利回り20%!「変なホテル」が「当たり前のホテル」になる日

企業分析

 日本国内でも既に、従来は人間がやっていた仕事をロボットが代替している、実際のケースが存在します。その一つが、長崎県のハウステンボス内にある「変なホテル」です。受付からクロークまで、ほぼ全ての作業をロボットが担うことで、コスト削減と高利回り運用に成功しています。変なホテルが当たり前のホテルになる未来は、すぐ先に近づいています。

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ロボットがサービスしてくれる「変なホテル」

 こんにちは。ジェネシスコミュニケーションの松尾です。

 前回の記事では、私たちの仕事を奪ってしまうかもしれない人工知能(AI)についての話をご紹介しました。

AIに仕事を奪われる職業と奪われにくい職業を10個ずつ見れば分かる未来の仕事
 人工知能(AI)の進化には目を見張るものがあり、特定の分野では既に人間の能力を凌駕し始めています。「AIはどこまで人間の仕事を代替するのか」と気になる方もいらっしゃることでしょう。そこで本稿は、AIで代替可能な職業10選・AIで代替されにくい職業10選を比較しながら、AIが発達する未来に人間が仕事で担う役割を考えてみます。

 今回は、従来は人間がやっていた仕事を代替している、実際のケースを取り上げたいと思います。

 長崎のハウステンボス内にある「変なホテル」をご存知でしょうか?

 昨年2015年夏の開業に際し、多くのメディアがカバーしましたので、ご存知の方が多いかと思います。

 「変なホテル」というホテルの名称は「変わり続けるホテル」、すなわち「進化し続ける」というコンセプトを体現しています。

 とはいえ、フロントには人がおらず、「美女」と「恐竜」のロボットがチェックイン対応をするなど、現時点ではまさにちょっと‘変わった’ホテルではあります。

 変なホテルには、受付以外にもロボットが多数働いています。

 クロークには「アーム型」のロボットが荷物の出し入れを担当、客室まではポーターロボットがご案内、そして室内では、ベッド脇に座ったぬいぐるみサイズの「ちゅーりーちゃん」に「電気つけて」など音声で頼みごとができます。

節約社長
画像:変なホテルホームページより

 さらに、草刈り用のロボットなども随時、追加導入し、現在は、開業当時の2倍となる180台のロボットが、従来人が担当していた仕事を代替しています。

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変なホテルの投資利回りは年間20%に到達!投資対象としても魅力的

 さて、変なホテルは物珍しさもあって当初から予約好調でしたが、開業一年を経過しても高い稼働率を維持しているようです。

 そして、2017年3月には2カ所の変なホテルが、東京ディズニーリゾートに近い、千葉県浦安市に開業される予定とのこと。

 同ホテルを運営するHISの沢田秀雄社長は、記者会見において「第一フェーズとして、変なホテル100軒開業を目指す」とぶちあげています。

 この沢田氏の将来構想は、かなり現実的なものだと私は思います。

 ロボットを多用する変なホテルは、通常30人のところ、10人の従業員で運営することができ、人件費が大幅に削減できています。

 生産性が高いことから、投資に対する利回りは約20%だそうです。

 宿泊主体のホテル(宴会需要などに対応しないホテル)の利回りは一般に8%とのことですから、投資対象としてとても魅力的だからです。

 「世界初のロボットホテル」として成功パターンを生み出した変なホテルに追随する競合他社も今後、続々と出てくるでしょうし、あと数年もすれば、フロントスタッフは全員ロボットというホテルが、‘変わった’ホテルではなく‘当たり前’のホテルになっているのではないでしょうか?

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人間の行う業務は創造性を求められる分野へ

 今年の4月に、米・マクドナルドがアメリカ国内の一部店舗で、レジ担当の従業員を廃止し、ロボットによる自動受付方式に転換を開始しました。

 コモディティ(差別化が困難な商品・サービス)な業務は、今後ますますロボット(AI)の導入によって、そのコストがゼロに近づいていくため、人手が要らなくなるでしょう。

 では、人間のやる仕事が無くなるかと言えば、それはありません。

 変なホテルで言えば、「ルームクリーニング」「受付」「事務処理」「会計帳簿の記帳」などのコモディティ業務は、人工知能ロボットが請け負うようになっていき、人間がやる仕事は減っていくはずです。

 しかし、

  • ホテル新設に向けた資金調達業務
  • ホテルの仕組み(オペレーション)を考えて運用する業務
  • ホテルのマーケティングを行う業務
  • ホテルの経営マネジメントを行う業務

 など、非定型で臨機応変に対応しなければならない、創造性を求められる業務において、人間の行う仕事の価値は高まっていくことでしょう。

 すぐ先に迫った未来の仕事に対して、貴方の準備は既にできていますか?

 

 
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松尾 順

株式会社ジゾン
コンサルティング準備室 室長

早稲田大学商学部卒。マーケティング・プロデューサー。
ニールセン・ジャパン、CRC総合研究所でマーケティングリサーチ、コンサルティングに従事した後、電通ワンダーマンで、データベース・マーケティングやCRMの企画・プロデュースを経験。さらに、ネットベンチャーの立ち上げにも執行役員として参画した。

現在は、心理学、行動経済学といった消費者心理・行動の理解に役立つ学問分野の研究を活用し、売れる商品づくり、効果的なコミュニケーション開発に取り組む様々な企業をマーケティングリサーチからマーケティング施策の企画・運営までトータルに支援している。

株式会社ジゾンでは、CMSシェアナンバーワンのソフトウェア「HeartCore」の導入に伴うマーケティングコンサルテーションを担当している。

【著書】
『ブランディング戦略―ブランディングの基礎と実践 (広告キャリアアップシリーズ) 』誠文堂新光社
『[実務入門] 営業はリサーチが9割! 売上倍増の“情報収集”完全マニュアル (実務入門)』日本能率協会マネジメントセンター
『先読みできる!情報力トレーニング (ビジマル)』TAC出版

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