。※2
見方を変えれば人材の乏しい中小企業にとって、ママ世代の女性は人材の宝庫と言える。
補助金や法律改定を狙って有能な女性獲得
以下、リスクやコストを抑え、現在働けていない有能なママ世代の女性を雇用する方策の代表例をあげる。
1)補助金を有効活用し社員登用
母親となった女性を雇用する場合、数多くの補助金がある。ケースによっては、会社の人件費コストを通常雇用の半額程度に抑えながら、雇用することも可能だ。※3
2)配偶者控除廃止を活用し社員登用
配偶者特別控除制度が早ければ2〜3年で廃止される。廃止までの猶予期間中に、非正規雇用の試用期間を設け、制度の廃止後に正規雇用を視野に入れる形式の人材募集を行う企業が増えるだろう。ミスマッチが少なく、お互いにコストメリットがあり、質の高い人材が集まりやすくなる。
3)委託業務契約からはじめ社員登用
子供が保育施設や学校にあがるまで、時間の縛りがゆるい業務委託契約を結び、お互いマッチングすることがわかった後、正社員雇用する方法もある。例えばヤクルトは2013年に選抜されたヤクルトレディ700人を、業務委託契約から社員登用した。通常の採用よりもコストが削減できる点が大きなメリットだ。
ブックオフ橋本会長 元は子供を抱えたパート
ママ世代の女性は初期投資コストが低く、能力もあり意欲に溢れる人材が多い。
最たる事例はブックオフの橋本真由美会長だ。
彼女はアルバイトとして子供を抱えてブックオフでのキャリアをはじめた。やがて能力を認められて店長へ、店長から正社員、やがて代表取締役に上り詰めた。ブックオフはお得に自社の人材採用に成功したと言えよう。
もしかすると、今はやむを得ず働けていない母親たちの中から、第二の橋本会長が現れるかもしれない。お得に豊かな才能をゲットできるよう、多様な雇用形態や採用方法を設けておきたい。
※1日本労働組合連合会HP
http://www.jtuc-rengo.or.jp/gender/matahara/
※2福岡市「次世代育成支援に関するアンケート調査」結果より
http://www.city.fukuoka.lg.jp/kodomo-mirai/k-kikaku/life/jisedaityousa.html
※33年以内既卒者トライアル雇用奨励金
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000sf7z-img/2r9852000000sfeu.pdf