「明日やろうは馬鹿野郎」という言葉をご存知ですか?多くの場合「明日やろう」と言いながら、人はそうはしません。確かに研究やビジネスの世界では、明日まで待った方がいい場合もあるかもしれません。しかし、このスピーディな時代にもたもたしていると、人間関係を損ない、特許を横取りされ、門戸を閉ざされてしまいます。「相手を把握し誰より早くこまめに行動する」これだけでビジネスには大きな差が生まれるのです。
「明日やろうは馬鹿野郎」と「やらない現実」
「明日やろうは馬鹿野郎」という言葉をご存知ですか?
私は、数年前にTVドラマ「プロポーズ大作戦」で渋い俳優・夏八木勲さんが言っていたこのセリフに大きな共感を得ました。
なぜなら多くの場合「明日やろう」と言いながら、人はそうはしないからです。
誰でも、人を恋し愛する体験をして悩み、叶わぬ恋と諦めたことがあると思います。
好きな人に心を打ち明けられず、自分の弱い心を悔やみながら、どうせ断られるに決まっていると心に足かせをはめ、諦めて何十年も思いを馳せながら生きる人もいるのです。
なので授業では、「今、好きな人がいて、何も手に着かない状態なら、今日中に告白してみなさい。」「『今日は予定がある』とか『相手の気持ちが判らないから』とか『女性から告白するのはおかしい』なんて思って、『明日にしよう!』 などと思っていると、今日の夕方の合コンで彼(彼女)に恋人ができるかもしれないよ!」と脅かしています。
今日告白してOKだったら最高のイヴニングになるし、断られても勇気を奮って告白した自分に自信が生まれます。くよくよあれこれ悩んでいたエネルギーを、明日から他の分野に向けることが出来るのです。
明日やろうと言ってるうちにチャンスは消える
研究やビジネスの世界では、明日まで待った方がいい場合もあるかもしれません。
じっくり実験を繰り返し、確信を得てからデータを作った方がいい結果が得られる場合があるからです。商談相手の性格を分析し、家族構成や血液型や経歴を調査してから面会した方が成功するかもしれません。
しかし、ある程度の確信を得たならすぐに行動をおこすべきです。何故なら、現代はシンクロニシティの時代だからです。
シンクロニシティとは、スイスの精神科医・心理学者であるカール・ユングによって提唱された概念で「意味のある偶然の一致」を意味します。
この地球上でシンクロニシティを得て、同じ時期に同じような発明、発見、発想を得た人は沢山います。
例えば、電話機発明のベルがその日のうちに特許申請をして、同時発想者(イライシャ・グレイ)よりわずかの時間差で権利を得たのは有名な話です。
昔の教訓で「急がば回れ」というのがありますが、私は、現代の人間関係やビジネスの世界では「急がば直行!」のほうが、成功するように思います。
このスピーディな時代、もたもたしていると、人間関係を損ない、特許を横取りされ、門戸を閉ざされてしまいます。
NHK体操のお兄さんが見せた明日やろうの話
先日,日体大の4年先輩で、NHKの「お母さんといっしょ」の4代目体操のお兄さんだった向井忠義氏と会いお話を聞くことが出来ました。
向井氏は、日本初のTAC(東京アスレチッククラブ)の創業時に貢献し、その後、西東京の各市で「まっく体操クラブ」を経営しています。
春まだ遠いある日、東北のある市から同じようなクラブを開催したいという会社の役員2名がTACを訪れ、向井氏が対応しました。その時向井氏はカウンターに置いてある誰でも持っていけるパンフを渡して2人はパンフを持って帰りました。
そのことを向井氏が社長に報告すると、社長はパンフレットを渡して彼らを帰したことを烈火のごとく怒り、2時間も起こりっぱなしでした。実はその中身に書いてあった内容からして渡してはいけないものだったのです。
その時向井氏がとった行動は会社を出ると帰宅せず、夜行列車に飛び乗るというものでした。駅で簡単な朝食を取り、会社の前で二人が来るのを待っていました。
2人は昨日の報告の打ち合わせの為に、8時半にほぼ同時でやって来ました。
二人が会社に着くと、昨夕中野のTACで別れた向井さんが、東京の寒そうなコートで立っていたのでびっくりしました。
「一体どうしたんですか?」「イヤー、社長からパンフレットを渡しちゃーいけないと言われたので、取りに伺いました。すみませんが、お返し願えますか?」
二人は大変恐縮しながら渡してくれました。
向井氏は、二人からの昼食の誘いも辞退し、その日に会社に戻りました。往復の旅費は自腹で大変でしたが、すぐ行動を取ったことで、取引関係に関係なく二人と向井氏の間には永遠の信頼関係が生まれたといいます。
相手を把握し誰より早くこまめに行動するだけ
入社早々の社員は、人脈も無く、能力も無く、経験もありません。起業したての社長は、資金繰りが大変で成功への自信もおぼつかない状態です。
どうしたらこの未来輝かしき人々は成功するのでしょうか?
世の中にはあんな男が何故と言われる恋愛の達人がいます。その方法は、「その人を把握し、誰よりも早く、こまめに行動を起こす」ことです。これには人脈も、能力も、経験も、資金も、自信もいりません。
誰よりも先にお礼の電話をかけ、怖がらないで失敗を謝り、感謝のメールを送り、手書きのハガキを投函するだけでいいのです。これだけなら誰でもできます。
「明日やろうは、馬鹿野郎!」「急がば直行」ですよ。