大塚家具の”家具や姫”身売り報道で窮地に
大塚家具さん、今は創業者のお嬢さんが”家具や姫”なんて言われて経営されてますけれど、遂に業績の下降修正も発表しまして、まぁ3期連続の赤字になるだろうと。
これ知ってたとか分かっていたとかね、だいたい経営をある程度分かっている人から見ると、「これで黒字化なんてゼッタイできねぇだろ」っていうやり方なんですよね。
先日も身売り報道が出ましたけれども、「ヨドバシカメラ買収否定」ってことで、ヨドバシカメラの社長はチョット怒ってましたよね。
「大塚家具側が勝手に言っているだけであって、うちが買収する魅力が全く無い」って言い切ってますからね(笑)。
実際 、あれは1回潰さないと、事業譲渡を受けるにしても、という意見が大勢です。そして、1回潰してくれるんだったら、新宿と有明くらいの所だけだったら引き継いでも良いんだけどな〜…っていう会社さんはかなりあります。
頼りの貸し会議室屋も支えきれない財務体質
元々は2018年12月の決算で13億円の黒字予算を一応立てていたんです。でもこんなのできるわけない。
だって、春日部の土地を売ったり、持っている投資有価証券を売ってもね、それは特別利益で上がっていくんですけれど、それをやってもフタ開けてみたら34億円の赤字でちゃうわけですから。
これもうほぼほぼバンザイ状態なんですよ。
キャッシュも本当にキツイから春日部を売る、そして投資有価証券も売るー、そしてゴルフ会員券まで売るーーって感じで、もうすごくお金に困っている状態。
ですから「貸し会議室屋さん!もう助けてーーー!」っていう感じでいっているんです。
ヨドバシカメラが買収しないって言うので、もうしょうがないから、貸し会議室屋さんに助けて!っていうしかないんですよ。
ですけれど、この貸し会議室屋さんの営業キャッシュフローを一般家庭におきかえて考えてみると、月給でいうと18万円くらいの家庭を想像してください。
ところが大塚娘のお金の使い方ていうのは月30万円くらい使うんですよ。
月30万円使う大塚娘さんの家族を養っていくのに、おれ月18万円の給料しか無いんだけど(泣)っていう感じなんですよ。
そういう状態だってことをまず分かって欲しいんですね。
出しきれてない不良在庫の評価損で中身はボロボロ
それから不良在庫の損失、商品評価損として今回10億円くらい計上する話が出ていますけれど、これについてはお金が出ていない損失なんです。
これまでの在庫で評価し直したら、10億くらいで価値低かったな〜みたいな感じなんですけれど、これ本当はもっとありますよ。
だって130億円くらい在庫あるんですけれど、かなり怪しいですもん。
ですからこの商品評価損10億円っていうのは、チョット少なめに出したんじゃないかな〜と私は思っていています。
本当は、こういうふうにキャッシュが出て行かない評価損みたいなものっていうのは、3期連続赤字なんだからどっちにしろ赤字になっちゃったんだから、ここ1期で膿を出すべきなんじゃないかな〜って個人的には思っています。
でもその膿も出せないくらいのメンツなんですよね。
結局、メンツの問題もあるので、売上400億円を切っているとしても、やっぱりなかなか出来ないのかな〜って。ちょっと可哀想な感じもします。
財務担当の取締役が退社し、創業者のオヤジも苦言
そして、これはもう本当にトドメなんですけれど、財務担当の取締役が4月末に健康上の理由で退社しているんです。
もうウンザリなわけですよね、自分の在任中に資金ショートを起こしてほしくないからね。
「チョット俺もう具合悪くなったわってことで、もう居なくなるわ」みたいなね、
この気持ち本当に分かります。
「売るものが無いです、社長!ウチで売れるものはも〜全部売りました。もう資金が回りません!ここで本当に経営を変えてもらわない限り、資金回んないんすよ!!!!だから…俺辞めますわ」って。
元々ね、三菱出身の銀行系の人がやっていたんですけれども、その金庫番の人が退社したと。
あとは創業者である親父さんと、2代目であるお嬢さんとの食い違いがハッキリとお客様に対して見えるなと思うのは、親父さんがこの身売り報道に関して「今まで育ててくれたお客様を無視することになった」とおっしゃってます。
自分で会社を起こして自分でお客様を取っている人ですから、今まで育ててくれたお客様…お客様に我々は育てて頂いたんだって。
これ、他の中小企業でもそうなんですけれど、2代目3代目さんはね、そういう感覚ってあんまり無いんですよ。
要するに自分が創業者だから、創業者だからこそ、そう思うんだろうなって感じます。
だって我々も創業者ですからね、お客様って本当にね…宝物!なんですよ。財産なんです。
そのお客様を無視することになったような経営をしてしまったようなっていう親父さんの苦言はなんとなく分かりますよ。
新しく余計なことをしないほうが良いビジネスもある
そしてちょっと意地悪な言い方なんですけれど、ゼークト将軍の格言「(兵ではなく指揮官に対して)無能な働き者は処刑せよ」みたいな感じでね、指揮官が”無能な働き者”だったら、むしろ組織の損失・損害が大きくなってしまいます。
親父さんのほうの経営の仕方は確かに古臭いと思います。古臭い。
でも、時代遅れのやり方のほうが、少なくともあのキャッシュの減りは起こらなかったと思います。
だってね〜、本当に100億とかを簡単に失くしているんですよ。お嬢さん…家具や姫のほうがね。
そして土地売る…投資有価証券売る…ゴルフ会員券もナンでも売る!売るものがもう何も無い!そら財務担当も逃げ出しますわ!!
それくらい会社の経営っていうのは本当にね、古臭いやり方でも昔ながらのやり方でやっていたほうが、まだソフトランディングができていたんじゃないかって。
これは中小企業でも、よくあるんです。
2世3世の人が、本当にね「余計なことをしない」ほうが会社を上手く継続してやって行けるっていうことがあるんです。
失敗した企業って、なかなかそういう本も出ないし、今回のこういう案件ってね、我々にも本当に参考になると思うんです。
経営っていうのは結局カネが尽きたらお終い。
その時に、「どういう過程でカネが尽きていったのか」っていうのは勉強になると思います。