CRM(顧客関係性管理)とは、「お客様との良好な関係を形成し、維持することを目的とする様々な施策の企画・実施・検証・改善活動」のことを指します。 CRMというと、相応のコストのかかる「ポイントシステム」の導入など、難しい取り組みを想像される方も多いと思いますが、接客においては誰でもすぐに始めることが可能です。笑顔を見せて顧客を個人として認識することは立派なCRM活動となります。
顧客維持コストは顧客獲得コストの5分の1
私は、CRM(顧客関係性管理)を専門としていますが、「CRMとは何か」についてひとことで説明すると、
「お客様との良好な関係を形成し、維持することを目的とする様々な施策の企画・実施・検証・改善活動」
と言えるでしょう。
ちょっと俗な表現に言い換えるなら、「釣った魚にもえさをやる」ということです(笑)
企業が収益を拡大したいなら、常に新規のお客様を獲得し続けることが必須です。
しかし、新規客の獲得には多大のコストがかかります。
一方、既存客の維持にもコストがかかりますが、一般には顧客維持コストは、顧客獲得コストの5分の1ほどで済むと言われています。
すなわち、「節約」の観点で言えば、新規客獲得だけでなく、CRMにも相応の予算を配分したほうが良いということです。
CRMをきちんと実行すれば購買リピート率が高まるため、収益の維持が可能になります。
また、CRMを通じて、貴社製品・サービスに対する信頼度や好意度が向上したお客様は、「好意的なクチコミ」を発信してくれます。
すると、コストをかけずに新規のお客様が獲得でき、収益拡大にもつながるのです。
CRM実践の一歩目は相手の印象に残ること
さて、CRMをどのように実践すればいいのでしょうか?
これについては幅広いテーマ、切り口でお話することができるのですが、まずは接客におけるCRM実践のポイントをご紹介したいと思います。
接客におけるCRM実践のポイント、それは、「印象に残る接客をする」ということです。
まず、皆さんが毎日のように利用されている「コンビニ」での接客を思いだしてみてください。
コンビニで印象に残る接客をされた経験はありますか?ほとんどの方がないでしょう。
レジでは、店員さんが品物をスキャンするのを黙って眺めお金払って終了。ほとんど会話はなく、あるとしても、「お弁当暖めますか」などと形式的なものだけですね。ロボットでもできる接客業務です。
コンビニの場合、「利便性」が利用動機において最も重要です。
しかし、徒歩数分以内に、セブンイレブンもローソンもファミリーマートもある、しかも同じチェーンが2軒、3軒と自社競合しているような現在、コンビニにおいても「接客力」がますます重要になってきています。
笑顔と対個人の接客は顧客の印象に残りやすい
では、「印象に残る接客」をするためにはどんなことが大事なのでしょうか。
今回は2つのポイントをご紹介しましょう。
ひとつは、目を合わせて「笑顔」を見せること。
「笑顔の効用」については以前の記事でもご紹介しましたが、笑顔は相手の気持ちを和ませることのできるボディランゲージです。
どんな業種業態のお店でも、笑顔がいい店員さんはめったにいませんから、笑顔だけで相当なCRM効果が期待できます。
もうひとつは、お客さん一人ひとりを「個人」として認識して個別対応すること。
コンビニで、同じ銘柄のタバコを買っていると、そのうち、何も言わなくても黙っていつものタバコを差し出してくれるようになる。
コーヒーチェーン店に行って、「いつものください」というだけで自分の好みのドリンクを作ってくれる。
こんな対応をされると、店員さんと心が通じた気持ちになってうれしいものです。
逆に、いつも利用しているのに毎回「一見さん」のように対応されるととても残念な気持ちになるものです。
CRMというと、相応のコストのかかる「ポイントシステム」の導入などを想像される方も多いと思いますが、まずは一番重要な顧客接点である店員さんの「接客力」を向上することから始めたらどうでしょうか?