リオ・オリンピックで、競泳400mメドレーの萩野選手が日本の金メダル第一号となりました。400mメドレーは、仕事で言うならば、総務・経理・営業・経営を全てやりこなすようなものです。萩野は金メダルを奪取する過程で、敢えて「力を抜く場面」を設けましたが、仕事でも同じような場面を作ることがプラスに働きます。
金メダリスト荻野の挑んだ400mメドレーを仕事に例えると…
リオ・オリンピックが遂に始まり、競泳400mメドレーの萩野選手が日本の金メダル第一号となりました。
前回のロンドン・オリンピックの競泳で、日本が金メダル無しに終わったことを考えると、非常に良い出だしになったと言えるでしょう。
この400mメドレーという競技は、バタフライ・背泳ぎ・平泳ぎ・自由形(クロール)という4つの種目を、それぞれ順番に100mずつ泳いでいく競泳で最も過酷と言われています。
400mという距離でのレースとなるため、当然スタミナも求められますし、何よりも特性が全く違う4つの種目を、バランス良くこなすことが出来なければなりません。
これまでの競泳の歴史を見ていても、日本人が自由形でトップを取ることはかなり難しく、今回の400mメドレーも、自由形までにいかにリードを広げるかが、萩野選手と銅メダルとなった瀬戸選手にとっての生命線でした。
萩野はなぜ背泳ぎで力を抜いて体力を温存したのか?
結果としては、得意の背泳ぎでのリードを、平泳ぎ・自由形で守り切り、2位と0.7秒差の1位フィニッシュとなった萩野選手。
しかし、各種目のタイムを見ると、背泳ぎではいつもよりもラップタイムが遅く、後半に向けてやや体力を温存する余裕さえ見えました。
それは、背泳ぎでは絶対の自信があるからこその、萩野選手による作戦勝ちだと感じさせるものでした。
スポーツや仕事において得意なことを「自分はそんなに頑張らなくても、結果が出せるもの」という風に定義することがあります。
「人よりもうまくやるためには、人よりも圧倒的に努力をしなければいけない」と思い込んでいる人が多いかもしれませんが、結果を出せることと、努力をすることは完全にイコールではありません。
萩野選手にとってはそれが背泳ぎだったのでしょう。
もちろん、得意だからといって、全く努力をしなくて良いわけでないのは、皆さんも御存知の通りです。
私たち一般人からは考えられないような、ハードなトレーニングを積んだ結果、金メダルがあることは間違いありません。
しかし、萩野選手は、あの決勝の舞台で、後半に向けて体力を温存するという余裕を見せられるぐらい、得意中の得意種目である背泳ぎを使った、「力を抜く場面」を持つことに、しっかりと意識を置いて実践しました。
勝負どころで力を発揮したいなら自分の得意なことで力を抜く場面を作る必要がある
ビジネスの世界において、一発勝負の短期決戦ということはほとんどありません。
ただし、日々、結果を出し続けなければならない長期戦に挑む点で、私達と萩野選手に求められる水準に変わりはありません。
全てにおいて全力投球する、という意思は素晴らしいのですが、それではどこかで息切れし、勝てるはずの勝負まで落としてしまうことになりかねません。
オリンピックのような一発勝負の場面で結果を出すには、得意なことで力を抜くために、自分の強みをよく分かっている必要があります。
「得意なことはそんなに頑張らなくても結果が出せること」という定義で、自分が得意なことは何かを今一度見直すことが、余裕を持って仕事と向き合い、集中すべき時に力を発揮することへつながります。