流山市 今一番元気な節約ベッドタウン

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 首都圏の衛星都市でも人口停滞や減少が生じる中、ひときわ元気な都市が千葉県流山市だ。2005年に開通した「つくばエキスプレス」が寄与したことを差し引いても、周辺都市と比較したユニーク性は際立つ。井崎市長が就任して以降の、徹底した効率経営とエッジの効いたブランディング戦略により栄える都市からビジネスの閉塞感を打ち破るヒントが得られる。

流山市 稀有な人口増加自治体

 筆者は10月23日(日)につくばエキスプレス「流山おおたかの森」駅を降りた。駅前には大型商業施設「流山おおたかの森SC」があり人で賑い、近隣では大型マンションの建設ラッシュが続いている。
 
 以前から懇意にしている知人夫婦・二人の二歳になるお子さんを訪ねるのが目的だ。夫は丸の内(東京駅)の都市銀行に勤めるサラリーマンで、通勤は往復ドアトゥドアで1時間ほどだという。もともとは都内に住む予定だったが、あることがきっかけとなり、流山市に住むことに決めたという。
 
 きっかけとは、通勤中に見かけた以下のポスターだった。
 節約社長
 引用:千葉県ホームページ
 
 ポスターをきっかけとして流山市について調べ、母親となる自分の妻も暮らしやすい街と判断したため、移住を決意したという。
 
 流山市には実は前述夫婦のように「DEWKS世代(子持ち共働き世代)」の移住が顕著に増えている。そのため、人口は2005年の15万2,461人から2014年には17万1,701人と、実に12%もの増加となった。

節約社長
 
 「流山おおたかの森」駅は2005年に4万人程度だった乗降客数が2014年までの間で東武線・つくばエキスプレス合わせて、二倍以上の8万人が乗降する駅となった。人口増の率以上に、この駅を利用する働く世代が増えていることがわかる。
 
 それだけでなく、流山市は各出版社が出す行政ランキングのうち、経営革新度、財政健全度で軒並み上位となっている。更に市民1人あたりの行政コストでは全国最小コストの運営を行っていると3年連続で評価された。※1
 
 節約経営の鏡と言える地方自治体作りを流山市がどのように行っているか、以下解説する。

流山市はなぜ街づくりに成功したのか

1)市長の行う徹底的な効率経営

 一番目に井崎義治市長の効率経営があげられる。2003年の市長就任以降、井崎は徹底した流山市の効率経営を遂行してきた。まず流山市の焼却施設建設にあたり、徹底した競争主義入札にすることで、費用を10億円から40%減の約6億円まで下げた。これを皮切りに就任当時財政危機の可能性があった流山市において、財政危機を回避するまで、市長をはじめ副市長、教育長などの特別職の報酬を2割削減する条例を議会で通過させている。それ以外にも細かい既得権益団体の排除や、無駄な人件費の圧縮を通じて市の財政健全度が良好な状態を保つよう施策が行われ続けている。

2)自治体初のマーケティング課創設

 守りを固めた後、流山市は全国初で地方自治体内に「マーケティング課」を創設した。マーケティング課はSWOT(弱み・強み)分析を徹底することによって、自治体のブランドを構築した。例えば、新しくできる駅名が当初、『流山中央』『流山運動公園』となるはずだったのを、『流山おおたかの森』『流山セントラルパーク』と変更した。『流山おおたかの森』はSWOT分析によって見出された流山市の強み「都心から一番近い森のまち」から名づけた名前である。更に移住ターゲットを「DEWKS世代(子持ち共働き世代)」に絞り、都内の各駅に「ボクは送迎付き:2010年」「母になるなら流山市:2012年」「学ぶ子に応える流山市:2012年」というポスターを貼り付けていった。30代がSNSを積極的に使用する世代であることも把握し、話題の拡散も最初から狙っていた。結果として2009年4月時点で、年齢別人口は35~39歳が、長年最多だった団塊世代(60~64歳)を抜き最大となり、街の若返りに成功した。実際に、DEWKS世代には「駅前送迎保育ステーション」など様々な育児サービスが実施されている。

3)市長が変わっても無駄遣いされない仕組み作り

2009年に千葉県初の自治基本条例を制定し、23条5項に「市長は、歳入における市税の2割を超える地方債を発行する事業を実施する場合は、市民投票などの多様な方法によって必ず市民に意見を求め、その結果を尊重しなければならない」という規定を定め、全国唯一「市民が知らないうちに借金を増やさない」仕組みを設けている。市民の監視のもと堅実な地方自治経営を行う姿勢が伺える

攻めるためにまず守り 民間にも有用

 流山市が毎年行っている「ながれやままちづくりアンケート」では昨年、「子育てがしやすい」に「はい」が68.7%、「行政を信頼している」に「はい」が77.1%、「住みやすい街・住み続けたい街」に「はい」が78%と市民が回答した。※2今、日本の地方自治体でここまで住民に言わしめるところが他にあるだろうか?
 
 節約と効率化を積み重ね「守りから入り、攻めに転じた」流山市の成功例は、民間企業経営に通ずるヒントに満ちている。
 
 ※1 全国市民オンブズマン連絡会議
 http://www.ombudsman.jp/
 ※2 ながれやままちづくりアンケート
 http://www.city.nagareyama.chiba.jp/information/84/8502/index.html

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