LINEが供託金逃れを行ったのではないか?とのニュースが話題になりました。ところで供託金とは、どのような趣旨に基づき制定された制度なのでしょうか?会社で供託金を供託所に預ける時の、会計処理方法とはどのようなものなのでしょうか?意外と知らない供託金の扱いについて解説します。LINEが自らを違法でないと訴える理由についても結論では触れていきます。
LINEが供託金逃れの疑いで財務局の立入調査
LINEが供託金逃れを行ったのではないか?とのニュースが話題になりました。
ゲーム内のあるアイテムが資金決済法の規制対象であったのに、仕様変更してそれを回避しようとしたとの内容です。
LINEは「供託金逃れ」報道に反論していますが、そもそも供託金とはどのようなものでしょうか?
以下、解説してまいります。
資金決済法による供託金の存在意義とは何か?
供託金とは、ある法令等の規定に基づき、供託所(法務局など)に預けられるもので、金銭や有価証券が供託の対象物になります。
供託金でもっとも有名なのは、選挙の立候補の際に必要となる供託金でしょうか。
LINEで問題となったのは資金決済法に基づく供託金で、これは前払式支払手段の未使用残高が一定額を超えると、供託金が必要になるという制度です。
通常はモノを買った後に代金決済しますが、あらかじめお金を払っておき、モノを買った時にはそこから順次差し引かれていく、というのが前払式支払手段のイメージです。
もし、その前払金が残っているうちに相手の会社が倒産してしまったような場合、多くの人に多額の損失が発生してしまう恐れがあります。
そういった不測の事態に備え、あらかじめ供託させておいて、万が一のときには、その供託金から損失を補填しようというのが、この制度の趣旨です。
会社が供託金を支払った場合、会計的には預け金や差入保証金といった科目で処理します。
あくまで供託しているだけですので、費用計上はできません。
LINEは本当に資金決済法に違反してるのか?
LINEの場合、銀行と「発行保証金保全契約」を結んでいるとのことです。
「発行保証金保全契約」とは銀行が供託所代わりとなり、銀行に預けられている金銭等を供託金として取り扱う契約です。
そのため、改めて供託金を拠出する必要がなく、基準額以上の預金額を保てばOKということになります。
この場合、会計処理としては何も行わず、供託の旨を注記することになるでしょう。
さて、供託所に供託した金銭等ですが、利息が着くこととされています。
これは供託法という法律に定められており、利率も決まっています。
社会情勢などで変更されますが、現在の利率は平成14年4月に改訂され、年0.024%です。ちなみに預金利息などと違い、源泉徴収はされません。