日本人が自分の年収を堂々と明かす時代は来るか?

経済

 日本は旧来、農耕型社会のため、協調精神と勤勉さが尊ばれ「給料はいくらか、年収はいくらか」というサラリーに関する質問は一般的にはタブーとされている。一方で世界には給与を透明に明かすことを決定した企業や、給与を明かし合うことでより良いキャリアを獲得する文化を持つ国もある。日本でもそのような文化がこれから生まれるかもしれない。

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日本でタブーな話題は他人の給料を聞くこと

 日本では「給料はいくらか、年収はいくらか」というサラリーに関する質問は一般的にはタブーとされており、人の給料を聞く質問をするのは”はしたないこと”といったイメージがある。

 同じ会社の同僚、同郷出身の同級生やなじみの居酒屋店主と、自分のサラリーをひけらかした会話をしたことがあるだろうか?

 同じ会社の同僚であれば、勤続年数や最終学歴などから、給与テーブルである程度推測することはできるだろうが、はっきりと質問をしてはいけない。いくら知りたくても、だ。

 暗黙のルールに加えて、就業規則で給与を公開してはいけないと定めている企業もある。

「◯◯社」と検索すると、「◯◯社 年収」というサジェストワードが表示されやすいのには、「聞きたくても聞けない」多くの人のニーズがあるからと言えよう。

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おおっぴらに給与を明かす会社や文化も

 日本では「禁忌(きんき)」とされている給与公開も、他の国や特定の企業では、おおっぴらにする文化があるようだ。海外の事例をご紹介しよう。

1)Buffer社 アメリカ

 TwitterやFacebookへの投稿をタイムシフトで最適化するサービスを提供する「Buffer社」は、社員全員の年収をGoogle Docsを利用して、一覧表で公開している。ファイルのタイトルは「Open Salaries(給与公開)」とストレートな表現だ。誰でも見られるのでぜひ一度見てみてほしい。CEOから平社員まで約30人の給与をすべて見ることができる。と同時に、給与の算定式、保有している自社株の数、その評価額まですべてつまびらかになっている。Buffer社がオープン形式をとっている理由は、わずか30人の社員が世界11カ国22都市に分散して所在しているため、フラットな組織である必要を感じているからだ。透明経営を目指す1つの手段として、給与公開は有用と言える。

2)看准 中国

 中国には「看准(日本語で『見定める』の意)」という給与公開SNSサイトが存在する。中国国内の各企業の職種や、職位別の年収を見ることができる。例えば上海のスターバックスの店長の給料、中国全土に17000以上の支店がある中国工商銀行の行員の給料も見られる。給与が分かることで得られる効果は、サラリーに対する不平等感や不満、疑念の払拭だ。中国では、ビジネスマンが「看准」を見て、同業種の給与が高い企業へ流出するなど社会現象も生じている。

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給与を明かさないのは島国の精神でもある

 日本は古来より国土面積にさほど大きな変化がない島国である。民族構成は日本民族が大多数のマジョリティを占める。

 ゆえに大陸国家のように領土を積極的に拡大する「狩猟型社会」より、決められた国土で秩序だった生活を行うための「農耕型社会」が形成され、現代に繋がっている。

 農耕型社会では、協調精神と勤勉さが尊ばれ、皆でわかちあう風習が育ちやすい。これが良くも悪くも日本人の特性が「島国根性」と言われる所以であり、日本人が給与を明かすことを禁忌とする根本的な理由と言えよう。

 しかし近年では、フリーランスやノマドワーカーなど、会社や場所にとらわれない働き方が増えており、終身雇用や年功序列も崩壊している。

 良くも悪くも自由に働ける時代になり、収入の意味合いは「給与」という与えられる要素をなくしはじめ、「獲得」という要素を強めているかもしれない。

 今後、給与を透明化する経営方針を打ち出す企業も増えてくることだろう。