「もう、リアル対面の販売員とか用無しだろ!」と無下に考えている方はいらっしゃいませんか?たしかにEコマースの拡大と共に、対面型営業パーソンがこれまでと同じリアルの営業で活躍する場面は少なくなるでしょう。一方で、彼らの資質や過去の接客経験、それに豊富なスキルは今後のEC展開で欠かせないものとなっていきます。その理由をご説明します。
ネット社会でも適切なアドバイスをしてくれる存在は依然重要
こんにちは。ジェネシスコミュニケーションの松尾です。
先日公開した記事、『「対面型営業パーソン受難の時代」に営業担当者は何を磨くべきか』では、自分で商品を検索、比較検討し、購入することのできるECサイトの浸透、およびセルフサービス型のリアル店舗の増加によって、従来の対面型営業パーソンの活躍できる余地が小さくなっていることを指摘しました。
しかし、一方で、自分に合った商品選択のために、専門的な知識を必要とするもの、また競合・類似製品が多すぎて比較検討する意欲が失せるような商品カテゴリーにおいては、適切なアドバイスをしてくれる存在は依然重要です。
このことは、以前にも以下の記事で触れています。
参考リンク1:『人の介在無くしてもはや発展無し?!リアル店舗化する企業のウェブサイト』
参考リンク2:『ネットの背後にスタッフ8人が待機。「オンライン接客」が好評なイエッティのケース』
参考リンク3:『チャットで転職相談。1日に150人の相談にのるジョブクルの転職エージェント』
元販売員が大いに活躍するファッションアプリ「メチャカリ」
というわけで、実は営業パーソンの活躍の場は、リアル店舗では減っていく傾向が続くことは否めないのですが、オンラインにおいてはひょっとしたら最も必要される人材になっていく可能性があります。
実際、アースミュージック&エコロジーなどのファッションブランドを展開する株式会社ストライプインターナショナル社長、石川康晴氏は、「店舗のファッションアドバイザー(要するに「販売員」)は、IT系のファッション会社がよだれを垂らすほど欲しがっている」と述べています。
これは、彼らの持つ豊富な商品知識や提案力が、ファッションのオンライン販売増加に貢献できるからです。
石川氏によれば、ストライプインターナショナルが運営するファションレンタルサービス「メチャカリ」では、服をコーディネートして撮影し、サイトにアップする「撮影班」は全員が「元販売員」なのだそうです。
店頭で何年も接客しトレンドを追ってきたおかげで、高いコーディネート力を発揮でき、セルフサービス型のECサイトの売り上げを確実に促進してくれるというわけです。
品選びを手伝う「OK SKY」のリアルタイムチャットサービス
また、Web上での接客のための「チャットサービス」が増えているのは先の記事などで触れた通りですが、ここでも、販売員の経験やスキルが活かせる場があります。
例えば、株式会社空色が提供するWeb接客ソリューション「OK SKY」は、チャット機能を持つクラウドツールや、24時間対応を可能にするAI搭載の「チャットボット」をサイトに組み込むだけでなく、チャットを通じてサイト訪問者とリアルタイムで会話するオペレーターも併せて提供しています。
つまり、クラウドツール(プログラム)&チャットセンターのアウトソーシングサービスを提供するのが「OK SKY」の売りです。
導入事例としては、ファッション系ECサイト、「ナノ・ユニバース」や「阪急百貨店」のECサイト「阪急オンラインショッピング」があります。
どちらもファッションコーナーにおいて、「OK SKY」が導入されており、サイト訪問者は、オペレーターとチャットで相談しながら、品選びができるようになっています。
「売上増を狙うチャットサービス」では対面接客の経験とスキルがものを言う
当然ながら、こうしたECサイトでの販売に大きな影響を与えるのが、チャットオペレーターの販売員としての能力です。
チャットの場合、「製品の不具合などの質問に答える顧客サービス」としての活用なら、想定問答集を用意しておけば、オペレーターにはそれほど高い専門知識やスキルが要求されません。
しかし、「売上増を狙う販売員としてのチャットサービス」であれば、本人の資質や過去の接客経験やスキルが大いにものを言います。
ファッション業界に限らず、様々な業界においてますますオンラインでの販売が普及することが見込まれる今後、一定の資質・能力を持つ販売員のニーズは低下するどころか、ますます高くなるかもしれません。