訪問介護やデイサービスを開業する場合、どこに事業所を置けばいいのか、不動産屋にどの地域の物件を探してもらうか悩むところです。介護事業を始める時は、利用される方だけではなく、施設の運営に欠かせないスタッフの方にも気を遣った立地選びが、大きな鍵となります。そこで本稿では、介護事業を開業する時に参考となる、立地選びに必要な3つの条件をご紹介します。
介護施設の開業時は事業所の立地選びで悩む
訪問介護やデイサービスを開業する場合、どこに事業所を置けばいいのか、不動産屋にどの地域の物件を探してもらうか悩むところです。
そこでヒントになる情報として、本日は次の3点を個別に考慮してみたいと思います。
- 1:ご利用者を紹介してくれるケアマネさんの近くに開業する
- 2:これから高齢者が増えそうな地域に開業する
- 3:介護職員が通勤しやすい地域に開業する
1:ご利用者を紹介してくれるケアマネさんの近くに開業する
介護事業所を開業して、早期に軌道に乗せなければ倒産してしまいます。
そのためには、早い段階でご利用者を紹介してもらえそうな、親しくしているケアマネさんがいれば、そのケアマネさんの事業所の近くで開業することをお勧めします。
いくらご利用者を紹介してもらえるケアマネさんがいても、紹介してもらうご利用者が事業所から遠いと移動時間がかかって効率的ではありません。
ケアマネさんのご利用者は、地域により事情が異なりますが、ケアマネさんの事業所の周辺3キロメートル以内に集中しています。
従って、親しいケアマネさんの事業所の周辺3キロメートル以内で開業することは、とてもお勧めです。
なお親しいケアマネさんがいない場合は、自分が育った地域で顔見知りの人が多いところで開業するのも一つの方法です。
例えば自分の友達や同級生の中には、介護保険サービスを必要としている家族がいるかもしれません。「君なら良く知っているので頼もう」という人がいるかもしれません。
2:これから高齢者が増えそうな地域に開業する
高齢者が多いところで開業しようと考えるのは、必ずしも正しいとは限りません。
なぜなら、高齢者がすでに介護保険サービスを他の介護事業所で利用していると、そこから自分の事業所に変更してもらうのは難しいからです。
それよりも介護事業を開業する方は、これから高齢者になる方や介護保険サービスをまだ利用していない方をターゲットとし、高齢者が急増する地域に開業するべきです。
すでに高齢化が進んでいる地域では、逆に高齢者が減っていきます。また、この様な地域では高齢者が点在して住んでいるケースが多く、訪問介護をする場合などでは効率的ではありません。
高齢者が急増する地域は、団塊の世代が多く住んでいる地域で、具体的には、大都市やその周辺地域の都市です。
各市町村のホームーページなどで、詳しい人口統計が公表されていますので、それを参考にして、高齢者が増えそうな地域に開業するのも一つの方法です。
3:介護職員が通勤しやすい地域に開業する
介護事業所がいま一番苦労していることは、ご利用者を獲得することではなく、介護職員を確保して定着させることです。
ハローワークに募集しても、ほとんど問い合わせすらないと嘆く社長が多いです。また運よく応募した人がいて採用しても、すぐ辞めてしまったという話をよく聞きます。
介護事業所は今、人材確保に苦労しています。
そこで求人に少しでも有利な条件として、介護職員が通勤する場合に便利なところ、例えば駅に近いところに開業することを検討してはどうでしょうか?
介護事業の特徴として、駅前でなくても、また裏通りの人通りに少ないところでも問題ありません。
訪問介護であれば、ご利用者が事業所に来られることはなく、またデイサービスなら送迎しますので、駅から遠い不便な所でも問題ありません。
しかし、毎日通勤する介護職員にとって駅から歩いて20分も30分もするところで、しかもバスも通っていないところでは働こうと思いません。
これは極端な事例かもしれませんが、できることなら、駅から徒歩5分以内のところに事業所があるのが理想です。
利用者さんと職員各人に気を遣った立地選びを
いかがだったでしょうか?
介護事業を始める時は、利用される方だけではなく、施設の運営に欠かせないスタッフの方にも気を遣った立地選びが、大きな鍵となります。
昨今のニュースでも話題に上がっている、介護施設に勤める職員の待遇改善も含め、立地は大きな影響を与えます。
ぜひ、参考にされてみてください。