独自性が無くても◯◯があればビジネスはOK〜USP概念への逆襲

マーケティング

 提供する商品やサービスの独自性・オリジナリティの重要性を指すマーケティング概念は、“Unique Selling Proposition”の頭文字を取り、USPと呼ばれています。しかし、USPを持つビジネスは簡単に生まれるものではありません。むしろ顧客との“関係性”づくりを行うことのほうが、小さな企業にとってはビジネスの成功要因となることが多いものです。

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USPが無いビジネスはダメなビジネスなのか?

  「どこにもある商品やサービスを提供しても売上げは期待できない。」

  「独自性やオリジナリティがなければ通用しない。」

 マーケティングや起業の本を読むと、大体の本にこのようなことが書いてあります。

 これら、提供する商品やサービスの独自性・オリジナリティの重要性を指すマーケティング概念は、“Unique Selling Proposition”の頭文字を取り、USPと呼ばれています。

 USPの成功例として良く取り上げられるのが、ドミノピザの「30分でお届けします」サービスです。

 私の知合いのラーメン屋は、ラーメンを木の桶で出しています。これもUSPと言えるでしょう。

 「USPがなければ、既存の商品やサービスの中に埋没してしまい、新たなビジネスは成り立たない。」といきなり言われれば、確かにそうだな、と納得せざるを得ません。

 しかし、本当にUSPはビジネスにおいて必至のものなのでしょうか?

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USPはビジネスを成功させる絶対必要条件ではない

 起業に際しては、今までにない独自性やオリジナリティを一生懸命考えますが、そんな独自性は簡単に出てくるものではありません。

 また、USPが確立できたとしても、すぐに真似されてしまい、USPでなくなってしまう可能性があります。

 ちなみに「30分でお届けします」というUSPは、ドミノピザ以外のピザ宅配業者がやっていましたが、ドミノピザが大々的に広告キャンペーンを行ったため、こちらの方が広く知られてしまったものです。

 そもそも、USPは何のために必要なものなのでしょうか?

 私たちが新しく提供する商品やサービスは、既に似たようなものが存在している場合がほとんどです。

 このような状況の中で、今までの商品やサービスにはない、独自性やオリジナリティが無ければ、私たちの提供するものは選んでいただけません。

 つまり、多くの競合の中で自分の商品やサービスを選んでいただくこと、これがUSPが必要な理由です。

 だとしたならば、USP以外にお客様を引き寄せるものがあるならば、特にUSPは無くてもいいということになりますね。

 つまり、USPはビジネスを成功させる上で、絶対に必要なものではないのです。

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USPが無くてもお客様との“関係性”があればビジネスは成り立つ

 さて、貴方の地元で2店の飲食店がオープンしたとします。

 1店は、高校時代からの親友がやっている店、もう1店は、まったく知らない人がやっている店、あなたは、どちらの店に行きますか?

 やっぱり、親友のやっている店に行きますね。

 でも、自分の好きなメニューが少ない、自分の好み味ではない、値段が高い店だったら、いくら親友の店であってもリピートはしないですね。

 私たちは、知らない店ではなく、知っている店、つまり自分と“関係性”のある店を選びます。

 ただし、自分の求めているものがそこにあるという条件が必要になります。

  • ターゲット層が求める商品やサービスを提供すること
  • ターゲット層との“関係性”を構築すること

 これによって、特別なUSPが無くても、お客様を引き寄せることは十分可能です。

 一つの実例をご紹介しましょう。

 以前はよく見掛けた街の電気屋さんも、今ではあまり見掛けることはありませんね。

 家電量販店との価格競争に負けて次々に撤退していったからです。

 ところが、私の知合いの街の家電店に、売上げが年々伸びており、年商も4億円に達している家電店があります。

 どこに儲かる秘密があると思われますか?

 彼の店では、お客様のお宅を定期的に訪問するチームがあります。

 訪問して商品を売り込んでいるわけではなく、そのお宅の家電製品を点検し、困っていることをヒアリングしているのです。

 つまり、定期的な訪問を通して、お客様とコミュニケーションを密にし、“関係性”づくりを行っているのです。

 家電量販店に行けば、同じ商品がもっと安く買えるのです。でも、お客様は彼の店から買っているのです。

 それは、お客様と“関係性”づくりができているからです。

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インターネットの時代もお客様と“関係性”づくりの大切さは変わらない

 この“関係性”づくりの重要性は、インターネットによるコミュニケーションの多様化が起きても何ら変わりません。

 現代は、直接訪問以外に、ニュースレターという紙媒体、ブログやメルマガ、FacebookなどのSNSを活用して、“関係性”づくりを行うことができます。

 しかし、ここで忘れてならないポイントが一つあります。

 それらの媒体は、あくまで「お客様との“関係性”づくりを目的としたものであり、商品の売込みが目的ではないということです。

  • 自分のことを知ってもらう
  • お客様に役立つ情報を発信していく

 USPがなかなか見つからないなら、これらを行うことで、お客様に共感していただき“関係性”づくりを行うことから始めてみてはいかがでしょうか?

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大場保男

大場 保男 (おおば やすお)
静岡県沼津市生まれ
早稲田大学第一文学部心理学科卒業

経済産業大臣登録中小企業診断士
東京都福祉サービス第三者評価者
SOURCE公認ベーシックトレーナー
関東学院大学経済学部非常勤講師

社会人としてのスタートは、二日酔いで遅刻

大学を卒業し、就職先の化粧品会社の入社式を翌日に控えた夜、
アパートの隣の部屋の友人から
「彼女に振られたからヤケ酒に付き合え」と言われて明け方近くまで痛飲。
案の定、入社式は遅刻、まだ身体に酒が残っており、
人事担当者に一発で二日酔いであることがバレて大目玉。

これに懲りることなく、酒杯を重ねて幾年月、
最近めっきり酒量は減ったけれども、
酒を通して様々な分野の人たちとの付き合いを楽しんでいる。

上司の独立に伴って転職したが、その会社はあえなく倒産

化粧品会社からマーケティング企画会社へ移って10年近く経った頃、
上司が「独立するので自分の会社に来ないか?」を誘われて転職。
社員4人の小世帯ながら、
東銀座の歌舞伎座近くの立派なビルの
ワンフロアを事務所に会社が立ち上がった。

オープンの祝賀パーティも盛大に行われた。
しかし、その会社は1年も経たずしてあえなく倒産…。
その時は、すでに中小企業診断士の資格をとっていたので、
資格があればなんとかなるのでは…と甘い考え。

46歳、何の見通しも計画もないままに独立起業

自分の意思ではなく、やむなく独立せざるを得ない状況での起業。
平成5年、46歳だった。独立起業に対する見通しも計画も何もなかった。

中小企業診断士の資格を活かそうと、知人から紹介されて行政の人に会ったとき、
「専門分野は何ですか?」と問われてハタと返答に窮した。
そこで、化粧品会社に勤務していた頃、
一番長く携わっていた「イベント企画」を自分の専門として打ち出すことにした。

以来、「商店街のイベント屋」として神奈川県を中心に、
イベントによって商店街の活気を取り戻そうという活動に取り組んできた。
かかわった商店街は、横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市、座間市、
大和市、厚木市など50ヶ所以上に及んだ。

お店の販売促進、中心市街地活性化、農業診断などに取り組む

「商店街のイベント屋」として活動しているうちに、
県庁や市役所などの行政、商工会・商工会議所などの
商業振興や地域活性化を担う部署の人たちとの人脈ができてきた。
そこから、商店街のイベント以外の仕事も依頼されるようになった。

商店街のコンセプトづくり、特産品の開発、中心市街地活性化、
物販店や飲食店などの店舗診断と販売促進、
チラシやニュースレターの作成などを行ってきた。
店舗診断の業種は多岐に渡り、約300店の店舗診断を行った。
また、農家の経営診断や野菜の直売所の販売促進にも取り組んだ。

「かながわ朝市ネットワーク」の立ち上げ

神奈川県西部の人通りがほとんどない商店街、何とか活気を取り戻そうと、
朝市の立ち上げを手伝った。
当日、果たしてお客様は来ているだろうかと不安な気持ちで会場に着くと、
「この街にもこんなに人がいたのか」
というほどの賑わい。

以来、朝市の魅力に惹かれ、あちこちの朝市の立ち上げの支援を行ってきた。
神奈川県内各地の朝市の連携を図ることを目的に
平成21年「かながわ朝市ネットワーク」を立ち上げた。

活動の一環として、毎年1回、県内の朝市が一堂に
会するイベント「かながわ朝市サミット」を行ってきた。
今まで、横浜、平塚、小田原、相模原、座間、茅ヶ崎で実施してきており、
毎回、約100店が出店し、2万~3万人の来場者で賑わった。

平成26年、神奈川県内の約40ヶ所の朝市を紹介した「かながわ朝市ガイドブック」、
朝市を実施するための「朝市実践マニュアル」を発行。
今後も朝市を通して地域活性化に取り組んでいく。

商工会議所で延400人前後の創業相談を実施

平成19年より神奈川県の県西地区の商工会議所で、
創業相談を担当することになった。
現在までに延400人前後の起業の相談を行ってきた。
業種はマチマチだが、ほとんどの人がそれまで自分が従事していた業種と同じ業種で起業。
それしか起業の選択肢がないと思っている…。
その人のやりたいことは、本当にそれなのだろうか?

そんな折、アメリカのマイク・マクマナスの開発した
SOURCEという手法に出会い、トレーナーの資格を取得。
自分の本当に好きなこと、ワクワクすることを見極め、
本来の自分を発見し、それに基づいた
仕事にしていくことが充実した人生につながるという考え方に出会う。

「ライフワーク起業」の支援を自分のライフワークに

起業しても、3年後まで生き残れるのは約3割、
オリンピック選手のコーチングで有名な
あるコーチによると
目標設定の95%が実現しない。
立てた目標が本当にやりたいことでないからだという。

「ライフワーク起業」とは、自分の本当に好きなこと、
ワクワクすることを見極め、本来の自分を最大限に活かして
経済的にも豊かに生きるための起業、
これを支援していくことを私のライフワークにすることにした。

家族は妻とイヌとネコ、落語をきくのが好き

家族は妻とイヌとネコ。
イヌはヨークシャーテリアと
マルチーズのミックス。
朝、目が覚めると私の横に寝ていることが多い。
ネコは野良ネコ出身、寝る前に晩酌していると私の膝に乗ってくる。

化粧品会社に勤務していたころ、会社をサボって、
よく浅草演芸ホールに落語をききに行った。

趣味はと聞かれて
これはというものはないが
強いて言えば落語かなという程度
こだわりの落語論を持っているわけではない。

ハッツァン、クマサン、ご隠居さんの世界が好きなのだ。

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