週20時間以上のパートの社会保険適用で現場の働き方はどのように変化?

社会保険
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パートの働き方の変化

みなさんこんにちは組織活性化プロデューサーの南本です。

現在、501人以上の従業員の中堅企業で、週20時間以上働くパートさんは社会保険に強制加入しています。週20時間以上働くパートさんの働き方がどのように変わったかという統計が出ましたのでご紹介します。

労働政策研究・研修機構という国の機関がアンケートを回収して発表した結果です。

501人以上の会社で働くパートさんの回答

私は働き方を変えましたという方は15.8%です。

今時点は変わっていないけど、これから変えようかどうか考えているという人が22.2%。

今後も変える予定がなく、今のままでという人が、60.8%なのでほとんど変わらないという感じです。

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1号被保険者と3号被保険者の働き方の変化

働き方が変わったという15.8%の人がどのように変わったかについてですが、まず被保険者のうち、2号被保険者というのは会社員で、パートさんの場合は1号被保険者と3号被保険者の2種類があります。

パートの方は主婦の方が多いですが、3号被保険者というのは、その人の年収が130万未満で、ご主人の扶養に入って、ご主人の会社から健康保険証を発行されているような人です。

自営業者やフリーランスの方など、年収130万円を超えてくると1号被保険者になります。

労働時間延長した人は第1号保険者で67%、第3号保険者は51.7%

働き方が変わり、「時間延長」して前向きに労働時間を延ばした人と、20時間以上働くと社会保険に入らないといけなくなるので、30時間働いたのに19時間ぐらいに縮めましたというのが「時間短縮」です。

年収130万円以上でフリーランスが多い第1号保険者で前向きな延長をした人が67%で、主婦などが多い第3号保険者では時間延長した人は51.7%です。

子供の中学受験があったり、子供が大学に行っていたり、旦那さんの残業代も減らされているから、私が稼がなきゃというイメージかもしれません。

時間短縮した人は36.9%

一方で、旦那さんの扶養からはずれるのは嫌ですし、旦那さんの手当ても減らされるので、時間短縮しますという方が36.9%です。

時間の短縮に動いた方が40%くらいいるということを中小企業の社長は押さえておいてください。

今は500人以下では週30時間以上の人しか社会保険の加入義務がありませんが、2021年には段階的に行くと思いますが、ほぼ撤廃され、すべての中小企業で週20時間以上の人が社会保険適用となります。

あと2年ぐらいしかありませんが、その時にあなた方の会社のパートさんがどう動くかということを予測してください。

半分は前向きに時間延長する人、働く時間を減らしたいという方がだいたい4割です。

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社会保険に加入した理由

20時間以上で社会保険に加入しようという前向きな人はどういう理由かというと、働く時間を増やしていきたいということです。

前向きに働き方を増やして、収入を増やしたいという人が44.9%。

年金のしくみを理解して、将来の年金を増やしたいという人が44.3%。
それから、会社から入れと言われたので入ったという方が32.8%です。

そして、4番目の保険料負担軽減のためが22.6%、家族から勧められたという方が10.2%です。

社会保険のメリット①傷病手当金

国民健康保険には医療給付としての傷病手当金がありません。

病気で会社に出社できない場合、例えば複雑骨折して3か月入院した場合、会社からは無給ですが、1年半までの6割が傷病手当金で国から補填されるのです。
これが国民健康保険にはないので、加入したいという方が6.9%います。

これらの健康保険に入るメリットのうち、保険料負担の軽減と医療給付については、認識をされていない方がすごく多いです。

社会保険のメリット② 保険料負担の軽減

保険料負担軽減は、例えばパートさんで10万円ぐらいのほとんどの人たちは、市区町村で国民健康保険をかけるよりも安くなります

なぜかというと会社が半分負担しているからです。

ご主人の扶養に入って保険に加入している人は、負担がないので別ですが、そのほかの人は保険料が減るということを理解してほしいと思います。

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社会保険に加入しなかった理由

配偶者控除・扶養から外れるから

加入しなかった理由としては配偶者控除がなくなるからという方が54.7%、健康保険が扶養から外れるからという方が50.6%と、やはりネガティブな発想を持っている人がいます。

手取りが減るからが49.4%

それから保険料等で手取りが減るからという方が49.4%います。

確かに手取りは減ります。
その代わりに将来もらえる年金の身入りが増えますし、病気をしても傷病手当金ももらえますから、そういうことを天秤にかけて考えてほしいと思います。

夫の家族手当がなくなるから29.7%

それから、夫の家族手当がなくなるからという人が29.7%です。
大手企業などは家族手当を奥さんの場合には1万円、子供の場合は3,000円とか5,000円という手当を出している会社もあるので、それがなくなってしまうからという理由です。

よくわからない28.5%

5番目はメリットの理解不能という方が28.5%で、メリットを理解していない人が30%ぐらいいますが、自分の将来が国民年金で暮らせますかという話です。

国民年金は月に6万円から7万円ぐらいしかもらえません。
ですからパートさんも自分で自己武装して年金の積み立てや病気の時に傷病保険がもらえたりするので理解しておきましょう。

介護等条件的に難しいから16.9%

介護等時間増無理という方が16.9%というのは仕方ありません。

いろいろな事情でこれ以上時間を増やすことができないという事情もあると思います。

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中小企業経営者が準備しておくこと

パートさんの役割を変える

皆さんの会社に30時間未満で抑えて働いている人がいたら、どうするのかをある程度事前にヒアリングをして、それからパートさんの役割を変化させて、正社員と同等待遇にして、役割と責任をパートさんにも与えて、時給も上げていくということです。

パートさんにも社員と同等の役割を与えて、どんどん引き上げていくという社内の改革をしていくことがいいと思います。

パート勤務の2コース化

パートさんに2コースを用意して、パートさんを正社員に展開していくバリバリコースと20時間未満コースに分けることも必要です。

バリバリコースの人は仕事の質が変わっていくので、待遇も変えて、いずれは正社員に登用していくっていうように二極化してくると思います。

20時間の未満の人は業務委託化していくような2コースを用意しておいて、加入しなかった人に対しては、加入のメリットや年金制度を理解してもらうために説明してあげて、社内改善していくことがいいと思います。

週20時間以上のパートの社会保険適用でパートの働き方はどう変わったか?
社会保険労務
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南本 静志

和歌山生まれ。株式会社紀陽銀行入行。銀行業務を2年程度経験後、システム部へ異動。

システムエンジニアとして銀行オンラインシステムや情報系のマーケティングシステムの構築で活躍する。

30歳代の後半には日本ユニシスに出向し、金融機関向けCRMマーケティングシステムの業務設計のリーダーを任される。その後、コンサルタントとして独立、現在は東京千代田区で経営コンサルティング会社と社会保険労務士事務所を設立し、代表に就任。

中小企業診断士及び社員を持つ経営者としての立場で、幹部社員(部長、課長、係長等)を次期役員に昇格させるようなマネジメント系の人材育成プログラムに強みを発揮している。また、初級管理職(主任や中堅リーダー)に対するモチベーション研修や自己発見研修も得意。

アールイープロデュース 

適性検査Cubic(キュービック)

東京中央社会保険労務士事務所

東京中央給与計算センター

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