三菱の歴史は買収の歴史 成城石井も一例

経営

 高級スーパー成城石井がコンビニ大手ローソンに550億円で買収された。今回の買収は買収する側も売却する側も三菱グループの企業である。動乱期にお得な買収で巨大化した三菱グループの文化を知ることは、混迷を極める過当競争の時代に生きる経営者に、動乱期こそ規模拡大のチャンスがあることを教える。

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ローソンが成城石井買収 全て三菱内の出来事

 コンビニ業界第二位のローソンが9月30日に、高級スーパー成城石井を買収することを発表した。ローソンは成城石井の全株式を保有する「丸の内キャピタル」へ有利子負債の相殺分を含め約550億円を支払い、10月末日に全てが完了する。
 
 ローソンの株主第一位は三菱商事であり、丸の内キャピタルは三菱商事と三菱UFJ証券HDが50%ずつ出資して設立されたVCである。つまり、買収する側も売却側も三菱グループの一員であり、全ては三菱グループ内で起こった出来事、キャッチボールと言える。
 
 今回の買収はコンビニ業界、特にナチュラルローソン含めてローソンの富裕層向けコンビニ市場寡占化、覇権奪取を睨んだ取り組みとなる。なにせ身内での資金やりとりなのであるから、550億という買収金額がお得かお得ではないかと言った議論は不毛と言えよう。

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創業150年で日本一のコングロマリット

 日本の三大財閥といえば、三井・住友・三菱である。三井、住友が江戸時代から400年以上続く財閥であるのに対して、三菱は明治初期に岩崎弥太郎を祖として始まっているため歴史は150年程度と浅い。
 
 しかし、グループ全体の総資産は300兆円を超え、他の財閥を圧倒する規模となっている。
 
 ここまで大きくなった理由は、初代と二代目が非常に優れた経営者でお得な取引と買収により、規模を拡大してきたことに理由がある。
 
 始祖・弥太郎は、動乱期にある明治初期に版籍奉還や西南戦争と言った動乱情報をいち早く察知し、海運・軍事の優れた設備を前もって安値買いし、設立間もなく足腰の弱い政府へ高値で売りつけることで一気に会社の規模を大きくした。
 
 二代目・弥之助は、政府から商業のベースが民間へ移っていることを悟り、事業の方針を「官から民」へ変えた。優れた炭鉱、鉱山、金融、不動産等社会インフラを形成する事業を運営する民間企業が行き詰まった時に安値で買収し、益々財閥として三菱を巨大化させた。
 
 今でも文化は受け継がれ、「川上・川中(メーカー・商社)として強く、川下(販売者)として弱いと言われていたが、2000年台に入りスーパー最大手のライフへ出資、コンビニ第二位のローソンへ出資するなどして弱点を補うようになっている。

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動乱期はチャンス お得な買収案件があるはず

 岩崎弥太郎・弥之助は良いサービスや商品を見定める力を持ち、時代の大きな流れをつかみ動乱や他の行き詰まりをチャンスと捉え、今に至る三菱グループ繁栄の基礎を築きあげた。
 
 小さい企業であっても、常に時代の流れを大きく捉え、お得な買収によって大きくなるチャンスを得る可能性を探りたい。

画像提供:ウィキペディア「岩崎弥太郎」より

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