ロッテのガムが売れています。ガムというモノの価値から、ガムを噛む体験が生む、中高年消費者の「記憶力維持」の効能に価値をもたせ、機能性表示食品ガムとして、ガムを文房具コーナーや祝儀袋コーナーに置き始めたことが功を奏しているのです。価値の置き方1つで全く新たな市場が私達の目の前に現れます。
ロッテのガムが文房具売場でバカ売れなのはなぜ?
日本チューイングガム協会によると2016年のガムの小売金額は、1058億円と12年連続で減少し、2004年のピーク時から4割も減ったことがわかっています。
このように縮小するガム市場の中でも、モノから価値を訴求して成功を収める会社があります。それはロッテです。
ロッテがどこでガムの販売を広げているかというと、実は文房具コーナーや祝儀袋コーナーです。
彼らは今、ガムというモノの価値から、ガムを噛む体験が生む、中高年消費者の「記憶力維持」の効能に価値をもたせ、機能性表示食品ガムとして、ガムを文房具コーナーや祝儀袋コーナーにおいているのです。
しかも、10月下旬から11月下旬の1カ月でのリピート率は約5割と「他の商品と比べると非常に高い」というのですからびっくりです。
ロッテはお菓子やエチケットとしてのガム本来の価値が薄れる中、普段ガムを食べる習慣がない消費者に対して、その人々のニーズに沿った価値をガムに見出し、オファーを出しました。
一見縮小しているように見える市場にあっても、新たな価値を打ち出せれば、市場を開拓するのは十分可能なのです。
ウクレレ教室ではターゲットのニーズに刺さらない
話は変わり、あるところにウクレレを趣味にしている男性がいました。
彼はずっと、定年後にシニアのための「ウクレレ教室」を開きたいと思っていましたが、念願叶って遂に起業の準備を始めることになりました。
ところが、意気揚々と信頼のおける知人に相談したところ、「ウクレレを習いたいシニアは少ないでしょう。ウクレレ教室で起業したところで集客はできないと思いますよ」と言われたそうです。
そこで彼は、実際にウクレレ講師として事業を始める前に、シニアの人たちは何を求めているかを調べました。
すると、シニアの人たちは「友達が欲しい」という強い欲求を持っていることがわかりました。
ウクレレを習いたいという人は少ないだろう。でも、友達を求めているシニアは多い。だったら、どうしたらいいのだろうか?
悩み抜いた末、彼は、受講生がウクレレを弾けるようになることに価値を置くのではなく、受講生がウクレレを通して友達を作れる環境作りに価値を見出し、ある業態で事業を始めることを決意しました。
ウクレレでシニアの「友達が欲しい」ニーズを満たした方法
彼が考えついた業態、それは「ウクレレ教室」ではなく「ウクレレサークル」でした。
教室の価値は「学ぶこと」ですが、サークルの価値は「友人と集まり楽しむこと」にあると定義したのです。
さあ、お客様は集まるでしょうか?
結果は、彼のウクレレサークルには多くのシニアが集まるという、まさに狙ったとおりのものとなりました。
ウクレレを学ぶという口実のもとに、友人を作りに、新たに出来た友人と集まって楽しむために、シニア達がウクレレサークルに殺到したのです。
自分達の商品やサービスについて、ターゲットが何を求めているのか、どこに価値を見出すのか、そのポイントを徹底的に突き詰めると、新たなフロンティア市場が貴方の目の前にも現れるかもしれません。