残業を減らしたいと経営者が考えるときには、残業を減らす方法を考える前に、社員の状態個々に、なぜ残業が行われるのか?その本質を考える必要があります。
従って、個々のパターンごとに残業の減らし方は違います。
シリーズ2回目は、「熱血仕事大好き社員」と「ダラダラ残業社員」における残業の減らし方について、考えてみたいと思います。
労働者が自分の意思で残業する2つのパターン
前回の、「残業を減らす方法① 仕事量が圧倒的に多い社員の場合」という記事では、残業を減らす方法を考える前に、社員の状態個々に、なぜ残業が行われるのか?その本質を考える必要があると書きました。
社員が残業する場合、業務上必要に迫られて残業する場合もありますが、業務上の必要性が無いにも関わらず、労働者が自らの意思で残業をする場合が考えられます。
この「労働者の意思」についても、様々な種類がありますから、種類別に、どのような対策を立てれば良いか、本日は考えてみたいと思います。
労働者が自分の意思で、残業することを選択する場合、おおまかなタイプとして、以下2つのパターンがあります。
- 労働者自身が純粋に仕事が好きで長時間仕事してしまう
- 残業時間を増やして所得を増やしたい/目的もなくダラダラ会社にいる
大体が、このパターンに当てはまることでしょう。
まず最初に考えなければならないのは、業務上の必要性が無いにも関わらず、労働者の意思で残業することによって、企業は全てをマイナスに受け止める必要があるか?ということです。
必ずしも全てが、マイナスにはならないのではないでしょうか?
個々のケースで、考えてみましょう。
意欲的な残業とダラダラ残業それぞれの対応法
残業理由1 労働者自身が純粋に仕事が好きで長時間仕事してしまう
この場合、実はプラスの面も見ておく必要があります。長時間仕事をすることが、労働意欲の高さの表れでもあるからです。
先に書いた、純粋で仕事が好きで、その結果、長時間の残業となってしまう場合ですが、このような労働者は、長時間残業をすることの善悪は別にして、企業にとって、貴重な存在の場合が多いと言えます。
このような労働者に対して、単純に労働時間を削減させれば、労働意欲に低下に繋がる可能性もあります。
しかし、当然ですが、長時間労働は、健康に害を及ぼす可能性があり、生産性の低下に繋がってしまいます。
このような労働者の残業時間を削減しようとするならば、長時間労働が及ぼす健康被害等、本人に対する気遣いを踏まえて、労働時間をどうしたら短くできるか、一対一で話し合いをする必要があります。
残業理由2 残業時間を増やして、所得を増やしたい/目的もなくダラダラ会社にいる
ありがちなパターンですが、残業時間を増やして所得を増やす目的の人もいます。
また、特別な目的もないのに会社に残って、仲間とおしゃべりしている、いわゆる「ダラダラ残業」と言われるケースもあります。家に帰りたくないのかもしれませんね。
このような残業は、真っ先に削減すべきですが、やっかいなことに削減が難しい問題でもあります。
会社にとって不必要な残業であるにもかかわらず、労働者は、会社にとって必要な残業と主張するでしょう。
「この残業は、本当に必要なのか?」と聞けば、当人は「はい、必要です」、と答えるはずです。
タイムカードの時刻で、割増賃金を支払うのでなく、申告された残業中の業務内容によって、残業の必要性を経営者が判断するのです。
無駄な内容で(結果につながらない)あれば、率直に本人に「これなら残業する必要はない」と伝え、残業をやめさせる必要があります。
【改善策】残業の申告制は面倒臭いが波及効果が見込める
業務内容を把握していなければ、結局は、労働者の申告を鵜呑みにするしかないからです。
確かに、ダラダラ作業する人間の業務内容をきちんと把握する作業は、判断する側に負荷がかかりやすいものですが、何もしなくて残業を減らす方法はありません。
また、事業主や所属長が毅然とした対応を取ることを、他の社員は必ず見ています。
1人のダラダラ社員の残業を無くすための措置が、残業を減らすことに対して全社で同じ方向へ向かう、格好のチャンスにもなるのです。
シリーズ最終編は「直属上司がなかなか帰らない」場合について、対応策を提示してみたいと思います。