同じ業界で同じような仕事をしている会社であっても、社員がイキイキと仕事をしている会社と、社員が死んだような目をしている会社があります。両者の間に生まれる差は、仕事を「意味レベル」で理解しているか否かの差です。社員が仕事を意味レベルで理解し実行するには、マネジメント層や経営者による「何のために仕事をするのか?」に関する継続発信が必要です。
同じ業界でも社員の勢いには雲泥の差が生じる
同じ業界に属して同じような仕事をしている会社でも、社員がイキイキとした会社、社員が死んだような目をしている会社があります。
イキイキとした会社の懇親会では、商品やサービスのあり方、これから業界を自分たちが変えていく決意を、皆が熱っぽく語ります。
社員の目が死んだような会社の懇親会では、経営者や上司に対するグチ、自分が今やっている仕事が如何に大変かを自慢する大会が始まります。
イキイキとした会社の懇親会は社員のモチベーションを高める良い機会となり、一方で社員の目が死んだような会社の懇親会はより一層、社員のモチベーションを下げるきっかけとなってしまいます。
なぜ、2社は同じ業界に属していながら、これほど社員のあり方に大きな差が生まれているのでしょうか。
それは、自分のやっている仕事に対する理解が、2社の社員で全く違うものだからです。
社員が意味レベルで仕事をしている会社は強い
知っている方もいるかもしれませんが、社員がどんなふうに自分の仕事を捉えているかについて、大きな差が生まれることのたとえ話があります。
石を積んでいる3人の職人に同じ質問をしました。
Q:あなたの仕事は何ですか?
A職人:「石を積むことだ」
B職人:「お城の壁を造ることだ」
C職人:「殿を敵から守るために丈夫な城壁を造ることだ」
表面上は、どれも「あなたの仕事」を聞かれた時には正解かもしれません。
しかし、本人が何を目指して仕事をしているのかには雲泥の違いがあります。
A職人の答え、「石を積むことだ」は、仕事を作業レベルでしか捉えられていない人を指します。
B職人は仕事を「お城の壁を造ることだ」と答えていますが、これは目的レベルで仕事を捉えている人の答えです。
では、最後のC職人による「殿を敵から守るために丈夫な城壁を造ることだ」という答えはどうでしょうか?
この答えからは、この職人が自分のやっている仕事を、意味レベルで理解していることを理解できますよね。
日々業務をしていると、どうしても目の前の業務をこなすことに意識が集中し、そもそも何の仕事をしているのかが見えなくなることがあります。
社員が、山を見て、森を見て、木も見れる状態であるためには、会社がどんな方向性をもって、それを受けて部門は何を達成しようとし、そして自分は何のためにどんな目標を達成しようとしているのか、という連鎖背景を確認しながら、日々の業務に邁進できているか?が重要なのです。
マネジメント層と経営者は事業の意味を語れ
このように、往々にして社員教育では「何のために今の仕事をやるのか」というところ、つまり先程の意味レベルの教育がおざなりになりがちです。
このような状態で営業セミナーを受けさせても、幾ら最先端のツールを使わせても、能力は最大限には発揮することができません。
社員に対して、彼らを教育するマネジメント層や経営者が、積極的に「意味レベル」で「何のために事業を行っているのか?」「誰のためにやっているのか?」「どんなふうにやるのか?」「目的を達成することでどんなふうになれるのか?」を発信しなければ、決して社員が意味レベルで仕事を行うことはないでしょう。
一番最初に話した、社員がイキイキとした会社と、死んだような目をした会社の違いもそこにあります。
たとえ話に戻って考えてみても、それぞれの石積み職人達はあくまでもプレイヤーで、彼らの親方が「意味レベル」で自分たちがやっていることを教えているか否かが、回答の差にも現れるのです。
ぜひ、社員たちに対して業務内容を意味レベルで、そして連鎖背景も含めて説明する機会を積極的に設けてください。