崩れるか社会保険103万円の壁。共働き夫婦が今から備えるべきこと

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安倍内閣の成長戦略のひとつに、女性の就業拡大があります。その一環として、「配偶者控除の見直し」が毎年のように議題に上がってきましたが、ついに実現に向けて動きだしそうです。今回のテーマは103万円の壁ですが、実はこの10月に130万円の壁も見直しが見込まれています。共働きと子育ての両立に向けて家族が備える時は「今」です。

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配偶者控除の見直しが進み遂に崩れるか?!103万円の壁

 政府税制調査会は9月9日に総会を開き、共働き世帯が増えるなか、妻が専業主婦の世帯などの所得税を軽減する「配偶者控除」の見直しなど、来年度の税制改正に向けた議論を開始しました。

 配偶者控除とは、配偶者(妻)の収入が103万円以下なら、夫の収入から38万円を差し引いて税金の計算をする制度です。

 103万円を超えるとこの控除が受けられないので、年収を103万円以下に抑えて働く、という女性が主婦層を中心にとても多いのが現状です。

 安倍政権の成長戦略の一つが「女性の就業拡大」であるにも関わらず、103万円の壁が女性の社会進出を阻害しているという声も多く、この配偶者控除の見直しは以前から議論されてきました。

 私が学生時代にアルバイトしていたお弁当屋さんでも、パートの方は年収を103万円以下にしようと必死にシフトを調整していました。

 また、「働くのは好きだが103万円を超えたくない」といって、年末は無償で働くパートさんが職場にいる、という笑えない話も医療系の友人から聞いたことがあります…。

 まさしく就業の妨げですよね。

 実際は103万円を超えても「特別控除」が適用され、100万円稼ぐより110万円稼いだほうが手取りが減る、ということにはなりません。

 ただしこの配偶者控除がなくなれば、この「特別控除」も見直されるでしょうから、確かに妻が働けば働くほど世帯の税負担は増えることになるでしょう。

 またこの制度改正、専業主婦の家庭では単純に増税となるので当然反対する声もあります。

 ある試算では、年収600万円の家計では、年間税負担が7万円ほど上がるそうです。1兆円ほどの財源確保になる、という報道も目にしました。

 しかし共働き家庭においては間違いなく労働意欲の後押しとなるはずです。それだけFPの現場感覚では、103万円の壁は高いと感じています。

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もうひとつの「壁」130万円の壁は更に分厚い

 ちなみに130万円の壁、というものもあります。

 妻の年収が130万円を超えると、自分自身で社会保険に加入しなければならなくなり、この社会保険料負担が一気に発生するのです。

 夫の年収によりますが、妻の年収が130万円か131万円かを比較した場合、131万円のほうが世帯年収が10数万円~20数万円低くなってしまうようです。

 厳密にいえば国民年金は将来への備えと言えるので、単純に手取りだけでの比較は難しいのですが、健康保険は掛け捨てです。

 夫の扶養のままのほうが得だ、と考えるのは自然かもしれませんね。

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配偶者控除の見直しに備え今から共働きと子育て両立の準備を

 このように配偶者の年収には103万円と130万円の壁があるのですが、今回議論される制度見直しは前者のみと言いたいところですが、実は130万円の壁は先んじて2016年10月に見直しが決まっています。

 従業員数500人を超える大企業においては、106万円以上から自身で社会保険に加入することになります。

 この動きはいずれ中小企業にも広がっていく可能性がありますので、どんどんその壁に当たるタイミングは早まっていくことになります。

 簡単ではないでしょうが、個人的には働けるならどんどんフルタイムで働いたほうが心身ともに健全だと思います。

 今抑えて働いている女性は、制度が変わる前の今のうちから、制限のない働き方をイメージしておきたいですね。

 現在の職場のままで思い通りの働き方ができるかの検証、フルタイムで活躍するための資格取得など、できることは色々ありそうです。

 ただし、これらの見直しは子育て支援政策と必ずセットでなければなりません。

 働く意欲はあっても、待機児童の問題や夫の育休取得率などの問題が解決しなければ、勤務時間を制限せざるを得ません。

 政府には増税と同じ熱意で取り組んでほしいと、強く望みます。

 今後もこの制度改正には注目していきたいと思います。

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赤井雅

株式会社アセットリンクマネジメンツ
取締役 赤井 雅

1977年生まれ
福島県福島市出身
中央大学商学部卒

〇個人・法人向けファイナンシャルプランニング、リスクマネジメント
〇生命保険・損害保険代理業
〇各種専門家と連携した相続対策
〇住宅ローン取次代理業

こんにちは。ファイナンシャルプランナー(FP)の赤井です。
国内ではなかなか認知度の低いFPという仕事ですが、欧米では「不動産」「保険」「運用」などの大きなお金が動くときにFPに相談するのは当たり前。

「不動産業者」「保険業者」「証券業者/銀行」などのプロに負けないノンプロを育てる、を理念に掲げて活動しています。

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