本稿はリクエストに応じて、キミアキ先生がフランクリン・コヴィー著『7つの習慣』を活用し、どうすれば経営革新によって従業員の給料をあげられるか説明してくださいます。キーワードは「タイムマネジメント」と「やらないことの徹底」です。
企業は変わり続けなければ事業継続できない
先日、『「思考は現実化する」をデキる社長はこう解釈し実践している』というお話をしましたら、今度は『7つの習慣』でもお話してみてください!とリクエストをいただきました。
一応私は事業者向けにお話をしていますから、『7つの習慣』についても、事業者ヘ役立つ部分、経営に役立つ部分をお話したいと思います。
この本は、フランクリン・コヴィーという方が1996年に書いたもので、日本でも200万部以上売れている大ベストセラーです。
キングベアー出版
売り上げランキング: 1,689
本の内容をかいつまんで紹介すると、「人間は習慣の生き物だから、習慣を変えないと人生は良くならない。ならば良い習慣を身につけて人生良い方向に変えようぜっ!」というものです。
7つの習慣は、
- 第1の習慣:主体的である
- 第2の習慣:終わりを思い描くことから始める
- 第3の習慣:最優先事項を優先する
- 第4の習慣:Win-Winを考える
- 第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される
- 第6の習慣:シナジーを創り出す
- 第7の習慣:刃を研ぐ
というものです。
これらの習慣は段階的に、
- 第1〜3の習慣:私的成功
- 第4〜6の習慣:公的成功
- 第7の習慣:これまでの習慣を再新再生していく
と分かれておりまして、7つの習慣のPDCAを鬼速で回して自らを磨き上げよう!と言うのがコヴィーさんの言わんとするところ。
これを企業に置き換えると、企業も習慣の塊ですから、悪い習慣は断ち切らなければなりませんし、常に変わり続けなければ事業継続もままなりません。
つまり、企業の場合、新しい習慣を身につけるべく、経営革新を続けないといけないんです。
私が考える中で1番カッコイイ経営革新ってなんだろうかなぁと思うと、やっぱり従業員さんの給料を上げていくような、そんな経営革新が1番格好良いと思うんですね。
そこで、今日は7つの習慣を活用して、1年で従業員さんの給料を2割増しにしよう!!ということを話してみたいと思います。
従業員の給料を上げたいならまずは具体的な数値目標を設定しよう
従業員さんの給与を上げるということになりますと、「気持ちっ!」とかでは無く、実際の数値目標が必要になります。(経営は数字から逃げられませんからね!)
実際にスモールビジネスと呼ばれているステージの社長さんには、年商1億円くらいまで行くまで、まずは数字で必ず見てほしいものが3つあります。
それは
- 現金預金の推移
- 売り上げ
- 消費税
この3つです。
「この3つの数値をしっかり見て下さい。」って、顧問先さんには必ずお願いしています。
それから従業員さんを雇ってる場合は、正社員さんをカウント1、パートさんアルバイトさんについてはカウント0.5なり0.4として考えましょう。
ぶっちゃけると、従業者1人当たりの年間粗利益が1千万円あれば何の問題も無いし、そこに行くためのビジネスモデルを作る必要があります。
まずは、具体的な数値目標を作るのが大前提で、ここに7つの習慣を当てはめて、昇給戦隊・給料2割アゲルンジャー作戦を開始します。
第3の習慣「最優先事項を優先する」に着目し作戦開始
どうやって従業員さんの給料を上げていくかという話なんですが、『7つの習慣』でいうと第3の習慣「最優先事項を優先する」に着目して、いわゆる「タイムマネジメント」の習慣を変える必要があります。
タイムマネジメントについては、マトリックスに掲げる4つの領域を最初にご紹介します。
この4つの領域をしっかり考えて、これを踏まえたタイムマネジメントの改善をすることで、絶対に従業員さんの生産性は上がって、従業員さんの給料は上がります。
信じてください!!それではやっていきましょう!
まず、マトリックスの説明から始めますと、縦軸は「緊急なこと」、「緊急で無いこと」です。
1と3が緊急で、2と4の領域が緊急で無いことに区分されます。
横軸は、「重要」、「重要で無い」ことに分かれています。
重要なことが1と2、重要で無いことが3と4に区分されます。
これを4つに区分すると、
- 第1の領域『必須』: 緊急であり重要なこと
- 第2の領域『生産性とバランス』: 緊急では無いが重要なこと
- 第3の領域『錯覚』:緊急であるが重要で無いこと
- 第4の領域『無駄』:緊急では無いし重要でも無いこと
という領域ができあがります。
もう一度、マトリックスをご確認ください。
従業員はマトリックスでどの仕事をやれば生産性が上がるか?
ここからは、これら4つの領域のうち、従業員さんがどのような仕事をしているか、ということを考えてみたいと思います。
第1の領域『必須』: 緊急であり重要なこと
まず第1の領域は『必須』= 緊急であり重要なことです。
たとえば、
- ・締め切りのある仕事
- ・クレーム処理
- ・切羽詰まった問題
- ・危機や災害
これはもう緊急で重要なことですよね。
第2の領域『生産性とバランス』: 緊急では無いが重要なこと
次は第2の領域『生産性とバランス』= 緊急では無いが重要なことです。
- ・人間関係づくり:これは社内であったり、それから社外の取引先もそうですよね。
- ・準備や計画:これも経営には非常に大事なことですね。
- ・リーダーシップ:これも経営には大事ですね。
- ・勉強や自己啓発:勉強も緊急では無いですが重要なことですね。
- ・品質の改善:これも大事なことです。
第3の領域『錯覚』:緊急であるが重要で無いこと
今度は第3の領域『錯覚』= 緊急であるが重要で無いことです。
この第3の領域は言葉を覚えておいてください…『錯覚』です(笑)
- ・突然の来訪:飛び込み営業マンやって来ますよね?
- ・多くの電話:電話営業ね、本当困ったものですよね、仕事がぶつ切りにされますからね。
- ・多くの会議や報告書:んも〜報告書を書かせるのが好きな上司いますよね〜!
- ・無意味な接待や付き合いや冠婚葬祭:あくまで“ 無意味な”ですよ。
これがいわゆる錯覚というものです。
第4の領域『無駄』:緊急では無いし重要でも無いこと
それから第4の領域『無駄』= 緊急では無いし重要でも無いことです。
この第4の領域の言葉は『無駄』!っていう(笑)
- ・暇つぶし
- ・単なる遊び
- ・ダラダラ電話
- ・待ち時間
- ・移動時間
その他の意味の無い活動ですね。
こういうことをちょっと分析してみると、従業員さんはどの領域で「忙しい!忙しい!」言っているのかな〜っていうのが、だいたい見えてくるわけですよね。
ハッキリ言って、3と4なんです。
3と4で忙しい忙しいってなっているわけですから、経営者は何をやってあげるべきかというと、とにかく、
- 第3の領域『錯覚』:緊急であるが重要で無いこと
- 第4の領域『無駄』:緊急では無いし重要でも無いこと
この第3と第4の領域を極力排除してあげることが、従業員さんの生産性を上げることに繋がります。
そして、従業員さんの立ち位置を、「第1の領域:緊急であり重要なこと」という締め切りがある仕事に9割方置くように、そういう配慮をしてあげてください。
経営者は第2の領域で緊急ではないが重要なことを行う
そして経営陣は逆です。
経営陣は緊急では無いが重要なこと、第2の領域が自分の立ち位置です。
時間にしたら9割くらい使ってください。
では、経営陣がやらなくてはいけない緊急であり重要なことって何があるかというと、
事故処理
突発的な事故が起こったら、やっぱり経営陣が陣頭指揮をとって処理をする。
クレーム処理
これもそうですよね、中小零細企業ではクレーム処理も担当者ではなくて、経営陣がしっかりやらなくてはいけません。
重要な会議
これもやはり経営陣がしっかり方向性を示してあげなくてはいけないですね。
このくらいしか無いです。あとは従業員さんが出来るんですよ。
ですから、従業員さんは第1の領域『必須』にいてもらい、経営者は第2の領域である緊急ではないが重要なことに当たると。
計画や準備という、いわゆる作戦を組んだり、それからお客様との人間関係であったりね、そういうことに時間を使っていくんです。
第3と第4の領域を実務上から徹底的に排除せよ
こういう風に、きちんと社長さんは社長さんの仕事、従業員さんは従業員さんの仕事をしている会社さんってね、儲かっているんですよ。
儲かっていないところは、大抵は社長さんが作業をやっているんですね。
第1の領域を従業員さんと一緒にやっちゃっている。「みんなで一緒に汗かこうぜ!!」みたいな感じで。
そりゃあ儲かんねぇよって(笑)
社長さんが従業員みんなと同じことをやっていたら、儲からんのですよ。
ですから、きちんと棲み分けを考えて、とにかく第3と第4の領域は絶対に排除してあげる。
自分自身からも排除するし、従業員さんの仕事からも排除してあげれば、絶対に生産性は上がるんですよ。
そうしたら1年間で2割くらいの昇給は簡単に出来ますので、ぜひとも従業員さんの給料を上げてあげたい方は、第3と第4の領域をどうやって実務上で排除していくかを頑張って考え、実践することをお勧めします。